妻と二人暮らしになった。
二世帯同居していた長女と孫たちが同じ町内に引っ越したからだ。
60歳を迎える私と今夏58歳になる妻。私たちには広すぎる屋敷だが、私と妻の好みを反映した家なので私たちは満足している。
娘と孫の声や気配がしない生活はしばらくぶりで、それはそれで新婚気分で非常に楽しい毎日な私なのである。
ということで私と妻とハムスター二匹の生活がはじまった……
例年ならGWと夏、年末は海外にいくところだが今年は早々にキャンセルしたし、夫婦共通の趣味の温泉旅行も取りやめにした。
朝起きてスタバのドライブスルーに日課で行く。会社でメールを開き、図面を書いたり、パースを制作したり、サイトのニュースなど閲覧しているとすぐに夕方になり….帰りもスタバのドライブスルーに寄る。私はノンカフェインのホットかホットのソイラテ、もしくはカフェアメリカーナのホットとシュガードーナツを頼む。スタバのホットは暴力的に熱いので会社の自室や家でいただく….
妻が夕食の用意をしている傍らで買ってきたスタバを飲みながらオンライン番組のチェックをする。光TV Netflix U-NEXT Hulu DisneyDX….観たい番組だらけで私は民放は報道番組のみリアルタイムに観るが、あとは録画をして暇なときに観る。実に便利な時代になった。
親なので息子のYouTubeも必ず観る。『衝撃デリバリーチャンネル』と全然視聴者がいない番組だが、ついすべて観てしまう。正直そんなには面白くない。でも楽しみにしている自分がいる。孫たちの運動会やお遊戯会のビデオはさらっと一回流す程度しか観ないのだが息子の出演している数少ない番組は何回も観る。私も普通の親なんだと今書いていて自覚している次第だ….そんな普通の親で60歳を前にした私がこの1年強に観た数ある映画やドラマの中から少しピックアップしてみるとしよう….
そもそもNetflixは、函館のタウン誌のPEEPSの吉田編集長と函館の炉端焼き屋さんで食事したときに「スコセッシの新作『アイリッシュマン』が観たいのでNetflixに入りますよ」と言われ私もすぐに加入した。その際に「エピソード9の反省会も観終わったらやりましょう」と約束した。その時はJ・J・エイブラムス監督にほのかな期待をしていたのだが…..
結果…エピソード9は語る価値も無いほど失望した。先日も光TVオンデマンドで観たが全くもって楽しくなかった….反省会どころではない….『アイリッシュマン』も、スコセッシ監督の映画にしては、拍手する気にはなれなかった….オスカー作品賞や監督候補に挙がったのは異論は無い。ジョー・ペシとアル・パチーノも良かった….冷静に点数をつけると私の感想は『エピソード9』おまけで55点。『アイリッシュ・マン』まさかの79点。『ジョーカー』デ・ニーロの場面がマイナスで75点。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』79点といったところか….
補足で期待した『イエスタデイ』67点、『アベンジャーズエンドゲーム』65点、ちなみに昨年のオスカー作品『グリーンブック』は82点。なかなか90点を超える映画は無い….邦画の『マスカレードホテル』は、おまけで20点で、宣伝に踊らされて妻と日比谷東宝のボックス席を予約して大金をかけて観たので…あまりのチープなセットと脚本に「金返せ」と言いくなった。では話題の『マンダロリアン』は?というと、もちろんスターウォーズ・ファンなのでDisneyDXに加入して観たが4話の時点で腹いっぱいになり今は観ていない…点数は69点。最初だけときめいたが…エピソード9やエピソード8同様に感情移入出来ないのだ….旧スターウォーズ・ファンは無垢なので簡単には認めない気質がある。ディズニーは凄いことをしているのはわかるが全く評価しない。なんだかんだルーカス時代のスターウォーズ・サーガがやはり好きなのだ….
Netflixには名作映画やドラマがうようよある。作品の名前を挙げたらきりがないほどだ….現在大人気の『梨泰院クラス』は私は妻と2回観た。25回以上訪れた大好きな街ソウル梨泰院が舞台で実に面白い。韓国映画・ドラマも傑作が多い。ドラマは日本のドラマより脚本・撮影・演出・音楽どれも良い。今年度のオスカーを受賞したポン・ジュノ監督の『パラサイト』はコロナで映画館に行けないので今一番観たい作品だ。ポン・ジュノ監督の映画もほとんど観ているが全て好きなわけではない。
実は私の中のお気に入りがあり….私が普段あまり観ないジャンルで、まさかのラブコメディーの2019年Netflix作品『椿の花咲く頃』全20話である。『24』を初めて観たとき寝不足になって一気に観たいと思ったが….今回の私の感覚はワクワクするとかドキドキする感覚ではなくとにかく理由なく好きになってしまったのだ….とても心が温かくなる作品で、私は何回泣かされたろう…..まずは脚本が素晴らしい、編集も秀逸。役者たちももちろん良い。第一話から最終話までが全て繋がっている見事なシナリオ。実はサスペンスの要因も入っているのだが最後までラブコメディのスキンを身にまとい完全なまでに素晴らしい最終話へと導いていく。
ソウルから4時間以上はなれているこのロケ地の田舎感がまた良い。私のふるさとの函館の海辺や浜の景色、坂が多い高台から望む眼下の田舎の待ち並み、このロケ地は元々日本人の漁師が住んでいた街で日本人屋敷もいまだにあるという…..私が小学生になる前に住んでいた昔の函館の入船町や船見町のようだ….
私と妻は梨泰院の街も何回も行ったが『梨泰院クラス』と『椿の花咲く頃』にすっかり影響されてコロナが明けたら、真っ先にソウル行きの飛行機に飛び乗りソウルの食堂や居酒屋巡りをしたい….実は昨年末も妻とソウルに出向いた。下の写真はその際の東大門や広蔵市場での食べ歩きの一部だ。残念ながら雨続きであまり歩いてソウル散策ができなかった….コロナで上海、チェコ、オーストリアなどの旅をキャンセルしたが、妻も私も今一番旅したいが韓国である。今度行ったら地方の街や海辺の街も探訪する計画だ….
さて点数だが….高得点を付けた。『梨泰院クラス』全16話は83点から90点。エピソードにより点の低い回もあった。 全20話の『椿の花咲く頃』全話93点で最終話は98点をつけたい……これは、あくまで私の感想であり、いつも一緒に観ている妻はすでにベスト・オブ・2020は『梨泰院クラス』だと語っている。(妻は後日、『椿の花咲く頃』の最終話を観て「やっぱり『椿の花咲く頃』に替える」と語っていた)
私は胸に手を当てて思ったのだが….ここ50年以上も多くの映画やドラマを観たが『椿の花咲く頃』は優秀脚本賞を挙げたい10本のひとつに加えたい1本である。しかもかなり上位に位置する。60歳を前にして子供も育ち、可愛い孫たちも4人に恵まれ私の中で審査基準があきらかに変わっているのだろう…..とんがった作品ばかり好んだ若いころの自分ではなくなっている…..心優しい妻と生きてきたので私はた多少の影響を受けた。
気性の激しい親の気持ち、純朴な息子の気持ち、孫を持つ祖父の気持ち、純粋に妻を愛する自分自身の気持ちで毎回観ていたので『椿の花咲く頃』を観ていて何回目頭が熱くなったであろう….観ている間何回か隣でいっしょに観ている妻の温かい手を握った….
小学校入学と、ともに孫たちが近所に引っ越したことで私は妻は二人っきりになり、その生活を満喫している。
また今夜も妻とふたりっきりの部屋で映画や名作ドラマを観ることにしよう…..