轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

ホンダ N-ONE(エヌワン)

2012-12-14 19:40:35 | HONDA
助手 「ホンダ期待のNワンですけど、調子いいみたいですね。」

所長 「じゃな。」

助手 「ボクも見に行ってきましたけど、ホントによく出来てましたよ。」

所長 「ほう、そうか。」

助手 「なんて言うか、軽自動車ってくくりや言い訳けが必要ないって感じですよね。」

所長 「えらい褒めようじゃの。」

助手 「乗った感じとか、とても軽とは思えませんし、フォルクスワーゲンのup!と比べても、広さも座り心地も贔屓目なしにNワンの勝ちだと思いますよ。」

所長 「ほぉ、それだけ気に入っとるんじゃったら、買えばいいじゃろうが。」

助手 「うーん、・・・ひとつ気に入らないトコがあるんですよ。」

所長 「なんじゃ、気に入らんのか。」

助手 「このクルマって昔のN360を現代に甦らせたクルマなワケでしょ。その割りにデカいんですよね。」

所長 「それは仕方がないじゃろ。ミニにしてもフィアット500にしても、現代に求められとるサイズを考えて大きくしとるからの。」

助手 「いや、それはわかるんですよ。何もあのサイズのまま出せって言ってるワケじゃないんですよ。」

所長 「じゃあ、どうじゃったらいいんじゃ。」

助手 「背をもっと低くした方がよかったと思うんですよ。全長、全幅が軽の枠いっぱいなのは仕方ないにしても、全高に関してはもっと低いクルマもあるじゃないですか。あの背の高さのせいで、N360の可愛さが微塵も感じられませんし、やたらと幅が狭く感じるんですよ。」

所長 「うーん、確かにNコロって感じはせんの。」

助手 「でしょ。2009年の東京モーターショーにEV-Nってクルマが出てたんですけど、あれはNコロって感じがしたんですけどね。」

所長 「あれは背の高さって言うより、全長が短かったんじゃなかったかの。それにあれはあくまでもショー向けのコンセプトカーじゃし、居住性なんて端っから考えとらんのじゃろう。」

助手 「そうなんですけど、あのイメージをもっと生かすべきだと思うんですけどね。」

所長 「背を低くしたぐらいで可愛くなるとは思えんがの。」

助手 「でも前から見たときの安定感は良くなると思うんですけどね。」

所長 「わからんでもないが、スバルのR1やR2の前例があるように、見た目の可愛さよりも広さの方が求められとるのは間違いないじゃろうしの。」

助手 「でもミライースの背は高くないですよね。あのクルマって燃費の良さと価格の安さの魅力が居住性を上回ってるから、売れてるワケでしょ。だったらNワンもデザインの良さや質感の高さ、走りの良さ、それに燃費もいいですし、居住性を上回る魅力を兼ね備えてると思うんですけどね。」

所長 「うーん、・・・お前の言わんとするコトもわかるし、それも間違っとらんと思うんじゃが、ワシは全く違うように見とるんじゃ。」

助手 「えっ、どういうコトですか。」

所長 「まずこのクルマって、N360のリバイバルなんかじゃ、ないんじゃないかのぉ。」

助手 「えっ、・・・ま、まぁリバイバルっていうよりは、モチーフにしたって感じでしょうけど。」

所長 「うーん、じゃあ一旦、N360の話をこっちへ置いといて、このクルマを見た方がいいかのぉ。」

助手 「は、はぁ。」

所長 「まずじゃな。ホンダは数年前から軽自動車を見直して本腰を入れてきとるじゃろ。」

助手 「はい。その第1弾のNボックスは大成功でしたよね。」

所長 「そうじゃな。そもそもホンダは何で軽にチカラを入れてきたんじゃ。」

助手 「それは軽の販売が伸びてるからでしょ。」

所長 「そうじゃ。今の国内の販売の2台に1台は軽じゃし、今後もこの流れは続いていくじゃろ。」

助手 「そうでしょうね。軽の規格がなくなりでもしない限り、今の不況が続けば軽が逆転してしまうコトもあり得ますよね。」

所長 「これまでミニバンやフィットが売れとったから、たいして儲からん軽を取りにイカンでも良かったんじゃが、燃費に意識がいくようになってから、状況が変わってきつつあるんじゃ。つまり燃費のいいハイブリッドと維持費の安い軽にお客が集中しだしたんじゃ。」

助手 「そうですね。フィットもハイブリッドを設定してから、そっちに需要が移ってますからね。」

所長 「国内のお客の数は限られとるし、ダイハツやスズキに流れてしもたら、取り返すのは大変じゃからの。お客を逃さんためにも育てる意味でも、今やらんとイカンのは軽のテコ入れというコトになるわの。」

助手 「ですね。日産も三菱と組んでやるそうですし、あのトヨタでさえラインナップに軽を加えてきましたからね。」

所長 「そういうコトじゃな。で、今の軽の市場って大きく分けて三つに分けられると思うんじゃ。」

助手 「あ、わかります。背の低いミラやアルトのクラス、中ぐらいのワゴンR、ムーヴのクラスに、あとタント、パレットにNボックスのスライドドアの付いたクラスですね。」

所長 「じゃな。まずホンダが手を付けたのが一番大きなNボックスじゃ。ここはホンダお得意のセンタータンクレイアウトと、後発の強みでクラス最大のスペースを確保して、まんまとトップに躍り出たワケじゃ。」

助手 「ですね。」

所長 「で、ミライースとアルトエコがしのぎを削っとる燃費と価格勝負のクラスは、ホンダにとっては手を出しにくい気がするんじゃ。ただでさえ利益の出にくい軽なのに、開発費をたっぷり掛けて燃費のいいクルマをつくって、それを安くで売らんとイカンのじゃからな。こんな割りに合わん商売はないわな。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「多分、ホンダがやるんなら変化球で勝負してくるじゃろ。」

助手 「真っ向勝負は避けてきそうですね。」

所長 「で、最後はワゴンRのクラスじゃ。このクラスってこないだワゴンRが出たときにも言うたんじゃが、燃費、価格、居住性のバランスが売りのクラスで、ワゴンRとムーヴが圧倒的な知名度とシェアを握っとるワケじゃ。」

助手 「販売ではNボックスに押されてますけどね。」

所長 「じゃがNボックスだけしか売れんのではイカンじゃろ。次の一手としてワゴンRの対抗馬をホンダが出したとして、ワゴンR、ムーヴがしのぎを削っとるところに割って入ろうと思ったら、それらを凌駕する性能がないと厳しいってコトじゃ。」

助手 「ですね。」

所長 「例えばワゴンRのサイズや価格で、Nボックス並みの居住性を確保するとか、ミライース並みの燃費や価格を実現するとか。」

助手 「それぐらいやれば確かに売れるでしょうけど、いくらなんでも無理でしょ。」

所長 「じゃな。何年後かには出来るかもしれんが、その頃には他社も出してくるじゃろうしな。」

助手 「そこでN360のデザインが出てくるワケですか。」

所長 「そう慌てるな、まだじゃ。」

助手 「えっ、違うんですか。」

所長 「ホンダは新しいクルマの武器として、軽自動車の常識を超えた質感と性能を用意してきたんじゃ。さっきお前も言っとったじゃろうが。」

助手 「あっ、そうでした。」

所長 「言い換えるとホンダは軽自動車枠に収まるサイズの小型車をつくってきたワケじゃ。開発の目標値や評価基準なんかはライフよりフィットに近いんじゃないかのぉ。利益がちゃんと出とるのか心配になるぐらいじゃ。」

助手 「言えてますね。」

所長 「ただそれって乗らんとわからんのじゃ。室内スペースや燃費、価格なんかじゃったらカタログを見たり、他のクルマの数字と比較すればわかるんじゃけどな。」

助手 「ですね。」

所長 「じゃあ、どうやって乗せるかを考えると、まずこのクルマに興味を持ってもらうための武器が必要になるわな。それも飛びっきりインパクトの高いのが欲しいトコじゃろ。」

助手 「ああ、そこでN360になるワケですね。」

所長 「そういうコトじゃ。言い方は悪いがいわゆる客寄せパンダってヤツじゃ。前にライフが出たときにも言うたと思うんじゃが、いいクルマをつくっても乗らんとわからんのでは買ってもらえんからの。今の時代、どうやって乗せるかをセットで考えんとイカンのじゃ。」

助手 「かもしれませんね。」

所長 「さっきお前が言っとったようにもうちょっと背を低くしてN360の可愛さを売りにするコトも出来るんじゃろうけど、それじゃったら大きな商売にはならんじゃろ。」

助手 「ラパンなんかと同じくくりに見られるかもしれませんね。」

所長 「ま、話題性はあるしもっと売れるじゃろうけど、主流にはなりにくいじゃろ。それよりはそこそこ似せてつくってあるんじゃけど、格好よりもお客の要望に合った用途を確保して、内容を高めた方がより大きな効果を期待できるじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「もっともホンダにワゴンRのように核になるクルマが別にあるんなら、派生車として違った展開もあるんじゃろうけど、今の状況ではNワンを販売のメインに据えたいじゃろうしな。」

助手 「言えてますね。今回はまったくもって所長の仰る通りだと思います。」

所長 「今回はって、いつもじゃろうが。」

助手 「うーん、ま、そういうコトにしときます。あっ、それとターボの話をしようと思ってたんですけど。」

所長 「ああ、ツアラーとか言うそうじゃな。あれも上手いコトやりよるの。素のグレードとプレミアムのどっちでもターボが選べるんじゃろ。今までじゃったら不細工なクセに割高のカスタムにせんと付かんかったしの。」

助手 「いや、それもそうなんですけど、ボクが言いたかったのは、『ダウンサイジング過給』ってどうなんですかね。1.3リットル並みの性能らしいんですけど、どう見たってNAモデルよりも高性能っていう、今までの位置づけと変わらないと思うんですけど。」

所長 「うーん、軽ターボのイメージをこれまでのヤンチャなモンから、ヨーロッパ・メーカーの大人っぽい感じに変えたいんじゃろうけど、あんまり上手いとは思えんの。ま、フィットにこのエンジンを載せるようになったら胸を張ってそう言えるんじゃけどな。」

助手 「フィットが660cc ですか。うーん、安っぽく感じますよね。」


参考資料
ホンダN-ONE(本田技研工業株式会社)
ホンダN360(本田技研工業株式会社)
ホンダEV-N(本田技研工業株式会社)
ホンダNボックス(轟クルマ文化研究所)
ホンダ・ライフ(轟クルマ文化研究所)

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6 コメント

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Unknown (ひでゆき)
2012-12-15 09:23:03
「母を訪ねて三千里」のアメディオ(小さな猿)の顔とそっくりで
BMWミニとやっぱり似ていたりします。(笑)

 そのBMWミニやフィアット500、ビートルと同じように
過去のクルマをイメージしたクルマなのですが
外国産のは2ドアのままに対して、4ドアで出したあたりは
やっぱり日本産なんだなぁ~っと。
(イメージより利便性重視=というか軽じゃ2ドアだと売れないんだけど。)

 実際、ライフと比べてどうなの?住み分けは?というのが気になります。
返信する
Unknown (通りすがり)
2012-12-15 13:24:13
N-ONE、背を低く作ろうと思っても構造上できなかったのかもしれません。
http://autoc-one.jp/honda/n-one/newmodel-1229713/

全高が高くなってしまったのは、センタータンクレイアウトにした功罪みたいですね。
今後もNBOXのプラットフォームを使いまわす新車種は、背の高いクルマばかりになってしまうかも。
返信する
Unknown (宇垂)
2012-12-17 19:33:15
ひでゆきさん

>「母を訪ねて三千里」のアメディオ(小さな猿)の顔とそっくりで
>BMWミニとやっぱり似ていたりします。(笑)

アメディオ!確かにそっくりですね。
白いボディカラーならさらにそっくり(笑)

>外国産のは2ドアのままに対して、4ドアで出したあたりは
>やっぱり日本産なんだなぁ~っと。
>(イメージより利便性重視=というか軽じゃ2ドアだと売れないんだけど。)

ですね。日本では元ネタがどうのっていうより、利便性が求められますよね。

> 実際、ライフと比べてどうなの?住み分けは?というのが気になります。

ライフはすでに過去のクルマになってますよね。
次期ライフがどうなるか、楽しみです。
返信する
Unknown (宇垂)
2012-12-17 19:34:02
通りすがりさん

>N-ONE、背を低く作ろうと思っても構造上できなかったのかもしれません。

>全高が高くなってしまったのは、センタータンクレイアウトにした功罪みたいですね。
>今後もNBOXのプラットフォームを使いまわす新車種は、背の高いクルマばかりになってしまうかも。

リンク先の記事、拝見しました。
N-ONEの背が高くなった原因が、まさかのセンタータンクレイアウトにあったとは。
ただ記事によると、センタータンクレイアウトを採用するとリアシートの床面が他の軽自動車より少し高くなるとのことですが、タンクがない分低く出来るのがセンタータンクの売りだったはずじゃあ・・・。
推測するに前席下のタンクの張り出しを小さくするために、床面全体をかさ上げしてあるのかもしれませんね。

次期ライフはどうなるんでしょうね。(背が高いのに32.0kmって記事を見かけましたが)
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Unknown (ひでゆき)
2012-12-30 22:21:21
 センタータンクだけのせいじゃないと思います。

室内長を取るためにエンジンルームの前後長を狭めた結果
エンジンを倒すことが出来ないわ、エアクリetcがエンジンの上に載っているので
ボンネットは高くなり、それに合わせてデザインすれば当然
車高は高くなりますよ。

 それにしてもN-ONEは、ソリオを越えるコメがあると思ったんですが…。
返信する
Unknown (宇垂)
2013-01-03 10:48:44
ひでゆきさん

> センタータンクだけのせいじゃないと思います。

>室内長を取るためにエンジンルームの前後長を狭めた結果エンジンを倒すことが出来ないわ、エアクリetcがエンジンの上に載っているのでボンネットは高くなり、それに合わせてデザインすれば当然車高は高くなりますよ。

ボンネットの高さありきですか。それも考えられますね。
次にどんなクルマが出てくるか、個人的には予想を裏切るホンダらしいのに期待します!

> それにしてもN-ONEは、ソリオを越えるコメがあると思ったんですが…。

人気とコメント数は比例しないみたいですね(笑)
返信する

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