世界中に溢れる愛のすべて
あなたに捧げた
だから、あなたが私を愛さない世界なら
私は、死んでもいい
霊感を働かせ、公園で倒れている被害者を見つけ出したときはもう、妖魔“バク”の姿を捉えることは出来なかった。レイたちと変わらない年齢に見える少女は、わずかに目を開けているが生気はない。その両手が自らの首を絞めるような恰好で横たわっていた。レイはその両手を抑え、傍にいたみちるさんに救急車を . . . 本文を読む
「その状況だと、しばらくこっちに帰って来ないんじゃないかしら?」
「……おじいさまが、レイに近づかない方がいいって。ずっと、祈祷をしたまま出てこないそうよ」
みちるはシオンの遺体がイタリアに無事に帰ることを祈り、この件にはもう関われないと事務所に伝えた。教会に彼を安置させることで、あの頃の感謝と、そして永遠のお別れと思っている。イタリアまで行って葬儀に参加する理由もなく、彼の死を嘆く涙は出尽くし . . . 本文を読む