愛、麗しくみちる夢

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YOUR WORLD あとがき

2022-09-11 20:54:18 | 日記とか
レイが見えない何かのために振り回されていても、結局、みちるはそれを推し量るだけで、何もしない。

みちるは、まったくレイの身に起こったことを知らないまま、そして夏が過ぎていく話です。


この話は、実は「come what may」 と 「海の中、光る炎」の間に起こったことです。

海の中、光る炎は、死にゆく少女を目の前に、レイは「生きている海王みちるの心」のために愛野美奈子を引きずり出して、騒動を起こします。
そして、今回の「YOUR WORLD」は、もうずいぶん前に死んでしまった「たっちゃん」に対して、レイは自分から何か行動を起こしていません。

レイは何もしていません。それは『たっちゃん』が、特に深刻な害のある幽霊ではなく、ただの浮遊霊だからです。
デートをするときに、レイはまとわりつかれないために、色々な手段を用いていますが、『お祓いしてやろう』という感情はありません。
そして、助けたいという気持ちもありません。ひと夏を過ぎて、花火の季節が終われば、きっと彼はまた、どこかに行くだろうと思っているからです。

今回は、いくつかの対になるものと思って書きました。


①一度、命を落とし、そして今を生きている「ほたる」と「たっちゃん」。これは海の中、光る炎でも対で書かれていますね。たっちゃんが無邪気にレイにまとわりつき、そしてほたるもレイにまとわりついている。レイは今を生きているほたると楽しく過ごすことを優先させて、決して「たっちゃん」のために花火を買うわけではありません。真希が買った花火代は、真希が払っています。

②火野レイと綾瀬真希 赤と青は簡単に入れ替わります。そして、綾瀬真希はもう1人の火野レイです。2人は半神です。レイは優しさを人に伝えたり態度に出すことができない人なので、綾瀬真希は私にとって、それを表現するためのキャラクターとして描いています。

③綾瀬真希と海王みちる 今回の小説では接点が限定的ですが、みちるは今回の「たっちゃん」のことを何も知らないままです。そして、みちるは自分が何も知らなくても、真希ちゃんがレイの傍にいてくれるのなら、それでいいと安心しています。2人の関係は絶妙だなって思うのです。ライバルではありません。レイがみちるとみちるの家族を愛してくれるように、みちるも綾瀬姉妹やおじいちゃんのことを愛しています。でも、そういう感情はレイから教わったんですね。

④ヒマワリ、朝顔と花火  ヒマワリや朝顔は一生懸命花を咲かせた後、未来を繋ぐ種を落とします。花火は一瞬で終わります。ほたるは未来がある花を咲かせ、そして『たっちゃん』は刹那の花を咲かせることを望みました。未来を生きる子供と、そして未来がなかった子供。何度でも生がある。レイたちはそんな花を愛で、そしてたっちゃんは本来いるべき世界へと戻ります。


 この小説は、オチがないような感じというか、みちるさんは結局、知らないままでいいのか?!みたいなところもあるのですが、これはレイちゃんだけが幽霊を成仏させるわけじゃない、という話です。レイはみちるさんたちと楽しく過ごすために、たっちゃんから距離を取ることを最善と考え、真希もそれが当然だと思っています。レイはみちるさんたちと夏を楽しむために、そして、真希はそんなレイのために。それぞれが、それぞれに想う人のために、ちょっとした行動をする、ただそれだけのこと。

 大それたことは何もしなくても、そのことで誰かが救われる。そういう話です。誰かが誰かのために。真希は成仏を願ったわけじゃありません。ただ、レイ1人が抱えた『たっちゃん』の願いを共有した以上、自分ができることをしただけです。レイの心の安寧のために。

レイはそれをよくわかっているから、みちるさんの家に招いて、一緒に花火を楽しみました。レイが今、みちるさんたちと楽しく夏を過ごしている、その世界を真希に見せたかったのだと。ちゃんと幸せだと見せたかった。そういう意味で誘ったんだと思います。レイと真希はとても分かりあえているから、多くを語らないので、レイが真希に海王みちるが恋人だと、一言も言っていないのに、普通にそういう認識でいるのが、なんて言うかすっげーですな。教会で初めて握手をしたときから、真希はそうだと直感で思っていたんでしょうね。知らんけど。

YOUR WORLD

みちるから見たレイが生きている世界
真希から見たレイが生きている世界
レイから見た「たっちゃん」がいる世界


Come what may と、海の中、光る炎の間にあった設定の話なので、その順番で読むのもありかなって思います。



清さん:感想ありがとうございます。みちるさんは、いろんなことがあっても、何でも知らなくてもいいって思えるくらい強い人で、少々おちゃめな人で。もう、レイちゃんのことが大好きすぎて、まぁまぁ、やってしまいがちですよね。私としては、今回の活躍は最後だけじゃん!って思いながら、やっぱりみちレイなので、みちるのインパクトを残したくてあのシーンを入れておきました。

おあとがよろしいようで。













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