宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

恒例の天文教室

2020年08月23日 16時24分42秒 | 

今年も天文教室の時期がやってきた。スケジュール前半の天文工作。今年は「アンティーク天球儀」を作る。去年の秋に国立科学博物館で目にした明治時代の天球儀の、ロマンチックな雰囲気が僕を誘ったのだ。ただ、博物館の天球儀は明るい主な星と太陽の通る道だけを示していたため、球面に張り付ける画像も作り易い。しかし今はそれから一世紀以上経った令和の御世。どうせ作るのなら画像だけは出来るだけ精密にしかもカッコ良くと思ったが、毎度のことながらそれが苦難の道の始まりだった。

天球儀の星の並びは、空の星の配列をそのまま球面に落とし込むために左右が逆になっている。その画像をどうすれば作れるのか。著作権保護期間の切れている大昔のノルトン星図を原図に使い、いったん図面を読み取ってそれを左右逆にした後、全部で672のブロックに分けて形を整え「笹の葉原図」の所定の位置にはめ込んでゆく。しかし星の配置を左右逆にすると文字までが逆になってしまう。このためいったんはめ込んだ画像の中から文字だけを一つ一つ取り出して、左右を元に戻してゆく作業。時間が掛かると思って今年の2月に始めたのだが、仕上がったのは5か月半後の6月末。途中からこんなことを思い付いた自分を呪った。

半年以上掛けて出来上がった画像をのびるラベル(A-ONE社製)に印刷し、切り抜いてプラスチックの球に貼り付ける。そして出来た天球を木にニスを塗ってアンティーク感を出した架台にはめ込む。この架台もみんなに組み立ててもらうのは難しいので完成させておく必要が有った。これを作るのにも1か月半の時間を要した。僕は馬鹿だ。そうして出来上がったのが今回作る「超精密天球儀」。オーダーのあった19個に予備を含めた22個を用意できたのは天文教室の2週間前だった。

今年は新型コロナウイルスの影響でいつものような円卓は組めない。学校の教室のように並べられた机の上に材料を並べて工作に掛かったが、精密と銘打っただけに画像を切り抜くのも球面に貼り付けるのもみんな苦労していた。もちろん小学生だけでは無理。親子で一生懸命作る姿は見ていて美しい。これを見るのもこの教室の醍醐味だと思う。

参加者の中には小学校の教頭先生や町役場の広報誌担当の人もいて、例年より大人の雰囲気の格調の高いワークショップになった。

(指導を手伝ってくれた教頭先生)

(この人は吉備中央町企画課の広報誌担当の職員)

 

細かい作業が不得手な子供たちも当然居る。始めてからおよそ2時間半。悪戦苦闘の末、何とか出来上がった現代版超精密天球儀がこれ。

実はこの天球儀の極軸の傾きは、この大和公民館の位置に合わせてある。なので架台に張り付けてあるプレートに書かれているのは「Armillary Sphere by NORTON for YAMATO」。
子供たちに故郷の空を誇りに思ってほしいという願いからだ。

このイベントはもともと彗星探索の第一人者本田実さんが晩年に観測所を構えていた岡山県吉備中央町大和地区で、星の世界の後継者を養成しようと1997年に始めたものだ。初めは夜の観望会だけだったが、あまりにも天候に左右され中止を余儀なくされる年も有ったため、雨が降っても大丈夫なようにと昼間の工作教室が加わったのが2001年。それ以来ずっとこうして続いている。ただ初めはかなりいた大和小学校の子供たちも年を追って少なくなり、今年はとうとう全校児童が60人を割ったと聞いた。かろうじて複式学級は免れているが、それも時間の問題なのかもしれない。
この教室を経験した子供たちも大半が町外に出てしまった。ここから街に出るには車で1時間以上掛かる。近くにはスーパーマーケットはおろかコンビニも無い。外に出たがるのは無理ないと思う。それでもいい。街で働いてひと歳経った時、この天文教室で憶えた故郷の星空の美しさを思い出して、人生の後半を星に囲まれて過ごしてもらえれば。

天文教室の後半はいつもの星空観望会だ。

天気予報には「曇りで所により雷雨」とあったが、天が味方をしてくれたのか、遠くでゴロゴロと音はしていたものの日暮れと共に雲が切れ、三日月が沈むころには木星、土星のほかヘルクレス座の球状星団やこと座のドーナツ星雲、白鳥のくちばし、アルビレオなども楽しむ事が出来た。みんな喜んでくれていた。今年もやった甲斐が有ったというものだ。片付けて別れ際に教頭先生が「来年は何を作るんですか。」と問う。

それだ。来年は何を作ろう。

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屋根が開いた

2020年05月06日 21時59分11秒 | Weblog

電源ボックスを持ち込んで二日後、何とか時間に隙間を見つけて丘に上がった。ボックスをコンセントと繋いでブレーカーをON。まず屋根の両側のウインチに給電する。動いたことは動いたが、動作が逆。そう、ウインチのフックとワイヤーの繋ぎ方を忘れている自分に驚いた。苦笑しながらワイヤーを繋ぎ換えてもう一度スイッチを入れる。騒音と共に屋根が少しずつ北にずれていった。いったい何時から屋根を開いていないのだろう、そう思いながらスマホで自分のブログを探してみた。どこまで遡っても出てこない。ようやく見つけた日付は2017年4月25日。ひどい話だ。まる3年屋根を開けず赤道儀も動かさなかったことになる。これでどこが天文ファンだ。そう思いながら久々に広がった観測デッキからの景色を楽しんだ。南に向けて写した何枚かの写真を繋いだのが上のパノラマ写真だ。青空ならもっときれいな景色になると思うが仕方が無い。嬉しくなって外に出て、竹取庵の屋根が開いた姿を写す。

次に20センチを載せた赤道儀を見てみた。こちらも、もう本当に汚い。垢だらけといった感じ。潮風に吹かれて表面にカビも生えていた。ごめんごめんと謝りながらとりあえず表面を水拭きする。さすがにちゃんとしたメーカーの赤道儀だけある。汚れを落とすと錆びたバランスウェイトのシャフト以外はすっかりきれいになった。塗装に傷みもない。

各コネクターを磨いて接触をチェックし、恐る恐るこちらにも火を入れてみた。動く。ちゃんと動く。低速も中速も高速も。今日は残念ながらパソコンは持ってきていない。きちんとコントロールできるかどうかはまた新しいパソコンを持ち込んでからにする。
いままでこの赤道儀をコントロールしていたノートパソコンは2台。このうち1台は風雨に晒されて電源を入れてもうんともすんとも言わなくなった。もう1台は何とか動いたが、OSがWindowsXPのままだったのでここで廃棄する事にした。思えばよく頑張ってくれたものだ。新しいパソコンとは言うものの、もちろん2台とも家で使っていたWindows7のノートパソコンを10にアップデートしたものだ。コンセプトは多少窮屈だが、望遠鏡のコントロール程度なら全く問題ない。問題なのは雨風と塩水で壊れてしまったガイドスコープの目になるカメラだ。今入手できるのは最新版で、これでは望遠鏡に直接は付かない。ここも改造の必要がある。そして、それらが終わったら次は止まったままのデッキの床の工事だ。いつになったら星が撮れることやら。

 

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丘をなでる初夏の風

2020年05月05日 11時24分21秒 | Weblog

世界中に吹き荒れる新型コロナウイルスの嵐。僕の職場でも外部を遮断して、ただひたすら内勤を続ける日々が続いている。いつもならゴールデンウィークには、それにふさわしい企画を立てて来客を待ち受ける。しかし今年はそれが無く五日間の連続休暇だ。悪天候だった前半を避けて昨日上がったみかんの丘。そこは甘い匂いに包まれていた。去年散々だったみかんが今年はたくさんの花を付けている。あの異常気象を生き延びたみかんの木達だ。

丘の一角には、これもまた激しい気候を耐え抜いたマツバウンランもかわいい花を咲かせていた。その花を初夏の風がなでる。周りの木々ではウグイスたちがかまびすしい。コロナ禍で世間は外出規制とか3密の防止とか騒いでいるが、丘にはちゃんと初夏がやって来ていた。ここまではウイルスも来まい。そう思いながら思い切り深呼吸。気持ちが良い。

丘に来るのは2か月半ぶり。もっとも何もしていなかった訳では無い。2月の末に持ち帰った電源ユニットをプラスチックケース内にパッケージングしてブレーカーを通し、それぞれのユニットの出力にターミナルを加える作業をしていた。あの忌まわしいスズメバチ騒ぎで観測デッキの妻が開きっぱなしになり、海からの潮風や雨が吹き込んで電源も含めてすっかり傷んでしまったためだ。

ケースを取り付けるのは壁だが、その壁は今改めて内装を進めている。それが終わってからの工事となる。今日はとりあえず動作チェックだ。ユニットが動作不良になって以来屋根を開ける事も出来なくなっていたが、それだけは解消したようだ。次は赤道儀を含めた観測システムの再構築。こちらのほうは手間がかかる。

穏やかな景色の中で時が過ぎてゆく。この連休、もう一日来る事が出来るだろうか。来られたら次は竹取庵の外壁の防虫防腐塗装と観測ユニットのメンテナンスに手を付ける。竹取庵の外には早くもアシナガバチが巣作りの場所を探しにやって来ていた。勘弁してほしい。次に刺されたら命が危ない。

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巨星に会いに行く

2020年02月24日 21時55分13秒 | 

日が暮れた。竹取庵に灯りがつくのは久しぶりだ。観測デッキの屋根が開けないのは残念だが、これも一つの新しい歴史。乗り越えればいいだけだ。
そう思いながら大きいカメラとコンパクトデジカメ、それに三脚を持ってみかん畑に出た。赤道儀が使えないので高感度で固定撮影するほかない。そう思いながら大きいカメラを三脚に取り付けて空に向けた。

カメラ感度を6400にして撮影する、つもりで操作を始めて唖然とした。カメラの使い方を忘れている。しばらくいじりまわってようやく感度を設定し、ノイズリダクションを設定。レンズの焦点距離を56ミリ、露出5秒で撮影してみた。それがこれ。11年前のオリオンと比べてみる。感度も露出も違うので一概には言えないが、確かにあれだけ威容を誇っていた巨星ベテルギウスが少し寂しげだ。

使い方を忘れたカメラと格闘するうちに空がさらに暗くなってきた。三脚をコンデジに譲って竹取庵の屋根越しで撮影してみる。焦点距離9ミリ、カメラ感度2500、絞り1.8、露出1秒。アクセントにと思ってミニライトを点けてみたが、要らない世話だったかな。

もっと長時間露光したかったが、星が増えすぎるのとノイズでベテルギウスが埋もれてしまう。コンデジでは限界がある。実はこの夜は魚眼も持ってきていた。せっかくだ。竹取庵入れ込みで撮ってみよう。まだ街の明かりが目立つけれども、この一枚が今夜みかんの丘で巨星と過ごした証だ。

 

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

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三日目のみかんの丘

2020年02月23日 23時46分50秒 | Weblog

一昨日昨日に続いて今日も。これほど続けて丘に上がるのは本当に久しぶりだ。昨日雨を降らせた寒冷前線が東に移動して、西日本を移動性の高気圧が覆い始めていた。今夜は晴れる。今日こそはベテルギウスを撮ろう、そう思って大きなカメラを持ってきた。とは言え、主砲かぐや姫は最初のスズメバチ騒動でボロボロにされて今は分解休止中。20センチ赤道儀を使うつもりで観測デッキに上がった。

手間のかかるデッキ内の錆止め塗装を4割ほど終えたところで、赤道儀に掛かっていたカバーをはがした。もともと100均で買った安物の自転車カバーを流用したものだったが、何か月も屋根の妻が開いたまま太陽や潮風にさらされて風化してしまい、ボロボロに裂けていた。そのカバーをはがして最初に目に入ったのが8センチ屈折鏡のフードの中で死んでいるカマキリだ。越冬しようと思ったのだろう。こんなところに入り込むのはやめてほしい。

やれやれ、とりあえずレンズにダメージはなさそうだ。赤道儀は丈夫だろうか。そう思いながら恐る恐る電源を入れたが、やはり入らない。むき出しになった電源ユニットがアウトのようだ。あれこれチェックしてみると、この8センチに取り付けていた自動追尾用の小型カメラも内部の回路が潮風で腐食したのかうんともすんとも言わない。よく見ると赤道儀本体の各コネクターも腐食している。これはだめだ。この赤道儀は分解してメンテナンスをしてからでないと火を入れられない。仕方が無い。今日は持ってきた農業用の大きなカバーをかぶせて分解作業を後日に回すことにした。

そうこうしているうちに日暮れの時刻。オリオン座の南中は午後7時ごろだ。観測デッキでの撮影をあきらめて、カメラ用の三脚を持って外に出ることにした。

 

 

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久々のみかんの丘

2020年02月21日 23時48分59秒 | Weblog

職場や家の事情で長い間丘に上がることができなかった。またもし上がれたとしてもスズメバチのアナフィラキシーアレルギーで危険な状態を作りたくなかった。
でもそのおかげで増築中の寝室は作業が中断、観測デッキは屋根の妻を開けたまま近づけなかったためにまるで廃屋のような荒れ方になってしまった。

でもまあ、ここまで来れば腹が座る。一からやり直すつもりで、とりあえず観測デッキから手を付けることにした。まずやらなければならないのはこのデッキの密閉作業だ。

竹取庵の観測デッキはスライディングルーフと言って屋根が水平に移動する。しかも、その屋根が竹取庵は大小二段。このため屋根と建物の壁にはトンビでも入れるような広い隙間ができた。渡り鳥に毎年安全なねぐらを提供し、スズメバチやミカンの害虫にも越冬場所や快適な居住スペースを与えてしまっている。ただ、屋根の大きな隙間は最初からだ。そしてスズメバチや害虫が巣を作り始めたのはここ数年のこと。
なぜだろう。ずっと疑問に思っていたのだが、つい先日ふと思い当たった。壁面の木材の防虫防腐剤の効果が薄れているんだ。増築部分でも外壁にクレオソートを塗って7年、それ以外の部分は15年以上経っている。そうだ。作り続けていても、先に作ったところにメンテナンスが要るのは当たり前のことだった。

というわけで今日は錆が出ているスライディングルーフの鉄骨部分の防錆処理から入ることにした。

錆止め塗料も最近は先に錆落としをしなくてもいいものが出ている。便利が良い。そう思いながら作業に入った。ただこれが結構手間がいる。作るときにはあらかじめ錆止め塗料を吹き付けた鉄骨を組み上げて、その上に木の板を張っていったのだが、錆止めは一体化した鉄の部分にだけ塗らなくてはならない。仕方が無い。以前ここに書いた言葉を思い出す。「少しずつ、少しずつ。時間が掛かっても後ずさりはしない。後ずさりしなければいつか前に進んでいる。」

そう、歩みを止めていた竹取庵は、また前に向けて進みだした。電池が切れて長い間止まっていた居間のフクロウ時計も今時を刻んでいる。

今日は暖かい。竹取庵の前の枝垂れ桜も、心なしかつぼみが動いている。春が近いのかな。

観測デッキの錆止めが何ばかりも進まないうちに日が暮れてきた。西の空に薄雲が広がってきている。今日は減光しているというオリオン座のベテルギウスを撮ろうと思っていたのだが、これでは無理だ。明日も休み。続きは明日にしよう。明日は天気が悪いという。作業は室内だけかな。

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退去願う事に

2019年10月10日 12時28分05秒 | Weblog

腹の立つ気持ちを抑えながら地元の市民病院を訪ねる。あらかじめ電話でお願いをしていたためか治療はスムーズだった。刺された所がさほど腫れていないことに多少驚きながらもお医者さんはリドカインで局部麻酔した後リンデロンというお定まりの抗炎症と抗菌の塗り薬を塗ってくれた。あとは同じような作用の飲み薬を3日分くれただけ。そして、最後に「今年はスズメバチに刺された患者さんが6人も来た。うち3人はアナフィラキシーショックを起こしていたよ。」と話してくれた。

この荒くれどもにはやはり退去願わなくては。ということでそれから2日後の休日、以前観測デッキ内のスズメバチを退治してくれた会社に電話をした。すると担当の男性が、今日はそちらの方面に出掛ける用事が有るので午後には行けると言う。この会社は実はスズメバチ駆除の専門会社ではない。殺虫剤の卸会社だ。男性はこの会社の経理担当。ただシーズンには頼まれて、会社の薬剤を持って駆除に回っているという。
午後2時過ぎには丘に上がってくれて作業が始まった。

巣の直径はおよそ25センチ。バスケットボールほどもある。あまりにきれいな形なので、壊さずにそっと取り外すという言う。防護服の男性はまず巣の周辺に殺虫剤を噴霧した後、粘着板を使って周囲を飛ぶ蜂をくっつけていった。この粘着板には誘引剤も含まれているそうだ。板に貼り付いた蜂を見せてもらうと、巣の持ち主のヒメスズメバチのほかに体長4センチを超えるオオスズメバチも混じっていた。ヒメスズメバチの巣をオオスズメバチが乗っ取ろうとやって来たのかも知れないと男性は話す。恐ろしい奴ら。

何を言うか。乗っ取られたのはこちらの方だ。全員退去。巣の方は戦利品として頂戴する事にした。

巣がここまで大きくなるためには何か月も掛かるそうだ。長い間来られなかったのですか、と聞かれる。確かに観測デッキを開いたのは久しぶりだが、1階の増築部分には時折工事に来ていた。全く気付いていない。「これからは来られた時に、まず建物の周囲を注意深く観察してから中に入ってください。」と言い残して男性は帰って行った。戦利品の巣は持ち帰って岡山の家の裏に袋に入れて吊るしてある。中のさなぎや幼虫に殺虫剤は効かないし、殺虫剤自体も3日ほどで効力が無くなるようになっている。だからこのまま袋に入れておけばそのうち飢え死にするという。一か月ほど経ったら袋から出して、展示でもしようか。いや、それよりも出来るだけ早く観測デッキを復活させて星を撮らなくては。

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二度目の災厄

2019年10月09日 00時11分31秒 | Weblog

移動性の高気圧が西日本を覆っていた。どうだろう、このまま晴れてくれるかな。
そう思いながら久しぶりに、本当に久しぶりに大きいカメラを持ってみかんの丘に向かう。途中のホームセンターで材料を仕入れ、竹取庵に到着したのは午後3時過ぎ。今日は材料を運び込むだけにして観測デッキで望遠鏡のメンテナンスをしよう。そう思いながら南の妻を開けた時だ。

三角に開いた空からいきなり数匹のスズメバチが襲ってきた。

え、なにっ!慌てて階段を駆け下りて増築部分に置いていたスズメバチ用のスプレーを後ろ向きに噴射したが、時すでに遅く、頭の上を一つ刺された。くそっ、台所の流し台で刺された所に水を流しながら毒を絞り出した。ズキズキ痛い。どうしよう、写真を撮らずに帰ろうか、それとも頑張ってみようか。そう思っているうちに傷みが増してきた。やっぱり帰ろう。そう決めてデッキに上がって妻を閉じようとした時だ。今度は何十匹という大群が襲ってきた。手に持ったスプレーで応戦したが、強い海風でスプレーの薬が全部自分に掛かり、蜂はその風に乗って顔をめがけて飛んできた。右の眉をまた一か所刺される。スプレーが無かったら全身刺されていただろう。何とか階下に降りて眉の上の毒を絞り出して病院に行く決心をした。

車に乗るときに振り向いたら、観測デッキの妻のすぐ下に大きな巣が見えた。

 

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今年の獲物はさそり

2019年08月15日 22時34分18秒 | Weblog

初夏が近づくと毎年憂鬱になる。今年は何を作ってもらおう、難し過ぎても駄目だし簡単では飽きられる。そう、天文工作の題材だ。

彗星探索の第一人者本田実さんが晩年観測施設を置いていた岡山県吉備中央町で、本田さんを偲んで始めた天文教室も今年で22回を数える。初めは大和公民館の前庭に望遠鏡や双眼鏡を並べて星を見るだけの会だったが、天気が悪かったらどうしようと始めたのが昼間の天文工作だ。
工作を始めたのが2002年。最初は口径3センチのミニ望遠鏡を作ってみた。もちろん既製品のキットだ。確かに喜ばれはしたが結構高く付く。1セットが4500円。小学生の夏休み工作としては破格の値段だった。そこで発泡スチロールの球に惑星表面の模様を貼り付ける火星儀や土星儀、それに星に因んだジオラマなど、1500円を限度に材料を揃えていった。そのほとんどがオリジナル。惑星儀の表面模様も僕がパソコンで作って印刷した。それでもネタが尽きてくる。だから夏が近づくと何にしようかと悩むことになるのだ。

頭を悩ましていた6月ごろ、ふと目に着いたのが夜光塗料。そうだ、これで星座を描いたら喜ばれるかも知れない。でも何座にしようか。教室が開かれるのは8月。目につく星座と言えばはくちょう座、こと座、わし座、いて座、さそり座。おぉ、さそり座か。まとまっているし形も分かりやすい。という事でさそり座に決定。

太さが違う五つの竹楊枝の先に黄色、赤色、青色と三種類の夜光塗料を付けて透明な下敷きの上に置いていく。小学生に出来るかと少し心配だったが、やってみると、少々星の位置が違っても、大きさが違ってもあまり問題にはならない。子供たちは透明下敷きの下に敷いた星の位置を示す紙を頼りに真剣に色を置いていっている。

会場が静かだ。なんとなく飽きそうな気配。そこで作業途中の子供を一人誘った。作りかけの下敷きを持たせ、公民館のステージの緞帳の裏に連れ込む。そこはほとんど真っ暗な空間だ。目が慣れるにしたがって手にした下敷きの星座が輝いた。その子が声をあげて仲間を呼ぶ。そこからは大騒ぎだ。少し作っては緞帳の裏に行く。この繰り返しでさそり座はバックの天の川と共に次第に形を成していった。

その下敷きと言うのがこれ。明るい所で見ると単に汚れた板だ。

それが灯を消すとこうなる。大歓声が分かる気がする。我ながら良いことを思いついたものだ。

 

天文工作の後は夕方から場所を変えて観望会となる。

台風9号が通り過ぎたばかりの空は全体にかすみが掛かっていて、月も木星も土星もすべてベールの彼方だった。それでも月のクレーターや土星の輪、木星の縞模様などを楽しんでもらうことが出来た。

地平近くは雲に覆われて、当初の目論見だったさそり座のα星アンタレスの観望は来年にお預けになってしまった。来年か。あぁ、来年は何を作ろう……

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ストロベリームーン

2019年06月17日 23時47分01秒 | 

日曜日の出勤の代休として休んだ今日、丘にも上りたかったが体調が思わしくなく断念。そこでリュウマチの主治医に頼んでいろんな検査をしてもらった。と言っても原因がリウマチで無いのは分かっている。このところの無茶苦茶な天気がいろんな古傷を呼び覚ましているようだ。とにかく去年あたりから天気がおかしい。気圧配置も雲の様子も、この時期のものではない。いったいこの先どうなるのだろう。

そんな風に思いつつ家の片付けの合間にネットのニュースを見ていたら、「今夜の月はストロベリームーン」と言う文字が目に入った。マスコミは最近やたら満月に名前を付けたがる。ストロベリームーンっていったいなんだ、といぶかりながら調べてみた。アメリカの五大湖のほとりに住むオジブワ族というインディアンが、キイチゴの実る季節の満月に付けた名前だそうだ。なんだ、一部のマスコミが言うように真っ赤な月なんかじゃない。裏も取らずにいい加減な。そう思いながら時計を見ると午後6時半。ん?月の出が撮れるかな。と言っても今からみかんの丘に行ける訳が無い。そこで300ミリズームを使って家の窓から撮ってみることにした。

我が家の東にはかつて大きな製糸工場が有り女工さんたちの寮が並んでいた。そこが後にゴルフの練習場になり、今では大きなショッピングモールにかわっている。そこに登る月。情緒も何もあったものではないが、とりあえず月の出はおさえることが出来た。

少し赤いのは地平線近くの靄のせい。それに少し排ガスも混じっているかも知れない。
ところで、この月の月齢は14.0。なのに満月。いったいなぜ、と思ってしまうが、月の軌道が楕円なのが原因だそうだ。これは図面を見れば良く分かる。

取り敢えずこれがストロベリームーン。キイチゴなら「ラズベリームーン」だと思うのだが…

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今年のみかんは超不作

2019年06月02日 00時16分52秒 | Weblog

家族の不幸や仕事のごたごたが続いて、仕切り直したはずのみかんの丘の作業がずっと停滞している。と言っても誰かのせいではなく、歳を重ねれば必ず訪れるエポック、一里塚のようなものだと思う。それでも竹取庵の工事を放置していては自分の存在意義が失われるような気がして、追い立てられるように丘に上がる。やっていることは内装の続き。星の撮影の所まで届いていない。

ところで、去年から今年に掛けての気候は異常だ。丘の植物がそれをはっきりと現わしている。
今年の春に丘に上がった時、丘一帯で毛虫が大量発生していた。その毛虫を駆除する間もなく今度はハナムグリなどの害虫の増加。それを反映したのか、今年はみかんがほとんど花を付けなかった。これほどの不作は今まで経験したことが無い。

かろうじて花の咲いたみかんの木に小さな実が付いている。しかしその実も害虫にやられているものが多い。実の付いていない木は新芽を伸ばしていた。そうだ、その方が賢明かも知れない。今年の冬は、みかんの丘のみかんは期待できない。体も仕事も星の活動も、このみかんの木たちと同様に立て直しの時期という事なのだろうか。

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星はじめ

2019年01月05日 21時58分28秒 | Weblog

正月三が日、朝起きるといつも青空が広がっている。悔しい思いと疲れとが体の中で戦っていた。何しろ忙しい。その上に風邪気味で体がだるい。でも今日の休みを逃すと今年一年またやる気を無くすかも知れない。そんな危惧から丘に上がる事にした。

昼前に家を出て丘を目指す。空一面の雲。まあいいか、曇っても構わないと思いながらカメラを持って行った。去年の暮れに手に入れた中国製の魚眼レンズのテストも目的のひとつだ。

とは言いながら空の様子が気になり、大工仕事をしながら時折外を見ているといつの間にか青空が広がっていた。

あれ、撮れるのかな。そう思いながら頑張って二段ベッドを組み上げる。何しろ元は子供用の三段ベッドだ。それを二段に改造するのだから強度の面でも大きさの面でもいろいろと問題が有る。補強材を入れたり嵩をあげたりしながら実際に乗ってみて不具合が無いかを調べては作っていく作業だ。とりあえず形が出来たところで外がとっぷり暮れた。

大工仕事はこれで終わり。ここからは星空タイムとする。とは言いながら外を見るとそこら中にまだ千切れ雲が散らばっていた。どうやって撮ろうか。レンズは焦点距離8mmの対角線魚眼。元々APSサイズの撮像素子に対応しているレンズだが、この中国製のレンズは面白いことに花びらフードを外すことが出来る。フードを外して、撮像素子をフルサイズに替えるとかなり広範囲の風景を捉えることが出来る。という訳でカメラをCANONの5DmarkⅡにしてみた。レリーズは持って来ていない。なのでみかん畑の真ん中に脚立を立てて、その上にこんな風にカメラを置くことにした。

かなり強かった風も夕方から止んで、みかん畑に寝転がっての撮影になった。とはいっても露出は30秒。絞りと感度を色々変えて撮影してみたが、絞りを開放にすると収差が大きすぎる。結局明るさと画像の荒さの中庸を取って絞り5.6、カメラ感度3200とすることに。その結果がこれだ。



星がぽってりしているし全体にノイズが多い。それでもこれが今年の星はじめ。次はレリーズを使ってもう少し露出を増やしたうえ感度を下げ、絞りも絞ってみたい。居心地のいいみかん畑にもっと居たかったが明日は仕事。それに大工仕事に精を出しすぎたのか疲れがどっと出てきた。時刻は6時半を回ったあたりだが、今日はこの辺で丘を降りることにする。あと半月もするとこの時刻に冬の天の川が竹取庵の上に掛かる。動画で取れたら面白いかな。

 

 

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猪くんに出会う

2018年12月13日 22時39分43秒 | Weblog

仕事はまだ忙しい。でも前ほどではない。竹取庵の工事も少しずつだが前のペースを取り戻しつつあった。日曜日の勤務の代替えで休みとなった昨日、昼前から丘に上がる。天気は良いものの北風が強い。撮影はしたいが観測デッキは撮影できる状態ではなかった。取り敢えず遅れている増築部分の工事に入る。今は二段ベッドを取り付ける作業だ。古い子供用の3段ベッドを手に入れて2段ベッドに改造するため、横板を途中で切ってダボを入れ直してゆくのがこの日の目標。手間は掛かるが思った大きさに出来る。精密な作業だけに3時間ほど掛けてようやく1段目が出来上がった。

ベッドの下には荷物を入れる引き出しを作ることにしている。右側の隙間はクローゼットだ。

丘の番猫はなまるとは何とか仲良くなり、呼べば近付いて来るようになった。コロコロと太った女の子。でも野良でひどい目にも遭って来たのだろう。警戒心が強いし、ちょっとした事で隠れようとする。特に人間の男は怖いらしい。可哀想に。

はなまるにご飯をあげ、大工仕事と居間の片付けを少しして帰路に就いたが、すっかり暗くなった帰り道で思わぬ生き物に遭遇した。イノシシだ。畑を荒らし、近所の家にまで入り込む困った害獣。ただ、僕の車の前を横切ったのは、瓜坊の縞がようやく消えたばかり、体長80センチくらいの子供だった。

動画

猪くんに出会う

みかんの丘を荒らすとんでもない敵だ。実は1年以上前にも一度、もっと大きい大人のイノシシに出会っている。ただ僕はどうしてもこの子達を心底憎めない。彼らの領分を犯しているのは人間たちだという気持ちが有るからだろう。どうしたら共存できる世界が出来るのか、ハンドルを握りながらそう考えた。

 

 

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招かれざる客 新しい出逢い

2018年11月18日 00時28分24秒 | Weblog

久々に、本当に久々にみかんの丘に上がってきた。言い訳になるが、ここに戻ってこられなかったのは年々増えてゆく仕事のほかに、今年は我が家のリフォームが有ったからだ。しかし3月に始まった工事もようやく終わりが近付いて監理の必要が無くなったので、建設で残った資材の一部を竹取庵で使おうと持って上がった。

上がって驚いたのは、丘一帯ののみかん畑に柵が廻らされていたことだ。おばさんの娘さん夫婦に尋ねると、最近イノシシが畑を荒らしに来て、このあたりのみかんもかなり被害に遭っていると言う。柵は竹取庵が有る丘の斜面の、おばさん一家が所有するみかん畑を全部囲んでいた。娘さんの話では、岡山県の南東部ではここ10年ほどの間にイノシシが増えて、畑を荒らされた地区の人が電気の柵などでイノシシを締め出したために、追い出された一群が食べ物を求めてこの丘に現れたのだそうだ。
今日も資材を持って上がったご夫婦が柵を作っていたが、この畑のみかんはほとんど出荷していない。だから費用はそっくり持ち出しという事になる。それも半端な金額ではない。自治体からの補助が出るとは言うがとんでもない被害だ。「天文台に入るのが大変かな思うて、外れるようにはしてあるんよ。」と言われる。

そんなのは構わない。お手伝いが出来なかったのが残念だ。出来ればもっと強力で見栄えの良い柵を作れないか。気持ちだけが先行する。

 

みかん畑に入ってみると、イノシシはみかんを荒らすだけではなく畑の地中に居るミミズや昆虫の幼虫を食べるため、鼻であちこち溝を掘っていた。みかんの根も傷んでいる。とんでもない害獣だ。罠も仕掛けたんよと娘さんは大きな檻を見せてくれたが、警戒心の強いイノシシに果たして効果が有るだろうか。


今年は豪雨や台風に見舞われてみかんそのものも散々だった。裏年だったのがせめてもだが、みかんの木にとって裏年は木を立て直すための重要な期間だ。そこを叩かれては来年の収穫は期待出来ない。確かに普通の温州はほとんど実を付けていないが、大ぶりな実を付けるネーブルはそれでもまずまずの出来のようだ。

 

 

ところで今年96歳になるおばさんは、この春家の近くで転んだのを機に施設に入っていた。今はリハビリのために病院に居る。回復したのでそろそろ元の施設に戻ると言うが、いずれにしてもこの丘は今主がいない。無人の丘。覚悟はしていたが、心に穴が開いたというのか、これほど寂しいとは思わなかった。

そう思いながら丘を降りる途中おばさんの家に寄った。娘さん夫婦に渡すものが有ったためだ。玄関の方に歩いていたら目の前に猫が出てくる。なかなかの美形猫。娘さんに聞くと、少し前丘に現れて、亡くなる前の太郎のご飯を食べていたようだと話してくれた。その後娘さんにすっかり懐いて「はなまる」と言う名前ももらっている。この「はなまる」のために娘さんは毎日ご飯を運んでいるそうだ。

みかんの丘の番犬太郎が星になって寂しい思いをしていたが、その跡を継ぐ番猫が居たとは。「はなまる」。かわいい名前だ。これからは僕もこの子に逢うために丘に上がろう。そしていつか、夜空を見上げながら星の物語を話して聴かせよう。丘を降りる車の中でひそかに顔がほころんだ。

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

 

 

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出直しの春

2018年04月08日 13時01分48秒 | Weblog

観測デッキで星を撮らなくなって丸一年が過ぎていた。
仕事が忙しい、家で片付けなければならない事が山積している、体力が落ちた、理由はなんとでも付けられる。しかし一番の原因は星を撮りたいという心が折れていたことだ。その心を無理やり奮い立たせようと僕に思い至らせたのは太郎の死と2本の苗木だった。

竹取庵には月に一度くらい入って大工仕事をしていたが、観測デッキはスズメバチ騒動以来荒れ放題だった。外壁もそろそろ塗らなければ防水が怪しくなっている。そんなある日、材料を買いに入ったホームセンターで苗木に目が留まった。「さくらんぼ」だ。みかんの丘には枝垂桜の木が4本ある。今年も綺麗な花を付けてくれたが、周囲のみかんは娘さん夫婦が多忙な事も有って弱っていた。何とか畑に賑わいが欲しい。そう思っていた矢先のさくらんぼだった。
さっそく買って丘に上がり、遅咲きの紅の木の間に穴を掘って植える。

さくらんぼは二種類。一種類では実が付きにくいと説明書に書いてある。苗木の勢いは良いが、どれほど経ったら実が付くのだろう。まあ、何年掛かっても良い。これで楽しみが増えた。毛虫に気を付けなければ。

竹取庵の建て増し部分は、たまにしか行かないとは言え、少しずつ進んでいた。

寝室となる部屋のフロアーも7割以上上張りが出来、塗料を塗る直前まで来ている。これが終わればこの部屋へのアプローチと階段、そして二階だ。その二階、観測デッキこそ、この竹取庵の心臓部であるはずだ。にもかかわらず、すっかり荒れて全く機能していない。主砲かぐや姫も分解されて休眠していた。

以前僕がそこで星を撮っていると、太郎が夜中でもやって来て下でクンクン鳴いていた。星になった太郎はきっと、このデッキの屋根が開いて僕が見上げるのを待っているだろう。そう考えるとぼんやりしている事に罪悪感を感じ始めた。早くしなければ。どうせするならこのデッキを改装して気密性を高めよう。材料は以前職場に繋がりのある大工さんにもらっていた。錆止めや断熱、交流直流の電気配線もしなくては。増築部分をそのままにして二階に上がった。

すっかり傷んだタイルカーペットをはがして作業を始める。根太になる松の材もフローリングもプロの物だけにシワリが無くて造作しやすい。赤道儀を載せたポールとの間に隙間を作りながら材料を置いて行く。白いフローリングは電線やケーブルが通る部分だ。全部張れるのはかなり先だが、それが終わると電気配線をして壁に間柱を置き、化粧板を張り付ける。それが済んだら屋根裏に断熱材を張って天井材と照明を付ける。それと同時に移動屋根と壁の間に可動式のクッションを入れていくつもりだ。すべてが終わるとかぐや姫の再建が待っている。

完成はいったい何時になるんだろう。この茫々としたアバウトな計画に心が温まる。遠のいていた宇宙(そら)がまた身近に感じられるような気がした。

心地よい疲れを感じながら作業してゆくうちに陽が西に傾く。せめて春霞の空でもとカメラを用意していたが、時折冷たい雨も落ちる空がもうお帰りとささやいていた。
判ったよ。でもまた還ってくるからね。早いうちに…

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

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