AMD ZEN2 / Ryzen 3000シリーズ
AMDがチップレットアーキテクチャのクライアント版Zen 2を投入へ - PC Watch
AMD ZEN2の詳細が発表された。
既に同アーキテクチャーを採用した第二世代Epyc発表時に一部は開示されていたが、より詳細な(かつ我々のような一般人に関係の深い)情報が明らかにされた。
興味深いのはキャッシュ構成ではないかと思う。
AMDはZEN/ZEN+で512KB/コアのL2キャッシュと8MBの共有L2キャッシュ(CCXと呼ばれるクラスターあたりの容量。L2+L3合計でCCXあたり10MB・8コアのチップレットあたり20MB)を搭載していたが、今回のZEN2で16MBの共有L2キャッシュ(L2+L3合計でCCXあたり18MB・8コアのチップレットあたり36MB)に仕様を変更した。
興味深いのはCCXあたりのコア数が4コアから増えなかったことではないか。コア数が増えるとコヒーレンシーのトラフィックが増え、例えばコア数が2倍になると2乗分トラフィックが増える。このため、より多くのコアで共有キャッシュを持つ方がトラフィック低減には寄与する。この考え方でいえばEpycでコア数が倍になる/Ryzenでもコア数が50%増えるZEN2では、単にキャッシュ容量を増やすよりも同一チップレット内の2個のCCXを統合した方がいいのでは?とも考えられるがそのようにはならなかった。
Scientifc LinuxとAntergosが開発終了
Yet another Linux distribution shuts down, and the Open Source community should be worried - BetaNews
歴史が長いScienrific Linuxには驚きを覚えるものの、個人的な感想を率直に述べるなら、Linuxディストリビューションは増えすぎである。
Scientific LinuxはCentOSと同様にRed Hatの公開するRed Hat Enterprise LinuxのSRPM(ソースコード)を基にビルドされるRHELクローンであるが、CentOSがコミュニティーから発祥したのとは違いフェルミ国立研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)とCERN(欧州原子核研究機構)が個別に開発していたLinuxに由来する。2004年からなので、かれこれ15年間も続いたことになり、感慨深いものがある。
もっとも、それ以外のディストリビューションについては、あまりにも乱立し過ぎているので開発中止に驚きは感じない。
一般にはRed Hat Enterprise LinuxはじめCentOS・Fedora・Debian・Ubuntu・Linux Mint・SUSE Linux Enterprise/OpenSUSE・Arch Linux・Gentooぐらいしか知られていないだろうから、乱立していると言われてもピンとこないかもしれない。
しかし、私が個人的によく訪問している私が定期的に読んでいる某個人ブログでは管理人氏が新しいディストリビューションを試されおり、「OpenSUSE(SUSEの開発版・フリー版)」「Pinguy OS(Ubuntu派生)」「Gecko Linux(OpenSUSE派生)」「elementary OS(Ubuntu派生)」「Endless OS(Ubuntu派生)」「KDE Neon」「Bohdi Linux(Ubuntu派生)」「ArchLabs Linux(Arch Linux派生。BunsenLabsにインスパイヤ)」「Linux Lite(Ubuntu派生)」「BunsenLabs(Debianベース。終了したCrunchBang Linux派生)」などが掲載されている(※注:「乱立している」の例を挙げているだけで、これらのプロジェクトは開発中止の話題とは関係ない)。
Linuxに馴染みの深い人でも、これらの名前を知っていたり使ったことがある人は少ないのではないか。
多くは、既存のメジャーディストリビューションをベースに、やや趣が異なったデスクトップ環境を提供している程度で、なぜパッケージの提供程度に留まらずディストリビューションまで作ってしまったのか理解に苦しむ。
私は様々なディストリビューションを試してきたが、「ディストリビューション」として分けるほどの明確なアイデンティティが理解できたプロジェクトは非常に少ない。ここ10年に限れば、明確な目的とアイデンティティを示せたのは、コンテナホストに特化したCoreOS Container LinuxやRancher社Rancher OS、より歴史は長いがミニマルさが受けて一気に普及したAlpine Linux、IntelによるIntel CPUのためのClear Linuxあたりではないか。
まずContainer Linuxは一応Gentooの派生だが、コンテナーホスト・セキュリティー重視の観点から/var以外をユーザーが変更できない仕様となっている。OSのコアな部分はアップデート時に丸ごと置き換わる。このような仕様では他のディストリビューションに乗せる形では提供不可能で、インストール方法から独自に作り込む必要がある。なお、CoreOSはRed Hatに買収され、Red HatのAtomic Hostと統合されることが発表されている。
Rancher OSはDockerコンテナーホストとして設計されているが、PID 0がSysV initやSystemdではなくシステムコンテナーという時点で他とは一線を画している。コンテナーはchrootの派生と考えればホストシステムとゲストシステムの環境の隔離のために利用されることはおかしなアイデアではないが、ホストシステム自体をコンテナーにしてしまうというのは非常にユニークである。
Alpine Linuxは元は組込用だったと理解しているが、Docker社に標準コンテナーゲストOSとして採用されて爆発的に利用が増えた。様々な独自の仕組みが利用されているが、特筆すべきは最小インストール時でメモリー使用量64MB以下・ストレージ使用量8GB以下というフットプリントの小ささだろう。
Clear LinuxはIntelのIntelによるIntel Coreプロセッサーのためのディストリビューションで、Sandy Bridge以降のプロセッサーに最適化されている代わりに極めて軽量・高速である。パッケージ類はほぼ最新のものが採用され、Linuxカーネルも最新の5.1か、あるいはLTSとして4.19が利用できる。
上述のLinuxディストリビューションは単にユニークというだけでなく、アーキテクチャーが独自であるだけでなく非常にテクニカルに優れており、新しいディストリビューションを作る意義・思想が強く感じられる。
それに比べ、多くのLinuxディストリビューションは既存のメジャーディストリビューションにパッケージを追加し(特にデスクトップ周りの)設定を少し弄った程度のものが多い。
中華スマートフォンとの付き合い方
The Good and The Bad about the OnePlus 7 Pro - XDA Developers
中国OnePlusがOnePlus 7 ProおよびOnePlus 7を発表した。OnePlus 7については6月より限定地域で販売が始まるようだが、OnePlus 7 Proについては5月14日より米国・欧州をはじめワールドワイドで販売が開始されており、今週から各誌でレビューが掲載され始めている。
中国メーカー製スマートフォンはコストパフォーマンスに優れたスマートフォンを投入している一方でセキュリティーに不安があることから、筆者は中国メーカー製OSをカスタムAndroid OSに入れ替えた上で使用している。
Lineage OSに代表されるカスタムAndroid OSの導入にはBootloaderのUnlockが欠かせないが、Google Nexus/Pixelや中国製スマートフォンは一般に比較的容易にUnlockできる(Fastbootから "fastboot oem unlock" などでUnlockできるものが多い。それ以外でも公式に申請してunlock用イメージを入手するなどの方法で、多くがunlockできる)。そのため、XDA Developersなどを探せば多くのカスタムAndroid OSを見つけることができることが多い。もっともカスタムAndroid OSの多くはコミュニティー/個人による開発が主流で信頼性には不安があるため、メインのスマートフォンなど信頼性が求められる端末にはLineage OSのようなメジャーなディストリビューションを使うことを御勧めする。
問題は、それらはコミュニティーによる開発が主流なので、いつサポートが途絶えるか分からない点にある。実際、私が使用しているXiaomi Redmi Note 3 Pro Special Edition(Qualcomm Snapdragon 650ベース)の場合は2018年末にLineage OSのサポートが打ち切られてしまった。2016年に発売されたので実質2年強で信頼できるOSが無くなったことになる。逆に、Google Nexus 4のように2012年の発売から7年を経て未だにLineage OS公式ROMの配布が続いているような端末も存在する。
このサポート期間の問題には根本的な回避方法は存在しないが、対策として挙げられるのは「ユーザー数の多い」「技術者のユーザーが多い」といった開発コミュニティーが形成されやすい端末を選ぶ必要がある。上述のRedmi Note 3 Proの場合、ユーザー層はマニアックな人々が多そうに思われたが、いかんせん販売地域が限定的(中国・インド・台湾・東欧の一部)だったことから絶対的なユーザー数は少なかったのだろう。Nexus 4の場合はその性格上、開発者などにユーザーが多かったはずだが、安価で広く販売されたので絶対的なユーザー数も多かったのだろうと考えられる。
前置きが長くなったが、筆者がOnePlus製スマートフォンに期待するのはまさにその部分である。
単に性能や価格という面でみれば、OnePlus製スマートフォンが特に優れているとは言い難いだろう。中国にはOnePlusの親会社でもあるOppoやXiaomiをはじめとするスマートフォンメーカーが乱立しているからである。しかし、OnePlus製品は欧米で人気のためユーザー数が多く、カスタムAndroid OSの開発も活発である。Androidの公式なリファレンス端末はGoogle Nexus/Pixelなのだろうが、Nexus 5/6以降はXDA Developerでのスレッドを比較してもOnePlus製品の方がコミュニティーが活発である(例:2018年10月のフラッグシップOnePlus 6TとGoogle Pixel 3)。
気になるのはOnePlus 7 ProはともかくOnePlus 7は米国・カナダなどでは販売されないことで、英国では6月より販売されるようだがどの程度普及するのか興味深いところである。
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