大工の学校 

築き人(きづきびと)を志す、職業能力開発校の徒然日記
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道具編1「砥石」

2008年04月07日 | 工作法
さてさて、今回からは新たに道具シリーズとしてお送りします。



大工の学校で使っているいろいろな大工道具を様々な角度から紹介していくつもりです。



先ず最初は【砥石】です、大工の基本は研ぎに始まり研ぎに終わるという事で、道具の手入れの基本中の基本とも言われる研ぎだけど、砥石は隠れた主役と言っても過言でないですね。それでは行ってみよ~



天然砥石の歴史は、刃物の歴史とほぼ同じだと思うんだけど、いかんせん資料がありません、後述になるけど良い砥石は非常に希少価値のあるものです、天然ものの良い産地などで有名な場所はあるけど、詳しい情報は門外不出だったに違いありません、そりゃそうですよね、そんなものあると誰でもその山に切り出しに行っちゃいますもんね。


人造砥石の原料となる砥粒は、今から100年以上前、人造ダイアモンドを生成する過程で作り出されたと言われています、今でもジュエリー用ダイアモンドで有名なデビアス社がアメリカでは砥石の原材料を作っているそうですよ。

その後、日本でも広島県呉市を中心に広まり、戦艦大和等を作る造船業を支えながら発展してきました。




ご多分にもれず日本の技術は世界一という事で、パソコンの頭脳でもあるCPUを生産する上で、沢山あるシリコンウエハ(CPUのかたまり)から最終工程である切り出しを行う際には、必ず日本製の砥石でカットするそうです。



戦艦、ダイアモンド、CPU、そして大工道具と砥石には様々なジャンルを超えて縁がありますね。





ところで、大工の学校で生徒さん一人ずつに渡す砥石は、中砥石としてキング#1000番を渡しています。値段は写真の徳用で2600円程度です。
人によってはこれを一年で2個ほど使い切る研ぎマニアな生徒さんもいるんですよ。





この中砥には台が付いていないので、写真のように木で台を作り、即乾ボンドで固定したり、くさびで止めたりして使用します。
面倒でお金に余裕のある人は、砥石色々写真の上段一番左の砥石台1-2-3などをオススメします。




そして、仕上げ砥石は スエヒロ#8000番 を使っています。
ウチの取引先では、7000円だったかな?結構高価なものを使っているでしょう?



近年柔らかくなったような気がするこの砥石、それでも仕上がりが早く、そこそこの切れ味に仕上げてくれます。
結構値段が張るので、初心者の方は#6000番でも良いかな?(それだと4000円程度です)






その他にも、荒砥が#400番のセラミック砥石を準備しています。
こちらは、班に一個づつですね。


地元の大工さんお薦め シャプトンセラミック砥石 M-15 通称オレンジ です。
確かに使え前は抜群ですね、ただし刃が減りが激しいので訓練用としては却下しました。




刃の黒幕 #12000番 も中々良いですね~でも 

切れ味は抜群になるのですが、デリケートで研ぐのにも集中しないと「ゴリっ!」ってイッちゃうと
もともと薄いから、結構悲しくなったりします。



残念ながら、ウチの予算では天然砥石を買う事は出来ません、なにしろン十万円とか ざらですからね。
それだけ、高いもの買っても実際に使えるか?というのは保証できないのも怖いのです。


ちなみにこの砥石は70万円だそうです・・・・・




昔は、何度も道具やの親父に担がれて、そのうちに「しかたね~な~」って特上のものを店の人から託されるそうです。
結局未熟なうちは「そんな腕じゃ砥石が泣くよ」って売ってくれなかったんでしょうね。


今では、ネットでも売っている時代、そんな道具やの店主との駆け引きが無くなり、お金さえ出せば何でも手には入る時代ですね、ちょいと寂しくなりますね。







あと、番外編として名倉砥石(砥石色々写真の小さい奴ね)
これは、砥石の研ぎ汁の粘度を調整したり、ちょいとした面直しに使います。


それと、ダイアモンドシャープナー(砥石色々写真の、上段の一番左)



これは、裏出しするときや、荒~中砥石の替わりに使ったりしてます。


そして、砥石も真っ直ぐ平坦にする必要があるので
鋳物でできた、シャプトン面直し その名もズバリ「なおる」(写真はコンパクトVer)
や、このようなガラスで出来た板に、サンドペーパーを貼付けてつかう、面直し器(砥石色々写真の上段右から2番目)
などもあります。




でも、これらは結構値段が高いと思いますので、一番の基本は

ブロック&砂  これなら200円もしないかな?
これで先ず中砥石を平坦にし、それから中砥石と仕上げ砥石をこすり合わせ、平らにします。





もし自宅で挑戦してみようと言う方にとって最低限欲しい砥石は、 中砥石と仕上げ砥石 そしてブロックと砂(名倉は仕上げに付属してるはず)ですね。 最初はホームセンターなどの安い奴でも充分なので、中研ぎ用と仕上げ研ぎ用を準備してください。




砥石の手入れだけど砥石の基本は砥石の表面を常に綺麗にそして平坦に保つ事です。
(これがなかなか出来ないんですよね~僕も・・・


さらに手水は綺麗なものを使う事、手は同じ角度で固定する事など、他にもコツや技術的要素は単純に見える作業のようでもとても多くて、研ぎは一生かかっても会得するのは難しい作業なんですよ。


まぁ基本的な研ぎ方はまた別の機会に説明することにしましょうね


おしまい。
















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2 コメント

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Unknown (あっちゃん)
2008-04-08 00:52:20
砥石も色々ですからね~

高い物から安いものまで・・・・・

でも、砥石の治しには、ブロック、砂(川)これが一番ですね~

海砂は貝殻が入っているから、ちょいとダメですね~

川砂は粒が細かいのでグッドです。

金剛砂も禁断の手(予算的に)でお薦めですよ~

たまに、鉋の代直し器(ペーパー貼るやつ)を使ったりするけど時間が掛かる・・・・

ちなみに、自分が使っているのは、訓練校のお古ですね~

辞めるときに辞めた生徒の物を二・三個に持ち帰りさせていただきました。

後は、シャプトンセラミック砥石に似た?物ですかね~

刃返りが早いので、急ぐ時に使用(現場用や刃欠け時)ですかね~

そうそう、これは、道具やと仲良くなれば、以外と掘り出し物?を裏から出てきます。

天然砥石の仕上げ用です。

時価10万以上の物ですが、それの規格外と言うのか、通常よりも若干短く、巾がまばらだったり、裏面の形がいびつなどなどの物です。

要するに、長方形市販品にしたら薄くなりすぎたりする物で、加工前と言った物でしょうかね



それを1万円位で売ってくれたりするんですよ~

もちろん、切れ味は保証できますしね。

あと、仕上げの砥石の良い悪い(硬い、柔らかい)の判断をするには、唾を付けて、水(水分)の引き具合で判断して購入するのが良いですよね~

水の引きが早いと柔らかいし、遅いと硬い・・・・中間を見極めるのがベストですね
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あっちゃんへ (TOM-P)
2008-04-08 21:36:47
 コメントありがとうございます。

成る程、そうですね天然砥石コッパでも良いから調達してみようかな~

鋳物の面直しは本当に便利なんだけど、あれ自体の面が平らじゃなくなるんですよね~

旧自動車整備科にある、平面研削盤で平らにして又使うんですよ~


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