![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/4c/8cd3e2f8480efe764c55305dad92df7d.jpg)
所長 「ホンダのS660ってもう発売されとるんじゃろ。」
助手 「はい。4月2日に発売になってますね。」
所長 「その割りには見かけんのぉ。ディーラーの前を通るたびに覗き込んどるんじゃが、未だお目に掛かったコトがないわ。S660かと思ってみたらビートじゃったってパターンが多いの。」
助手 「それ言えてますよね。なんかS660が出てからやたらとビートを見掛ける気がします。相乗効果でビートもよく売れてるのかもしれませんね。」
所長 「売れるって言ってもタマ数がしれとるじゃろ。多分、S660発売に触発されて家で眠っとったビートを引っ張り出したんじゃないかのぉ。」
助手 「かもしれませんね。で、S660ですけど、こないだすれ違いましたよ。一瞬だったんでよく見れませんでしたけどね。なんでも月800台の少量生産らしいですし、各店舗には行き渡ってないそうですよ。」
所長 「そういうコトか。」
助手 「今注文しても納車は来年になるって話ですね。」
所長 「久し振りに景気のいい話じゃな。」
助手 「そうですかぁ。」
所長 「ん、なんか気に入らんのか。」
助手 「いや、そうじゃなくって、月800台しか生産出来ないから来年になるって話じゃないですか。単純に今年があと8ヶ月として6,400台しか生産出来ないんですから、来年になるって言ってもそんなに凄い台数だとは思えませんけどね。」
所長 「ああ、そういうコトか。ま、たしかにしれとるの。」
助手 「いつも所長が言ってるコトですけどね。」
所長 「じゃがこの手のスポーツカーって何十万台も売れるワケじゃないからの。はっきり言って初期受注が少なかったらお終いなんじゃ。じゃからバックオーダーを何ヶ月も抱えとるって言うのはやっぱり景気がいい話じゃと思うがの。」
助手 「それはそうかもしれませんね。」
所長 「月800台って台数もそれを見越してわざと少なくしとるんじゃろうし。」
助手 「何でもヒトの手と機械を融合させた専用工程を取り入れてるとかで、一日40台しか生産できないって話ですよ。わざとじゃないでしょ。」
所長 「そんなモンどうとでもなるじゃろ。」
助手 「いや、だからヒトの手と機械を融合した専用工程ですから、なんとでもならないんですよ。」
所長 「じゃったら、ヒトの手と機械を融合させん普通の工程でつくったらいいんじゃないのか。」
助手 「よくわかりませんけど、普通の工程じゃつくれないんじゃないですかね。ミッドシップのオープンカーですし。」
所長 「そんな特殊な工程が必要なクルマじゃったら200万で売るコトなんて出来んのじゃないか。百歩譲って特殊な工程が必要だとしても、ラインを二つつくれば倍つくれるじゃろうが。」
助手 「ま、理屈ではそうですけど、設備や人員の問題なんかもあるんじゃないですか。」
所長 「そうかのぉ。この手のクルマって欲しいモンに行き渡ってしもたら、需要がガクッと減ってしまうじゃろ。じゃから細く長く販売しようとしとるんじゃないか。」
助手 「細く長くですか。」
所長 「そうじゃ。前にホンダがつくっとったビートって今でも根強い人気があるんじゃが、販売しとったのは5年弱と意外に短かったんじゃ。」
助手 「5年が短いとは思いませんけど、後継車がなかったコトを考えると、もっと長く売ってくれても良かったとは思いますよね。」
所長 「最後はほとんど売れてなかったんじゃないかのぉ。時代的にバブルの後のスポーツカーにとっては辛いタイミングじゃったコトもあるんじゃが、売り方にも問題があったと思うんじゃ。」
助手 「売り方ですか。」
所長 「そうじゃ。当初の目標販売台数は3,000台と売る気満々じゃったワケじゃ。当時の資料がないから具体的な数字はわからんが、実際よぉ売れとったように記憶しとる。じゃが、長くは続かんかったのも覚えとるわ。」
助手 「言われてみればそうだったかもしれませんね。」
所長 「ためしに中古車情報の年式を見てみたんじゃが、実に62%が初年度の91年式じゃったんじゃ。」
助手 「そうですか。」
所長 「ようは小さい市場に早く出回ったせいで短命に終わってしまったってコトじゃな。」
助手 「欲しいヒトがひと通り買ったら売れなくなったってコトですね。」
所長 「じゃな。で、ダイハツから出た初代のコペンは目標台数を500台と低く設定して、10年も販売しとったんじゃ。」
助手 「でもコペンも長い間つくってましたけど、ずっと売れ続けてたワケでもないでしょ。」
所長 「細く長く展開した結果、輸出分も合わせた台数しかわからんかったんじゃが、ビートの3万3,892台に対してコペンが6万6,444台と倍ほど売れたんじゃ。商売としてどっちがいいかは一目瞭然じゃろ。」
助手 「でも販売台数が倍でも販売期間も10年と倍ですし、平均したら似たような数字になるんじゃないですか。」
所長 「販売期間が倍と言っても最初の5年とあとの5年では売り易さは雲泥の差じゃろうが。」
助手 「それもそうですね。」
所長 「それに平均したらビートが600台でコペンが540台なんじゃが、ビートの目標が3,000台、コペンの目標が500台って言うのを踏まえて見たら、どうじゃ。」
助手 「コペンって10年も売ってて平均で目標台数をクリアしてるんですか、それって驚異的じゃないですか。」
所長 「コペンの数字は輸出台数も含まれとるから実際にはもっと低いんじゃろうけど、どっちにしろ成功したのには違いないじゃろ。」
助手 「ですね。」
所長 「それらを踏まえてS660は少ない生産台数でも採算が合うつくり方をしてきたんじゃと思うんじゃ。特殊な工程って言っても機械でできんコトをヒトの手でやるから1日40台しか出来ないんじゃなくって、1日40台しかつくらんでも採算が取れるようにするためにヒトの手を使うっていうのも考えられるじゃろ。」
助手 「かもしれませんね。」
所長 「ま、どっちにしろ、この先しばらくは供給不足が続くじゃろうし、なかなかお目に掛かれんのには違いないのぉ。」
助手 「所長はS660どう思われます。」
所長 「そりゃいいに決まっとるじゃろ。クルマなんてモンは小さければ小さいほど面白いって相場が決まっとるしの。」
助手 「ボクはちょっと引っ掛かるんですよね。」
所長 「ほぉ、そうか。どこが気に喰わんのじゃ。」
助手 「気に喰わないとまではいいませんけど、なんか方向性がはっきりしないような感じがするんですよ。」
所長 「そうかのぉ。」
助手 「なんて言うか、ビートと比べると立派なスポーツカーになった気がするんですよ。ビートってどこかゆるい感じがしたじゃないですか。ビートがプラモデルだとしたらS660は重量感のある超合金って言うか。そのくせ肝心のエンジンがNボックスなんかと一緒でしょ。これがビートだとNAで軽の上限の64馬力を絞り出してたじゃないですか。」
所長 「あの頃のホンダはターボを乗せたがらなかったと言うか嫌っとった感じがしたの。そのお蔭でVTECなんて素晴らしいエンジンが誕生したワケじゃが。ビートにしてもMTRECって言ったかのぉ、3連スロットルのバイクみたいに回るエンジンで、今思うとつくづくいい時代じゃったと思うのぉ。」
助手 「あとオープンを謳う割りにタルガトップっていうのもどうかと思いますしね。荷物置き場が皆無なのとか、幌も手でクルクル巻くタイプでしょ。エリーゼやスーパーセブンのようなスパルタンなクルマのつもりなんですかね。」
所長 「スバルタンにしたいんじゃなくって、安く仕上げたかったからじゃろうな。」
助手 「その割りに快適装備なんかはとっても充実してるじゃないですか。なんて言うかそれぞれが別の方向を向いててまとまりがないっていうか、ホンダがS660をどんなクルマにしたいのかがイマイチ伝わらないんですよ。」
所長 「うーん、どう言ったらいいのかのぉ。今の時代にスポーツカーをつくるっていうのは、大変なコトなんじゃと思うんじゃ。」
助手 「それはわかります。」
所長 「つくっても売れんかったらダメなワケじゃし、お客の求めとるモンに敏感にならんとイカン。社内で企画を通すだけでも高い壁が幾つもあるんじゃと思うんじゃ。」
助手 「それはわかりますけど、その結果が方向性がバラバラでは意味がないでしょ。」
所長 「細かいトコを見れば妥協せんとイカンかったモンがいろいろあるんじゃろうけど、大局的に見ればじゃな、やりたいコトがちゃんと出来てるんであれば問題ないのかもしれん。」
助手 「エンジンや幌が細かい部分なワケないでしょ。」
所長 「もちろんそうじゃ。じゃがこのクルマのために新規でエンジンを開発するワケにはイカンじゃろ。幌の開閉にしてもそうじゃ。そんなコト言い出したらすぐに企画自体がボツになってしまうわ。」
助手 「まず、ホンダから小さいスポーツカーを出したいってコトが根っこじゃと思うんじゃ。その実現に向けて捨てるモンは捨てる、取り入れんとダメなモンは取り入れる。但し、根っこのスポーツカーって部分をしっかり持てるモンであれば・・・。てな感じなんじゃないかのぉ。」
助手 「・・・・。」
所長 「エンジンをミッドに積むコトを優先したせいで荷物が置けんようになったり、剛性を確保するために開口部の小さいタルガトップにしたり、200万を切る価格設定にするために幌を簡易式にしたり、どれも小さいスポーツカーを出すために必要な選択じゃったんじゃないかのぉ。軽規格に合致させたのももちろんそうじゃ。快適装備云々にしてもより多くのヒトに受け入れられる必要があるからじゃろ。」
助手 「でも快適装備が欲しいっていうヒトには、簡易式の幌や荷物置き場のないクルマでは、そもそも受け入れられないんじゃないですかね。」
所長 「そういうモンは普段は別のクルマに乗っとるじゃろ。で、天気のいいときの遊びグルマとして選んどるから、幌や荷室はそう問題にはならんのじゃないか。それよりも慣れ親しんだナビやエアコン、オートクルーズなんかの快適装備が充実しとる方が有り難いんじゃろ。」
助手 「結局金持ちのセカンドカーとしての需要ってコトですか。」
所長 「そこも狙わんとイカンってコトじゃ。貧乏なクルマ好きがこれ一台で存分に走り回るのももちろんアリじゃし、若い娘さんが見た目で選んでオートマで乗るのもアリじゃ。いろんな需要を満たして市場を広げんと販売に漕ぎ着けるコトはできんかったじゃろうしな。」
助手 「そう考えるとより多くのヒトにスポーツカーを楽しんで貰おうとした結果がS660ってコトですか。」
所長 「軽のオープンスポーツをホンダが出そうとするとこうなったっていう方が近いかのぉ。」
助手 「ま、出たクルマが良ければどっちでもいいんですけどね。」
所長 「ま、ビートと比べてどうのって言うのは酷じゃと思うの。さっきも言うたが時代が違うしの。ビートのような高回転を楽しめるエンジンなんか今では無理じゃろ。それとビートって決してゆるいクルマじゃなかったと思うんじゃ。黄色のイメージカラーや宣伝なんかがそう見えただけで、実際はかなり尖がったクルマじゃと思うぞ。ターボがなかったのもゆるく感じた一因かもしれんが。」
助手 「それはあるかもしれませんね。ターボって結構凶暴なイメージになりますよね。タイプRとランエボではイメージが全然違いますしね。」
所長 「言えとるの。」
助手 「デザインはどうですか。」
所長 「そこなんじゃ、ワシが一番気になっとるのわ。EVスターが軽とは思えんシャープなデザインじゃったから、どこまで市販車に落とし込んどるのかが、興味があるんじゃ。」
助手 「確かにEVスターは軽規格のサイズとコストでは収まりそうになかったですよね。」
所長 「写真で見る限り、サイドの厚みなんかはずい分と薄くなってしもたんじゃが、斜め後ろから見たトコなんかは、モチーフを上手く生かしとるように思うんじゃ。顔つきは、ま、あんなモンじゃろう。」
助手 「ライトをブルーのLEDに変えるとEVスターっぽくなるかもしれませんね。」
所長 「どうじゃろうな。ま、いずれにしろ200万で買える軽としては上出来じゃろ。気に入らんのは名前ぐらいじゃ。」
助手 「ビートを名乗っても良かったかもしれませんけど、ホンダとしてはビートの復活じゃなくって、全く新しいスポーツカーにしたかったんじゃないですかね。それにS660もホンダ伝統のスポーツカーの法則に則った名前ですし、ボクはいいと思いますけどね。」
所長 「そうかぁ。ロクロクマルって格好いいとは思えんがの。これがロクゴーマルじゃったらまた違っとったじゃろうけど。」
助手 「そっちですか。」
参考資料
ホンダS660(本田技研工業株式会社)
ホンダ・ビート(本田技研工業株式会社)
ホンダEV-STER(本田技研工業株式会社)
ダイハツ・コペン(轟クルマ文化研究所)
助手 「はい。4月2日に発売になってますね。」
所長 「その割りには見かけんのぉ。ディーラーの前を通るたびに覗き込んどるんじゃが、未だお目に掛かったコトがないわ。S660かと思ってみたらビートじゃったってパターンが多いの。」
助手 「それ言えてますよね。なんかS660が出てからやたらとビートを見掛ける気がします。相乗効果でビートもよく売れてるのかもしれませんね。」
所長 「売れるって言ってもタマ数がしれとるじゃろ。多分、S660発売に触発されて家で眠っとったビートを引っ張り出したんじゃないかのぉ。」
助手 「かもしれませんね。で、S660ですけど、こないだすれ違いましたよ。一瞬だったんでよく見れませんでしたけどね。なんでも月800台の少量生産らしいですし、各店舗には行き渡ってないそうですよ。」
所長 「そういうコトか。」
助手 「今注文しても納車は来年になるって話ですね。」
所長 「久し振りに景気のいい話じゃな。」
助手 「そうですかぁ。」
所長 「ん、なんか気に入らんのか。」
助手 「いや、そうじゃなくって、月800台しか生産出来ないから来年になるって話じゃないですか。単純に今年があと8ヶ月として6,400台しか生産出来ないんですから、来年になるって言ってもそんなに凄い台数だとは思えませんけどね。」
所長 「ああ、そういうコトか。ま、たしかにしれとるの。」
助手 「いつも所長が言ってるコトですけどね。」
所長 「じゃがこの手のスポーツカーって何十万台も売れるワケじゃないからの。はっきり言って初期受注が少なかったらお終いなんじゃ。じゃからバックオーダーを何ヶ月も抱えとるって言うのはやっぱり景気がいい話じゃと思うがの。」
助手 「それはそうかもしれませんね。」
所長 「月800台って台数もそれを見越してわざと少なくしとるんじゃろうし。」
助手 「何でもヒトの手と機械を融合させた専用工程を取り入れてるとかで、一日40台しか生産できないって話ですよ。わざとじゃないでしょ。」
所長 「そんなモンどうとでもなるじゃろ。」
助手 「いや、だからヒトの手と機械を融合した専用工程ですから、なんとでもならないんですよ。」
所長 「じゃったら、ヒトの手と機械を融合させん普通の工程でつくったらいいんじゃないのか。」
助手 「よくわかりませんけど、普通の工程じゃつくれないんじゃないですかね。ミッドシップのオープンカーですし。」
所長 「そんな特殊な工程が必要なクルマじゃったら200万で売るコトなんて出来んのじゃないか。百歩譲って特殊な工程が必要だとしても、ラインを二つつくれば倍つくれるじゃろうが。」
助手 「ま、理屈ではそうですけど、設備や人員の問題なんかもあるんじゃないですか。」
所長 「そうかのぉ。この手のクルマって欲しいモンに行き渡ってしもたら、需要がガクッと減ってしまうじゃろ。じゃから細く長く販売しようとしとるんじゃないか。」
助手 「細く長くですか。」
所長 「そうじゃ。前にホンダがつくっとったビートって今でも根強い人気があるんじゃが、販売しとったのは5年弱と意外に短かったんじゃ。」
助手 「5年が短いとは思いませんけど、後継車がなかったコトを考えると、もっと長く売ってくれても良かったとは思いますよね。」
所長 「最後はほとんど売れてなかったんじゃないかのぉ。時代的にバブルの後のスポーツカーにとっては辛いタイミングじゃったコトもあるんじゃが、売り方にも問題があったと思うんじゃ。」
助手 「売り方ですか。」
所長 「そうじゃ。当初の目標販売台数は3,000台と売る気満々じゃったワケじゃ。当時の資料がないから具体的な数字はわからんが、実際よぉ売れとったように記憶しとる。じゃが、長くは続かんかったのも覚えとるわ。」
助手 「言われてみればそうだったかもしれませんね。」
所長 「ためしに中古車情報の年式を見てみたんじゃが、実に62%が初年度の91年式じゃったんじゃ。」
助手 「そうですか。」
所長 「ようは小さい市場に早く出回ったせいで短命に終わってしまったってコトじゃな。」
助手 「欲しいヒトがひと通り買ったら売れなくなったってコトですね。」
所長 「じゃな。で、ダイハツから出た初代のコペンは目標台数を500台と低く設定して、10年も販売しとったんじゃ。」
助手 「でもコペンも長い間つくってましたけど、ずっと売れ続けてたワケでもないでしょ。」
所長 「細く長く展開した結果、輸出分も合わせた台数しかわからんかったんじゃが、ビートの3万3,892台に対してコペンが6万6,444台と倍ほど売れたんじゃ。商売としてどっちがいいかは一目瞭然じゃろ。」
助手 「でも販売台数が倍でも販売期間も10年と倍ですし、平均したら似たような数字になるんじゃないですか。」
所長 「販売期間が倍と言っても最初の5年とあとの5年では売り易さは雲泥の差じゃろうが。」
助手 「それもそうですね。」
所長 「それに平均したらビートが600台でコペンが540台なんじゃが、ビートの目標が3,000台、コペンの目標が500台って言うのを踏まえて見たら、どうじゃ。」
助手 「コペンって10年も売ってて平均で目標台数をクリアしてるんですか、それって驚異的じゃないですか。」
所長 「コペンの数字は輸出台数も含まれとるから実際にはもっと低いんじゃろうけど、どっちにしろ成功したのには違いないじゃろ。」
助手 「ですね。」
所長 「それらを踏まえてS660は少ない生産台数でも採算が合うつくり方をしてきたんじゃと思うんじゃ。特殊な工程って言っても機械でできんコトをヒトの手でやるから1日40台しか出来ないんじゃなくって、1日40台しかつくらんでも採算が取れるようにするためにヒトの手を使うっていうのも考えられるじゃろ。」
助手 「かもしれませんね。」
所長 「ま、どっちにしろ、この先しばらくは供給不足が続くじゃろうし、なかなかお目に掛かれんのには違いないのぉ。」
助手 「所長はS660どう思われます。」
所長 「そりゃいいに決まっとるじゃろ。クルマなんてモンは小さければ小さいほど面白いって相場が決まっとるしの。」
助手 「ボクはちょっと引っ掛かるんですよね。」
所長 「ほぉ、そうか。どこが気に喰わんのじゃ。」
助手 「気に喰わないとまではいいませんけど、なんか方向性がはっきりしないような感じがするんですよ。」
所長 「そうかのぉ。」
助手 「なんて言うか、ビートと比べると立派なスポーツカーになった気がするんですよ。ビートってどこかゆるい感じがしたじゃないですか。ビートがプラモデルだとしたらS660は重量感のある超合金って言うか。そのくせ肝心のエンジンがNボックスなんかと一緒でしょ。これがビートだとNAで軽の上限の64馬力を絞り出してたじゃないですか。」
所長 「あの頃のホンダはターボを乗せたがらなかったと言うか嫌っとった感じがしたの。そのお蔭でVTECなんて素晴らしいエンジンが誕生したワケじゃが。ビートにしてもMTRECって言ったかのぉ、3連スロットルのバイクみたいに回るエンジンで、今思うとつくづくいい時代じゃったと思うのぉ。」
助手 「あとオープンを謳う割りにタルガトップっていうのもどうかと思いますしね。荷物置き場が皆無なのとか、幌も手でクルクル巻くタイプでしょ。エリーゼやスーパーセブンのようなスパルタンなクルマのつもりなんですかね。」
所長 「スバルタンにしたいんじゃなくって、安く仕上げたかったからじゃろうな。」
助手 「その割りに快適装備なんかはとっても充実してるじゃないですか。なんて言うかそれぞれが別の方向を向いててまとまりがないっていうか、ホンダがS660をどんなクルマにしたいのかがイマイチ伝わらないんですよ。」
所長 「うーん、どう言ったらいいのかのぉ。今の時代にスポーツカーをつくるっていうのは、大変なコトなんじゃと思うんじゃ。」
助手 「それはわかります。」
所長 「つくっても売れんかったらダメなワケじゃし、お客の求めとるモンに敏感にならんとイカン。社内で企画を通すだけでも高い壁が幾つもあるんじゃと思うんじゃ。」
助手 「それはわかりますけど、その結果が方向性がバラバラでは意味がないでしょ。」
所長 「細かいトコを見れば妥協せんとイカンかったモンがいろいろあるんじゃろうけど、大局的に見ればじゃな、やりたいコトがちゃんと出来てるんであれば問題ないのかもしれん。」
助手 「エンジンや幌が細かい部分なワケないでしょ。」
所長 「もちろんそうじゃ。じゃがこのクルマのために新規でエンジンを開発するワケにはイカンじゃろ。幌の開閉にしてもそうじゃ。そんなコト言い出したらすぐに企画自体がボツになってしまうわ。」
助手 「まず、ホンダから小さいスポーツカーを出したいってコトが根っこじゃと思うんじゃ。その実現に向けて捨てるモンは捨てる、取り入れんとダメなモンは取り入れる。但し、根っこのスポーツカーって部分をしっかり持てるモンであれば・・・。てな感じなんじゃないかのぉ。」
助手 「・・・・。」
所長 「エンジンをミッドに積むコトを優先したせいで荷物が置けんようになったり、剛性を確保するために開口部の小さいタルガトップにしたり、200万を切る価格設定にするために幌を簡易式にしたり、どれも小さいスポーツカーを出すために必要な選択じゃったんじゃないかのぉ。軽規格に合致させたのももちろんそうじゃ。快適装備云々にしてもより多くのヒトに受け入れられる必要があるからじゃろ。」
助手 「でも快適装備が欲しいっていうヒトには、簡易式の幌や荷物置き場のないクルマでは、そもそも受け入れられないんじゃないですかね。」
所長 「そういうモンは普段は別のクルマに乗っとるじゃろ。で、天気のいいときの遊びグルマとして選んどるから、幌や荷室はそう問題にはならんのじゃないか。それよりも慣れ親しんだナビやエアコン、オートクルーズなんかの快適装備が充実しとる方が有り難いんじゃろ。」
助手 「結局金持ちのセカンドカーとしての需要ってコトですか。」
所長 「そこも狙わんとイカンってコトじゃ。貧乏なクルマ好きがこれ一台で存分に走り回るのももちろんアリじゃし、若い娘さんが見た目で選んでオートマで乗るのもアリじゃ。いろんな需要を満たして市場を広げんと販売に漕ぎ着けるコトはできんかったじゃろうしな。」
助手 「そう考えるとより多くのヒトにスポーツカーを楽しんで貰おうとした結果がS660ってコトですか。」
所長 「軽のオープンスポーツをホンダが出そうとするとこうなったっていう方が近いかのぉ。」
助手 「ま、出たクルマが良ければどっちでもいいんですけどね。」
所長 「ま、ビートと比べてどうのって言うのは酷じゃと思うの。さっきも言うたが時代が違うしの。ビートのような高回転を楽しめるエンジンなんか今では無理じゃろ。それとビートって決してゆるいクルマじゃなかったと思うんじゃ。黄色のイメージカラーや宣伝なんかがそう見えただけで、実際はかなり尖がったクルマじゃと思うぞ。ターボがなかったのもゆるく感じた一因かもしれんが。」
助手 「それはあるかもしれませんね。ターボって結構凶暴なイメージになりますよね。タイプRとランエボではイメージが全然違いますしね。」
所長 「言えとるの。」
助手 「デザインはどうですか。」
所長 「そこなんじゃ、ワシが一番気になっとるのわ。EVスターが軽とは思えんシャープなデザインじゃったから、どこまで市販車に落とし込んどるのかが、興味があるんじゃ。」
助手 「確かにEVスターは軽規格のサイズとコストでは収まりそうになかったですよね。」
所長 「写真で見る限り、サイドの厚みなんかはずい分と薄くなってしもたんじゃが、斜め後ろから見たトコなんかは、モチーフを上手く生かしとるように思うんじゃ。顔つきは、ま、あんなモンじゃろう。」
助手 「ライトをブルーのLEDに変えるとEVスターっぽくなるかもしれませんね。」
所長 「どうじゃろうな。ま、いずれにしろ200万で買える軽としては上出来じゃろ。気に入らんのは名前ぐらいじゃ。」
助手 「ビートを名乗っても良かったかもしれませんけど、ホンダとしてはビートの復活じゃなくって、全く新しいスポーツカーにしたかったんじゃないですかね。それにS660もホンダ伝統のスポーツカーの法則に則った名前ですし、ボクはいいと思いますけどね。」
所長 「そうかぁ。ロクロクマルって格好いいとは思えんがの。これがロクゴーマルじゃったらまた違っとったじゃろうけど。」
助手 「そっちですか。」
参考資料
ホンダS660(本田技研工業株式会社)
ホンダ・ビート(本田技研工業株式会社)
ホンダEV-STER(本田技研工業株式会社)
ダイハツ・コペン(轟クルマ文化研究所)
だけどこれだけは言える。
新型ロードスターの方が500億倍カッコいいと!個人の感性の違いと言えばそれまで。
軽四でスポーツカー造ったと言うより普通車のスポーツカーを小さくして軽四サイズにした様なイメージでした、何言ってんだか解らないですね。
お父さんの通勤スペシャル兼足車兼趣味のスポーツカーに良さそうと思い座ってみたのですが、
カバンや買物が助手席にしか載らないのと肩幅広くてNBロードスターが辛くてNCロードスターなら大丈夫な自分には幅が辛いのと、ドア開口部前端が後ろ寄りで足を入れ難いからロードスターよりドアを大きく開けなきゃ成らないのが少し辛い感じでした。
ガタイの良いオッさんとしては、ミッドシップでサイドシル補強すればセンタートンネル要らない様な気がするんで、いっそ真ん中シングルシーターでレカロSRサイズのシート着けて売ってくれたら良いのにと。
センターシングルシーターならシフトレバーとサイドブレーキの位置だけで輸出OKで、ガタイの良い外国人も楽勝なポジションで、エンジンを刺激的にすればF1気分で、CVTパドルシフトにスティック式サイドブレーキなら左右通行共通仕様とどうですかね?
わたしは偶然に試乗できたラッキーなくちです。
たまたまHPで調べたらわりと近くのディーラーさんにMTの試乗車があると分かって、翌日お昼過ぎに行ってみたら「15時以降は試乗予約がいっぱいで、明日には県内の他の市へ移送するところなんです」とぎりぎりすべりこみセーフで試乗。
試乗ってわたしドキドキしてしまうのですが、このS660は運転していてすごーく楽しくてあともうちょっと乗っていたいと感じました。
乗り降りが大変とか後方確認がしにくいとか荷物置くとこがないとかネガがふっとんじゃうくらいの魅力がこの車にはあるように思いました。
>ステップワゴンにしろ最近迷走中のホンダにしては、秀作の予感がしますね~復活の狼煙となればいいですね~
>だけどこれだけは言える。
>新型ロードスターの方が500億倍カッコいいと!個人の感性の違いと言えばそれまで。
ここんトコ、ホンダのデザインが良くなってきた気がします。(ボクの好みが基準ですが)
新型ロードスター、昨日見に行ってきたのですが、カッコ良かったですね。
(ライトのカタチだけは馴染めませんが。)
あれが250万で買えるんなら、それより高いスポーツカーってどうやって売ればいいのやら・・・。
>軽四でスポーツカー造ったと言うより普通車のスポーツカーを小さくして軽四サイズにした様なイメージでした、何言ってんだか解らないですね。
ボクは反対に普通車のスポーツカーでは出せない玩具っぽさがS660の魅力のような気がします。
>ミッドシップでサイドシル補強すればセンタートンネル要らない様な気がするんで、いっそ真ん中シングルシーターでレカロSRサイズのシート着けて売ってくれたら良いのにと。
>センターシングルシーターならシフトレバーとサイドブレーキの位置だけで輸出OKで、ガタイの良い外国人も楽勝なポジションで、エンジンを刺激的にすればF1気分で、CVTパドルシフトにスティック式サイドブレーキなら左右通行共通仕様とどうですかね?
シングルシーターですか!
確かに左右通行共通仕様は面白いですよね。軽の小さなボディでもゆったり乗れるのもいいです。
S660ならではというか、ホンダならではって感じでいいんですけど、実際問題として購入を考えたとき、
一人乗りってどうなんでしょうね。玩具って割り切ればアリなんでしょうけど、ボクは踏み切れないですね。
>きゃー、「えすろっぴゃくろくじゅう」だと思ってました、恥ずかし。
S800は「えすはっぴゃく」S2000は「えすにせん」ですし、「えすろっぴゃくろくじゅう」でも間違いじゃないんでしょうね。
ただニュースリリースに「エスロクロクマル」って書いてあるんで、ホンダとしては「えすろくろくまる」って読ませたいんでしょうね。
多分、一番読みやすい(文字数が少ない)のが正解じゃないですかね。
試乗ラッキーでしたね。(もしくは営業さんの超絶トークかも)
>乗り降りが大変とか後方確認がしにくいとか荷物置くとこがないとかネガがふっとんじゃうくらいの魅力がこの車にはあるように思いました。
この一言でS660を言い表してますね。ホンダの広報誌に載せたいぐらいです。
S660は価格が高すぎる。
軽スポーツを求める人って本音ではコストの安さを求めている気がします。
話は変わりますが、ジェイドってオデッセイの乗り換え狙いらしいですね。
全然気付きませんでした。
私は基本、3列シートであるとか構造がどうであるかという事よりも、雰囲気で車を判断しています。
その上で言うと、ジェイドと旧オデッセイは全く繋がらない。
S660も軽スポーツというイメージと繋がらない。
なんだかそんな気がします。
ホンダ、魅力ありませんか?
ボクは逆に最近、少しいいなって思えます。
>S660は価格が高すぎる。
>軽スポーツを求める人って本音ではコストの安さを求めている気がします。
確かに高いですよね。
ただ、軽と言えども求められてるモノが昔よりずっと多くなってるんで、価格に反映するのは仕方がないのかなって気もすます。
何にも付いてないスッピン仕様を安くで提供してもらえれば嬉しいんですが。
>話は変わりますが、ジェイドってオデッセイの乗り換え狙いらしいですね。
>全然気付きませんでした。
>私は基本、3列シートであるとか構造がどうであるかという事よりも、雰囲気で車を判断しています。
>その上で言うと、ジェイドと旧オデッセイは全く繋がらない。
確かに繋がりませんよね。ストリームとも違いますよね。
>S660も軽スポーツというイメージと繋がらない。
>なんだかそんな気がします。
S660は軽スポーツって感じがします。あくまでもボクのイメージですが。