大工の学校 

築き人(きづきびと)を志す、職業能力開発校の徒然日記
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裏打ちに裏打ちされた・・・・

2007年05月16日 | 大工の学校生活
さてさて、大工の学校では、今週からいよいよ鉋の道具直しに入りました。

 このブログを見ている皆さんにとっては当然かも知れませんが、改めて言いますと鉋は大工の技術がはっきりと現される道具なのです、砥ぎはもちろんの事、刃の仕込み、台の調整、裏座の調整、鉋がけ自身の力の入れ具合等など、ものすごく「注文の多い道具」です、これらすべての条件がととのって初めて数ミクロン単位の削り屑が出るわけです。

よって、さまざまな職人が競って薄さを競い「削ろう会」なるものが全国で催されているわけですね。

木を多く使用する日本の住宅は、木の表面に触れ、その肌触りを愛し、DNAの中に記憶を受け継いでいると思います、大げさだけど日本人の文化・心そのものといっても過言ではないのです。(力説!)

ということで、月曜日は先ず、荒鉋の裏打ちからです、裏打ちとは鉋の裏を出す作業で、鑿とは違い、「糸裏」といいまして刃先から1~2mm程度をピカピカに磨き上げないといけないのです。
(左:裏切れした状態 右:糸裏)



鑿の回で書いたけど、普通に研ぐ(裏押しと言います)とべた裏といって、裏全体が削れてしまいます。

これは「べた裏」といって、鉋としてはあまり褒められた刃の仕込ではないのです。


「糸裏」にするためには、刃先の先端を裏側に押し出す作業が必要なのです。

これを「裏打ち」と言います。裏打ちをして始めて、「糸裏」という仕上がりになります。

しか~し、このたたき具合が又難し訳で





叩く場所は、鉋の刃先から3分の2ぐらいのところになります。

「センセ~刃先、叩けば裏に出るじゃん!」

「ぶぁかも~ん、刃先がボロボロになるじゃろが~」

とそもそも、叩いて曲げるのではなく、刃の中でもやわらかい地金を叩いて、硬い鋼の方に押し出すのであります・・・・難しいよね。



そんなこんなで、裏打ちだけでもこんな感じです職人への道はかくも難しきなのです、そんな中で校内で開催する「番匠削ろう会」は6月1日を予定しております。

あと3週間、ミクロン単位の削り華が出るように頑張るぞ~

おしまい。

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3 コメント

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Unknown (あっちゃん)
2007-05-20 12:18:24
ヒッターはかなり使えますよ~

ピンポイントで叩けますからね

確かに良い道具です。
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あっちゃんへ (TOM-P)
2007-05-20 10:45:16
 お疲れ様です。
ヒッターそんなに使えるんですか?うちには無いのです。
なるべく、道具に頼らないようにしているのですが、一度使うと手放せなくなるのも又事実。

砥石の面直しの奴や、砥ぎの治具など便利な道具が沢山あるんですよね~ 

どのタイミングで登場させようかと思案中です。
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Unknown (あっちゃん)
2007-05-19 21:51:57
鉋の裏だしは難しいですからね~

ぜひ、訓練生の為にヒッターを買ってあげてください。

むちゃくちゃ使いますから
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