パーイからバイクで国道1095号線を北上する。先導するチーさんのバイクを追いかけながら、タイの山の間を縫うように、ショートカットなしの等高線トレースのクネクネ道を気分よく走る。街の喧騒よりタイの自然の中を走るのが一番気持ちがいい。ここまで来たかいがある。乾季の山は木の葉が落ちて、日本の晩秋のようなたたずまいで、寂寥感がある。谷合に広がるわずかな田んぼも乾いて灰色の土に覆われている。ところどころ野焼きの煙が見える。落ちた葉を燃やして肥料代わりにするのか、害虫の繁殖を防ぐのか、山の斜面から白い煙があがっている。これで気温が低ければ日本の昔の田舎の風景と変わらない。そんな懐かしさが、このツーリングを楽しませてくれるのだ。やはりここで出てくるのはこの歌です。岡林信康<申し訳ないが気分がいい> というわけで、ひと時の青春の中をバイクで走りぬけた。至福の時です。峠を越え山を下ると1時間半ぐらいでパンマパーの村についた。川のそばのリトルエデンゲストハウスに投宿した。この村にも何軒かのゲストハウスがあるということは、ここまで足を延ばす人たちがいるということだ。別段これと言った観光スポットもない村ですが、何もないからこそ来る人たちがいるわけで、そばに川が流れているだけで十分なのかもしれません。ここまで来るのは多分ファランの旅人が多いのだろうと予想しますが、我々の宿にも家族づれのグループともう一組の二人連れのファランが滞在していた。チーさんもこの村に家を借りて住んでいる。彼女は革製品を手作りしてそれをパーイの店で売って生計をたてている。また家ではパッションフルーツの発酵ジュースを作っていた。将来は麻の織物をするために、麻の栽培を取り扱うことが出来る免許を取得中であると言っていた。女一人生きるためにはたくましさとマイペンライ精神がないとつづかない。山岳民族の女性はすぐ性を売り物にしてしまうことにためらいがないと彼女は言う。そのためにバンコクまで行って成形美容までするらしい。貧困からの脱出は女性にとっては性的な関係を無視しては成り立たないような社会関係のなかにいるということを語ってくれた。翌日は、山奥のメーラナ村の鍾乳洞へ行く予定です。
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