幼馴染ヴァージョン(仮小説)
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「みちるさんから、私のことを相談されたりしない?」
「しないわ。美奈が思うほど、私たちそんなに会ったり電話をしたりしていないわよ?いくらお家同士繋がりがあって、昔から付き合いがあるからって、それはそれだもの」
それだけでも美奈子にとって羨ましいこと。口には出さないけれど。
「みちるさんとね…」
「何?」
「もう、駄目なんだよね…実は」
さりげなさを装って、なんでもないように普通に声に出してみた。出 . . . 本文を読む
『センチメンタル』の続きになります。
クリスマスはもう、すぐそこまで近づいていた。肌も指先も敏感に冬の風を感じている。東京にあるわずかな木々は紅葉の見所をそろそろ終え、その美しさを地へと降らせて行く。
火川神社に続く階段にも、色褪せて散った落ち葉が足音に寒さと寂しさの音色を与えていた。
朝早く起きて、毎日掃いているはずだろうに。生真面目な性格の彼女のことだ、内心腹を立てながらもきっと、明日の . . . 本文を読む
「…ありがと」
「何なの?あまり嬉しそうにしてくれないのね」
「別に」
みちるから受け取ったシンプルな包装紙に包まれた手のひらサイズの箱を、美奈子は耳元でカタカタ鳴らしてみた。
「開けたらどう?」
微笑みもしない美奈子に対して腹を立てるような子供じみたことはしない。少し遅くなってしまったけれど22日には変わらない今日、ちゃんとプレゼントを渡したのだから文句を言われる筋合いもない。欲しいものだって特 . . . 本文を読む