任天堂の次世代ゲームコンソール
任天堂、新型スイッチを2019年後半に投入へ=関係者 - WSJ
2017年3月に発売されたNintendo Switchは、その2年も前に発表されたプロセッサー=NVIDIA Tegra TX1を採用しており一部では時代遅れだと批判された。2019年後半に改良版が出る場合に採用されるプロセッサーには疑問がある。廉価版なら同じプロセッサーを使えば良いが高性能版の場合は採用されるプロセッサーには候補が少ない。
現行Tegra X1(TX1)の開発・製造元であるNVIDIAは2015年頃を境にモバイルから車載へ転換しており、現在はニューラルプロセッシング技術のリーダーとして車載とサーバーに力を入れている。2015年頃まではタブレット用にもプロセッサーを供給しておりTX1や前世代のTegra K1はGoogle Pixelタブレット・Nexus 9タブレットに採用されていた。それに対し、車載はある程度の消費電力・発熱量・価格にたいする制約がモバイルと比較すると緩やかで、先日発表されたTegraの最新版Xavierの消費電力は30Wである。これはTX1の3倍に相当するが、そもそも$199のAndroidベースのゲームコンソールや$499の開発キットにも採用されているTX1に対し、Xavierの搭載製品は開発キットで$1,300~2,500もする。これは回路規模やターゲットとするパフォーマンスが異なることに起因し、全く別系統の製品であることの裏返しでもある。
実はTX1とXavierの間には2017年に登場したTegra X2(TX2)があり、こちらはNVIDIA Tegraがモバイルから車載への転換期の製品となっている(TX2の消費電力は7.5Wで、TX1よりも小さい)。TX2のCPUコアやGPUコアの構成はTX1のそれに似ているが一方で車載用のネットワークインターフェースであるCANにも対応するなど仕様も中間的である。もし2019年にNintendo Switchの高性能版がでるとすればTX2が搭載される可能性もある(いや、そもそもなぜNintendo Switchが2017年に登場した時点でTX2を搭載していなかったのか?という疑問の残るところではあるが…)
UC Berkeley BROOM
Hot Chips 30 - RISC-VのOut-of-Orderコア「BROOM」第1回 第2回 - マイナビ
Hisa Ando氏によるHot Chips 30の解説記事で、Univeristiy of California, BerkeleyによるRISC-V実装であるBROOM/BOOMv2について説明している。
このBROOM/BOOMv2は整数演算ユニット x2(整数演算のみ x1・整数演算/Div/Mul x1)・浮動小数点 x1・ロード/ストア x1という構成になっている。回路規模から判断する限りではARM Cortex-A9より劣る程度の性能と想像でき、スマートフォン全盛の今日ではあまり高性能とは言えない。
とはいえ、マルチコアが当たり前の昨今では2倍の回路規模(経験的に性能は1.4倍)のプロセッサーを作るよりも、効率良く動作させられる規模のコアを2倍載せる方が良い可能性も否定はできない。
例えば、UNIXサーバーの最高峰であるIBM POWER9の場合、小規模な64b-sliceを4個または8個まとめたものを各1コアとして、それぞれSMT4コア・SMT8コアと呼んでいる。そして64b-slice 1個が整数演算ユニット x1・Div x1・浮動小数点 x1・ロード/ストア x1となっており、規模的にはBROOMとよく似ている。言い換えればサイクルあたりの理論上の演算性能だけでいえばBROOMを8個集積すればIBM POWER9 SMT8コアに近い性能が出る可能性はある。
このあたりは周辺回路・OS・コンパイラー・ワークロードなど様々な要因に依存するので実現できるかどうかは不明瞭だが、要するに商用として競合に対抗するにはやや非力なBROOMは今後の研究用・実証用としては妥当な規模に思える。
Leica/Panasonic/Sigma L Mount Alliance
フォトキナ - インタビュー:「Lマウントアライアンス」の経緯と今後 - デジカメ Watch
印象的なのはSigmaの参画ではないだろうか。これまで非公式的だったPanasonic・LeicaとSigmaとの関係が公式になった形といえる。これまで明るみにでることはなくとも、Panasonic・LeicaとSigmaとの関係はあり、例えばAsph. 表記のあるLeicaレンズ(Mマウントのみ?)はSigma製造とされている。
垂直統合型のカメラ業界あるいは日本企業が主流の中で、水平分業的なアプローチが興味深いところである。これを素直に解釈すれば、CanonとNikonという超えられない二強の壁を見据えたとも考えられるが、それだけでなく三社それぞれの得意分野が異なるため補完関係・思惑が働いていると邪推する。
Leica —— Leicaのジレンマは高級ブランド品は多く売れない点ではないだろうか。それが、PanasonicのカメラやSigmaのレンズでLマウントに入門したユーザーが、ステップアップ先としてレンズやカメラをLeica製品に置き換えることで商機が増える。
Panasonic —— 現状の関係が維持されると仮定すれば、三社の中で最もカメラが売れるのはパナソニックだろう。また、これまで通りカメラ本体をLeicaにOEM供給するだろうし、CMOSセンサーなども供給するだろう。
Sigma —— 過去の経緯を鑑みるとLeicaブランド・PanasonicブランドのOEM/ODMを含めたLマウントレンズの製造を請け負う可能性もある。現行SAマウントとは異なり普及するマウントを採用することでカメラ本体も売りやすくなる。
言い方を変えると、Panasonicのカメラが売れることでOEM・ODMによりSigmaが儲かったりLeicaに商機が生まれたり、あるいはLeicaのカメラが売れることで部品を供給してPanasonicやSigmaが儲かったりする。