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『プレゼントをあげる②』 はるレイ?

2006-01-27 21:12:05 | 創作・はるレイ
「は?何って?」
「だから、デートして欲しいって」
レイちゃんは相当面倒という感じで呟いた。びっくり仰天して叫んでいる美奈子の口を押さえるのも面倒くさい感じ。
「何でまた?!」
「美奈がもうすぐはるかさんの誕生日だって言ってたでしょ?たまたま会ってそれを思い出して、知っているのに何もいわないわけにはいかないから、プレゼント何がいいですか?ってきいたのよ」
「…普通そういうこと聞くかなぁ」
まぁ、人に物をあげるよりも貰うほうが慣れているだろうから仕方がないかもしれないけれど。
「で、考えるっていわれて。考えた結果が“レイとデートしてみたい”なのよ」
「でぇえとおおおおお!!!!!」
わかっていてももう一度叫ぶ。だけど、今度は鼻にパンチを食らった。
「物じゃないって、初めてだわ」
問題はそこじゃないけれど。
「何言ってるのよ、私だってレイちゃんの初めてをもらっ…」
鼻に食らったパンチの次はアッパー。べったりくっついてきゃっきゃと騒ぐから痛い目に合うのだ。
「まぁ、別に暇だからいいけれど」
「ひ、暇ってさ。私とのデートはどうなるのよ?」
「そんな約束してないわよ」
「これからするのよ」
「先に申し込んだほうが優先に決まっているでしょう?それがプレゼントだって言うんだから」
何考えているのかわからない。その呟きに馬鹿じゃないかと美奈子は突っ込みたい。
こんな美人と誰だって一度はデートしたいに決まっているじゃないか。
はるかさんにはみちるさんがいるけれど、あの手の美人とこの手の美人はまったく違うわけだし。
普段、お高く留まっている人間ほどボロを出すところを見てみたいって思うのも当然だ。
そんなこと言ったら殺されるだろうけれど。
「どこに行くって?」
「何も。行きたくないところを聞かれたわ」
「なんで?」
「それをはずして考えるからじゃないの?」
とりあえず思いつくのは映画くらいだから。なんて彼女は言うけれど。
「はるかさんって、ドライブって言うイメージしかないんだけれ。ドライブじゃないの?」
「わからないわよ。でも車でしょう?」
うーん…。腕を組んで首をかしげて真剣な顔つきをする美奈子。

レイは焼餅かしら?と少しだけ思ったけれど。
「どうやって尾行するかな」
「…しなけりゃいいのよ」
彼女は別の世界の住人だった。


「はるか、ずいぶん楽しそうね」
「そりゃ君が目の前にいるからさ」
1月28日。約束のとおりはるかはみちると二人でデートをした。はるかのリクエストで、少し東京を離れてきままなデート。おいしそうなものを見つけては立ち寄り、面白そうなお土産品を見つけてはほたるやせつなのために買う。
「そう?明日のことでも考えているんじゃなくて?」
「まーさか」
信号で止まっていた車の中の沈黙を破ったみちるに、はるかはわずかに焦った。まったく考えていないわけじゃなかったけれど、突っ込まれると認めたくなくなる。
「ふぅん。複雑だわ…」
「どうして?」
「あの子、すごく美人だから」
「僕が顔で選ぶ人間だと思う?」
左手を置いていたギアを無意味に動かす。そういうの、わざとらしすぎる。
「いいえ、そうは思わないけれど。私といるよりも楽しかったらどうしよう、とか」
「君のほうが大切だし、楽しいに決まってるよ」
クサイ。
でも、みちるはそうね、と呟いてあげた。これ以上動揺を与えて事故にあいたくない。
はるかは知らないだろう。レイにはちゃんとした本命がいるってこと。惚れさせようなんて、ちょっとでも考えたって無駄だって。

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