碧空の下で

人生の第四コーナーをまわって

タイ8

2015-06-26 16:10:08 | タイ紀行
この作品は、バンコクのコンテンポラリーミュージアムにあったものです。一見家具のように見えるのですが、用途は何かよくわかりません。開き戸の取っ手が付いているのですが、4面に波の文様が描かれているだけの箱状の形になっております。何かの容器にも見えるのですが、装飾的なオブジェとしてつくられたのかもしれません。よく見ると、直方体ではなく、上方へ行くにしたがって小さくなっている。真横から見るとわずかな台形になっております。なにか仏具の一種なのかもしれないと思わす形です。つまり台形にすることによって上昇性が生まれる。このまま大きくしたらいつかは上方で四つの稜が一点に収斂される。そういう形です。タイではこの「上昇性」というのがひとつのキーワードではないかと感じているのです。とくに仏教の影響が強いところの建築は「上昇性」が顕著になってくる。つまり寺院の形を見ると、屋根を何層にもかさね、その稜線の最後をを下から上へ極端に持ち上げている。日本の寺院と比べると、その上昇性は顕著に見える。宗教性のある建築物はキリスト教会にしろピラミッドにしろ一般に上昇性があるのですが、タイでは顕著にみえる。







カトマンズの寺院



話をもどして、この作品です。波紋がえがかれているのがわかると思いますが、この波紋が興味深い、多分作者はこの波を描きたかったのではないかそのための形だったのではないかと想像しております。遠くから見ると青海波に見えますが、よく見ると一つ一つの波が違うのですね。日本では見れない波の描き方です。こういう波紋は誰でも描けそうでなかなか描けないもんです。日本では伝統的にパターン化してしまった感があり、いまさらこんな波に手を加えようとする人はいないと思う。ある意味目からウロコです。



さて、波といえば、あの津波を思い出しますが、タイでも何年か前、インドネシアでの大地震のあと津波が襲いまして、犠牲者が多く出ているのです。私のタイ語の先生の友達も津波で亡くなったと聞いています。そんなことを考えると、波を描く理由があったのかもしれません。そして宗教性を感じる形からみると、この作品の意味がおぼろげに浮かんでくる気がします。

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