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私的コラム&雑記(&メモ)

OnePlus 7 - 分析/発注編

2019-06-23 | ガジェット / PC DIY

 OnePlus 7(以下、OnePlus製品名はOP {番号}と略す。企業名はOnePlusと記す)を入手予定なので、レビューというよりは専ら記録用に書き記しておこうと思う。

OnePlus 7とはどういうスマートフォンか?

 OnePlusに関して言えば、同社は年2回の頻度で端末をリリースしておりQualcomm製のトップエンド800シリーズのプロセッサーを採用している。一方、Qualcommは年1回の頻度ハイエンドを入れ替えるのでOnePlus製端末では連続する2モデルで必然的に同じプロセッサーが採用されている(例:OP 6と6T)。OP 7/7 ProはQualcomm Snapdragon 855(SDM855。以降SnapdragonはすべてSDM表記)を採用した端末で、恐らく11月頃に登場する次世代端末も同じプロセッサーを採用すると思われる。

Snapdragon 855

 SDM835以降のQualcomm製プロセッサーは非常に紛らわしいネーミングルールを採用しているが、OP 6/6Tに採用されているのがArm Cortex-A75 x4コア+A55 x4コアであるのに対し、OP 7/7 ProではA76 x4コア+A55 4コアとなっており、CPUだけを見た場合、SDM845とSDM855の差がそのままOnePlus 6/6TとOP 7/7 Proとの差異となる。

 このA76であるが、前世代A75と比べ10%以上高速化しておりArmの車載向け(Cortex-A76AE)やサーバー向け(Neoverse-N1)にも採用されている高性能プロセッサーである。
 懸念材料は消費電力≒発熱であろう。というのも、以前ArmはA72コアの後継としてA73コアをリリースした際、ピークパフォーマンスを下げて省電力/低発熱にした結果、ピークパフォーマンスを維持できる時間が長くなりトータルでのパフォーマンスが上がったと説明していたが、A75からA76の進化はその真逆のことをしているからである。高い消費電力は発熱は車載やサーバーでは比較的問題となりにくいが、モバイルでは問題となりうる。しかし、AnandTechに掲載されたQualcommのデータを信じる限りでは消費電力あたりの性能は高そうだ。これは恐らく、製造元TSMCのN7プロセスの優秀さや、Qualcommが行ったA76 4コアを超高速な1プライムコア+高速な3コアとしたカスタマイズなど、様々な要因に起因すると思うが、Huawei/HiSilicon Kirin 980と似たベンチマーク結果を見せていることから鑑みるとArmのA76の設計やTSMC N7プロセスの優秀さが原因と見るのが妥当そうだ。

 ちなみに、先日も書いた通り、A76よりも次世代A77は明らかに高速となることが分かっており、それを搭載するであろうQualcommの次世代SDM865(仮称)は現行SDM855を凌駕することだろう。ただし、上述のQualcommとOnePlusの製品リリースサイクルから鑑みるとSDM865搭載端末が出回るのは1年ほど先のことになる。もし、OP 5/5T/6/6Tなどを既に持っている場合は来年の端末に期待することを御勧めする。

 SDM855に含まれる機能の多くは、Hexagon Tensor Accelerator(HTA)を除きSDM845の進化版・高速化版で性能は向上しているが機能は同一である。HTAはHexagon DSPに追加されたテンソル演算装置で、最近流行りのディープラーニングを使ったアプリケーションを高速化できるとされるが、現在は黎明期といった感じで今後のアプリケーションに期待したい。

カメラ

 OP 7/7 ProのウリのひとつはSony製4800万画素カメラExmor IMX586で、画素数だけなら一般的なデジタル一眼レフカメラに匹敵し、前世代OP 6Tの1600万画素の3倍に達する。一般に画素が増えると1画素あたりの素子小さくなりノイズ耐性が悪化するが、4800万画素ともなると周辺の画素で補うことで1200万画素として使うことも可能で補完は容易であろう。
 このカメラが採用されている背景には、もちろん2018年後半にSony(ほかSamsungやOmniVisionが)4800万画素センサーを供給開始したからというのもあるが、SDM845/855では3200万画素以上を扱えるようになったことも理由であろう。ちなみに、SDM845/855が対応可能な画素数は情報源によってバラバラで判然としない。間違いないのは、デュアルカメラだと2000万画素 x 2・シングルカメラだと4800万画素(Qualcomm公式では19200万画素という数字もあるが…)に対応しており、OP 7/7 Proとも4800万画素 x2のデュアルカメラという構成はプロセッサーの性能の都合上選択できなかっただろうと思われる。

 そのOP 7のカメラであるが、サブカメラとして500万画素の深度センサーを搭載しており、OP 6TやOP 7 Proとの大きな違いとなっている。OP 6Tはスペックが似た1600万画素のカメラ二基を同時に使って合成することでボケを作り出すのに使用できる。OP 7 Proはトリプルカメラで、OnePlus 7と同じ4800万画素のメインカメラに加え1600万画素センサーに13mm広角レンズ・800万画素に78mm中望遠レンズという組み合わせを切り替えて使うことで広角から望遠までの画角に対応できる。これに対し、OP 7のサブカメラは深度センサーで随分と毛色が異なる。

 この場合の深度センサーというのは、イマイチ判然としない(ToF = Time-of-Flightカメラなのか?)。深度センサーというとMicrosoftがKinectでのユーザーの距離認識に使用しているがスマートフォンで同じ使い方はできないし、スマートフォンではAppleがiPhone Xのセルフィ―側に搭載してFaceIDを実装しているがOP 7はメイン側なので認証には使えない。
 OP 7同じ使い方をしているのはHuawei Honor 20/20 Pro/20 View/P30などがあるが、複数あるカメラの1つにToFカメラを搭載している(参考:XDAでのToFカメラについての記事)。ToFカメラをスマートフォン向けにプッシュしているソニーのPR動画を見る限りではAR・VRでの使用を想定しているように見える。

Android

 OnePlus製端末に搭載されているAndroidは、中国向けのHydrogen OSと世界向けのOxygen OSの2系統が存在するが、いずれもAndroid 9.0 Pieベースとなっている。

 筆者はセキュリティー上の懸念から中国製ファームウェアは使用しないので、Lineage OSをはじめとするカスタムAndroidを使用しているが、2019年6月中旬の現時点でOP 7/7 Pro用のカスタムAndroidは存在しない。もっとも、Lineage OSではOnePlus製スマートフォン対応が活発で、OP OneからOP 6までサポートされており今後に期待したいところである。

音楽再生

 最近のスマートフォンで困るのが、3.5mmヘッドフォンジャックが廃止されていることである。OP 7もその例に漏れない。
 実はQualcommはSnapdragon 820の頃からオーディオに力を入れており、Bluetoothでは買収した旧CSRのApt-Xの統合や、SN比100dBを超えるDAC Aqusticを展開するなどしているのだが、3.5mmヘッドフォンジャックが廃止されるということはAqsticは利用できないことになる。

 そこで、一般にはUSB Type-C接続の3.5mmヘッドフォンジャックを変換するアダプターを接続してヘッドフォンを利用するわけであるが、この「変換アダプター」の実態はケーブル内に小型DACを内蔵したUSBオーディオ装置で、御世辞にも高性能・高品質とは言えない。ちなみに、この種のアダプターはOP 7には付属しないそうである。

 そこで、USB Type-C対応のモバイルDACの使用を検討する必要があるが、あまり良い機種が見当たらない。スマートフォンと同等の大きさで高性能を謳うバッテリーを搭載したものが多数見つけられるが、個人的には宅内での利用はともかく外出先で使うのに適しているとは思えない。宅内であればDAC経由でホームシアターなどに接続して視聴すればよかろうが、外出先(例:電車の中・オフィスや学校など)でそれほどの高音質は無意味だし、重さや大きさが邪魔になるだけであろう。個人的には、必要なのはUSB Type-C-3.5mm変換アダプターより一回り大きい程度の、USB電源駆動型の小型軽量USB DACである。

 小型・安価で有名なのがHiFimeDIYのTYPE C USB DACで、定評あるES9018K2Mを搭載して$69という優れモノであるが、相変わらず見た目は悲惨である。あと、スペック的に素晴らしいのはCyberDrive Clarity AuraでXMOSのDSPとCirrus CS4398 DACの組み合わせで$69という代物だが、音質の評価は賛否両論という感じである(どうやら消費電力が大きいようで、供給電力が不足すると音がプツプツ途切れるようだ)。
 ほかに日本で入手可能なものとしてはZuperDAC-SCovia Zeal Edgeなどがあるようだが、私の住む欧州での入手性は良くなさそうだ。

カラーバリエーション / ケース

 そもそもOP 7の提供地域は限られているが、英国ではMirror GreyのみでRedは中国・インドのみの提供だそうだ。筆者の場合は中国版のハードウェアに国際版のOSに書き換えたバージョンを英国の会社より入手するためRedである。筆者の場合は後述の通りケースに入れて使用するので、裸の状態でのスマートフォンの色に大きな意味はないが、ケースの隙間からはみ出す色としては赤の方が映えると思ったからである。

 OP 7の物理形状は1箇所を除いてOP 6Tと同じため、多くのアクセサリー(例:ケース、液晶保護フィルムなど)を共用できる。問題はケースで、カメラ部分の出っ張りがOP 7とOP 6Tで微妙に異なりフラッシュの位置が微妙に異なる(類似のケースの例:OP 7OP 6T)。6月上旬に発売されたばかりのOP 7と違い昨年11月登場のOP 6Tはアクセサリーが揃っているが、使えるものと使えないものがあるので注意が必要そうである。

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