轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

日産 プレサージュ

2006-06-15 19:13:33 | NISSAN
助手 「所長、どう思われますか。」

所長 「何がじゃ。」

助手 「何がって、プレサージュですよ。」

所長 「プレサージュか、マイチェンしたらしいな。」

助手 「マイチェンしたらしいって、いきなりムラーノ顔に変わってしまったじゃないですか。」

所長 「そうみたいじゃな。」

助手 「そうみたいって所長、こないだ言ってたじゃないですか。売れてないクルマの見た目を変えるマイチェンがダメなんだって。今度のプレサージュなんて、まさにそのまんまじゃないですか。」

所長 「その通り、まったくダメじゃ。じゃが日産とプレサージュの今置かれとる現状を見とると、致し方ない気もするんじゃがな。」

助手 「確かに最近の日産の落ち込みはヒドいですね。前年対比もここんトコずっとマイナスですしね。」

所長 「誰が販売台数の話しをしとるんじゃ。」

助手 「え、違うんですか。でも日産自身も想定外の落ち込みだって言ってますし。」

所長 「確かにここんトコの日産の売れ行きが悪いって色んなところで叩かれとるが、前年対比が悪くなるのは、ハナから判りきったことじゃろ。」

助手 「どういうことですか。」

所長 「去年の今頃を思い出してみろ、新車がゴロゴロしとったじゃろうが。新車効果で日産の実力以上の販売台数が稼げた訳じゃ。で、昨年から今年にかけては台数があまり期待出来んウィングロード、シルフィにデータに反映しない軽自動車のモコしか出しとらんのじゃから、販売台数が前年より下回るのは当たり前の話しじゃ。」

助手 「それは分かりますけど、マーチやキューブのような基幹車種の落ち込みが想定以上なのはどうですか。」

所長 「そんなモン、ティーダやノートと言った同クラスのクルマを出しとるから、あおりを喰っとるのに決まっとるじゃろうが。車種が倍になっても営業マンの数はおんなじじゃし、お客の数もいきなり増えんからな。そんなこと日産もわかっとって出しとるんじゃとばっかり思っとったんじゃがな。それでトータルで台数が稼げればいいっていう戦略じゃと思っとったんじゃ。」

助手 「そう言われればそうですね。マーチ、キューブにティーダ、ノートを足せば、出る前よりも台数は伸びるでしょうしね。」

所長 「じゃが日産は倍になるとでも思っとったんじゃろ、甘過ぎるわ。そんなに簡単に伸ばせる訳ないじゃろうに。」

助手 「じゃあ所長、日産とプレサージュの置かれてる現状っていったい何ですか。」

所長 「そんなモン、今のデザイン戦略に決まっとるじゃろう。ゴーン体制になって徹底的なリストラで赤字体質を改善したじゃろう。で、売り上げ拡大のためにデザインを切り口にして販売台数を伸ばそうとしたのは知っとるじゃろう。」

助手 「いすゞから中村さんを引き抜いた件ですね。」

所長 「そうじゃ。日産の販売不振の原因はデザイン力の無さという分析じゃな。でデザイン力を強化して悪いデザインをなくしたんじゃ。実際ゴ-ン体制になってからヒドいデザインが消えていったじゃろう。」

助手 「そうですね。マーチ、キューブにZ、ムラーノといいデザインが続きましたよね。最近のウィングロードやシルフィなんかはちょっと疑問を感じますけど。」

所長 「じゃがデザインを良くしても販売台数が思ったように伸びんかったんじゃ。一時はよく見えたんじゃが、新車効果が薄れてきたら、以前の日産とあんまり変わらんかった訳じゃ。」

助手 「どうしてですかね。」

所長 「色んな理由があるじゃろうけど、一番はユーザーのニーズとズレとったのと、思ったより日産のブランド力が弱かったと言うことじゃろうな。」

助手 「どういうことですか。」

所長 「つまり、お客はいいデザインを求めとった訳じゃなかったんじゃ。おおよそ流行りのイカツいデザインにでもニーズが向いとったんじゃろう。それと日産が提唱するデザインにユーザーを引き込むほど、吸引力もなかったという訳じゃ。」

助手 「吸引力ですか。」

所長 「そうじゃ。もしトヨタがおんなじ戦略を取っとったら、ユーザーの反応も違っとったかもしれん。」

助手 「それはそうかもしれませんね。」

所長 「で、日産車の中で最もユーザーのニーズに合っとったのがムラーノだった訳じゃ。ムラーノの顔には独特の迫力があるからな。宇宙船みたいじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。それでプレサージュにムラーノの顔を付けたということですか。」

所長 「プレサージュのデザインはワシは気に入っとるんじゃが、今のお客には綺麗過ぎるんじゃ。」

助手 「綺麗過ぎるんですか。」

所長 「そうじゃ。プレサージュが出だあとすぐにオデッセイが出たじゃろう。オデッセイの強烈なインパクトと比べるとアクがない分、埋没してしまうんじゃろうな。」

助手 「確かにそうですね。オデッセイには新しさを感じますけど、プレサージュは旧態依然のミニバンですしね。」

所長 「それにオデッセイには初代、二代目が築いたブランド力と既存のユーザーがいるんじゃが、プレサージュは先代も泣かず飛ばずじゃったから、スタートからして不利じゃしな。今から思うとプレサージュがオデッセイのようなインパクトを出さんといかんかったんじゃ。」

助手 「うーんそうですか。日産のデザインに方向転換が必要なのかもしれませんね。」

所長 「そうじゃな。いいデザインを出せば売れると踏んどったんじゃが、違った訳じゃ。ワシからすれば、もう少し我慢して今の路線が定着するまで続けて欲しかったんじゃが、今の日産を見てると変えて来そうな気がするな。」

助手 「そうですね。」

所長 「そんなことではユーザーのニーズに右往左往しとった昔の日産に逆戻りしそうじゃわい。ルノー撤退という最悪のシナリオにならんといいんじゃがな。」

助手 「そうならないためにも、まず新しいプレサージュがどうなるかですね。先代のウィングロードの例もあることですし、起死回生の一発になって欲しいところですが。」

所長 「まあ難しいじゃろうな。ムラーノのデザインの良さって、グリルだけじゃなくってバンパーの形状や全体のフォルムまで含めたモンじゃから、グリルだけを移植しても単に後付のエアロを纏ったようにしかならんじゃろう。ま、それがいいっていうお客がどれだけおるか、じゃな。」

助手 「そ、そうですか・・・。」


参考資料
日産プレサージュ(日産自動車株式会社)
日産ムラーノ(日産自動車株式会社)
ホンダ・オデッセイ(本田技研工業株式会社)


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