蓬莱の島通信ブログ別館

「すでに起こったことは、明らかに可能なことがらである」
在台日本語教師の東アジア時事論評あるいはカサンドラの眼差し

広がるSTAP細胞言論弾圧事件の闇:悲しむべき日本社会の知的劣化

2014年03月21日 | 20110311東北関東大震災と政治
(写真:『朝日新聞』の「STAP立証、つまずいたステップ 「3段重ね」一転、理研「再現はステップ1まで」。実は、第一段階の実験だけでも学術的には価値が十分あるのだが・・・)
1.STAP細胞言論弾圧事件の構造
 理研は、3月20日、1月末に発表したSTAP細胞に関する公式発表について、「メディアの皆様へのお願い」を付け加えて、調査中であることを表示した。
 理研「メディアの皆様へのお願い
 金で動く営利企業メディアの言うなりになって日本のネットで理研と小保方氏を攻撃している「侍Japan」「おもてなし」国家であるはずの日本の皆様に一言申し上げたいが、以下のプレス発表を見て、理研がどれだけ日本のバイオ技術研究に貢献しているか、地道に努力を重ねている研究者がいるかをお考えいただきたい。以下の業績の背景が理解できないのは、まさに「無能」「基本的知力の欠如」「想像力の喪失」そのものである。それも分からないということならば、もう否でも先進国の看板を下ろすしかない。三流社会に自らを貶める行為をこれ以上続けない方がいい。
 STAP細胞論文で問題があったからと言って、理研の活動自体を否定する論調が日本社会に広がることは、おそらく日本社会にとって21世紀の文明国としての地位を失いかねない今後の5年、10年後の取り返しのつかない大変な損失に繋がる。このまま金で動く週刊誌やネットメディアなどの営利私企業メディア(瓦版屋)や、前大戦を煽動し無数の人々を死に追いやりながら平然と正義の使者、裁判官を気取る『朝日』『毎日』『NHK』(死の商人)の言うなりになって、理研や関連研究者の研究活動を妨害すると、以下のような日本のバイオテクノロジー関係の研究や開発は致命的な遅れをきたし、経済的技術的側面ばかりでなく今後の日本の文化、文明の発展自体に大ダメージを受けかねない。
 何より先ず、大学教育を受けながら、以下の業績にどれだけの時間と労力、資金が注ぎ込まれているかまったく理解できない程度の能力しか持っていない市民があまりにも多すぎる状態で、今後、先進国を続けられるわけがない。国際競争の世界は人材がすべてであるが、日本にはもう基本的人材が欠けてきているようだ。

 特に生物関係、バイオ関係の研究者の皆さんで、自分の研究や教育を放置してブログに入れ込んでいる皆さんは、得体の知れないメディアのうわさ話を妄信して、自分の専門分野の研究情報を泥手で扱っている行為の異常さ、人間としての恥を知るべきではないか。私のような文科系の三流研究者が見ても、今回の議論はあまりにも非論理的で、専門的な研究批判以前の問題であり、結局、中学校レベルの日本語の問題すら分からなかったために起こっているように見える。Aを証明する100の証拠や手続きのうち、10間違いがあったとしても、それによって残りの90を否定できないのは、中学生でも分かる理屈ではないか?どうして10の間違いばかりを指摘するのか?
 自分の論文はまったくいかなる先行業績や方法の利用も無しに、全部自分で方法を生みだし、まったく新しく書いているのか?論文の引用文献の出典が書かれていないと、証明した事実全体が否定されてしまうのか?理研や小保方氏を非難する暇があるなら、アメリカ、韓国、中国、台湾などの競争相手に負けない実験を工夫して、研究成果を早く出した方がいい。

 こうした大騷ぎになったことを見ると、今回の事件を仕組んだ勢力は、日本人の知性の低下を見越して、デマを流して煽動し理研の機能を麻痺させることでまさに日本のバイオ研究全体にダメージを与える目的を持っていた可能性も否定できない。

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理研:プレスリリース(研究成果)2014
2014年3月20日
新しいDNA切断方法を開発
2014年3月15日
SACLAの「目」である高性能X線イメージング検出器を開発
2014年3月13日
ウイルス感染に伴う疲労倦怠感は脳内炎症が引き金
2014年3月13日
植物が活性酸素を生成し病原菌を撃退する仕組みを解明
2014年3月12日
糖鎖遺伝子「GnT-IX」が脳だけに発現する新たな仕組みを解明
2014年3月11日
足りない糖鎖を補う仕組みを解明
2014年3月10日
新しいバイオインフォマティクス・ツール「ZENBU」を開発
2014年3月6日
タンパク質分解酵素複合体「プロテアソーム」の動態を解明
2014年3月6日
X線自由電子レーザーを用いたコヒーレントX線回折イメージング実験データをその場で迅速に処理するソフトウェアの実用化
2014年3月4日
遺伝性難聴の原因メカニズムを解明
2014年2月28日
シャーガス病(顧みられない熱帯病)の治療法に新たな光
2014年2月26日
時間的に離れた2つの出来事の連結を調節するアイランドセルの発見
2014年2月20日
ディラック状態を固体と固体との「界面」でも検出
2014年2月20日
超新星「カシオペア座A」は非対称に爆発した
2014年2月19日
1つのプロモーターを2通りに読み分ける
2014年2月19日
記憶中枢「海馬」の小領域CA2の機能が明らかに
2014年2月18日
細胞内分子間の情報伝達効率の理論的上限をめぐる論争に終止符
2014年2月17日
ラン藻のバイオプラスチック生産が3倍増
2014年2月17日
X線の2光子吸収の観測に成功
2014年2月14日
自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)の原因遺伝子の一つを発見
2014年2月13日
「気分の波」を緩和する薬剤の作用メカニズム解明に一歩前進
2014年2月7日
卵子の「異型ヒストン」がiPS細胞の作製を促す
2014年2月3日
試料が厚くても高分解能X線イメージングが可能に
2014年1月29日
体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見
2014年1月28日
スキルミオン分子の生成と低電流密度での駆動に成功
2014年1月27日
植物の環境ストレスに対抗する新しいアプローチ
2014年1月27日
キラル磁性体中の「スキルミオン」が示す回転現象を発見
2014年1月23日
光合成によるバイオプラスチックの生産効率で世界最高レベル達成
2014年1月22日
反水素原子ビーム生成に成功
2014年1月20日
葉緑体内部のダイナミックな構造変化を生きたまま観察
2014年1月16日
フラボノイドの高蓄積が酸化と乾燥ストレスへの耐性を高める
2014年1月15日
タンパク質を見分けて運ぶp24タンパク質複合体の構成を解明
2014年1月14日
海藻類の有機・無機成分複雑系の統合解析技術を構築
2014年1月14日
新しい神経幹細胞の制御法によって神経産生能の回復に成功
2014年1月10日
世界で初めて、X線自由電子レーザーを用いたフェムト秒領域でのX線直接吸収分光測定に成功
2014年1月9日
脳卒中による運動障害からの回復メカニズムを解明
2014年1月8日
新しい抗うつ薬として期待されるケタミンはセロトニン神経系に作用
2014年1月7日
X 線レーザーで生きた細胞をナノレベルで観察することに成功
2014年1月3日
統合失調症患者の神経細胞でレトロトランスポゾン配列が増大
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 2014年の3月まで全部で39の新発見や新技術が報告されている。この中に、今回のSTAP細胞事件で標的にされるような問題を持った業績が他にも多数あるというなら、理研は批判されても仕方がない。しかし、実態はたった3ヵ月の研究業績だけで約40もの発見のうちの、たった1つに問題があったにすぎない。1回失敗したら許されないというなら、言っているメディアはどうなのか?ミスや不祥事の数だけ会社を解散するとでも言いたいのだろうか?批判している人は、自分はいかなるミスも犯さない「完全無欠」な「神の如き存在」だとでも言いたいのか? 

 現在、為されている議論は完全に正気を失っている。だんだん「日本人」と名乗るのが恥ずかしくなってくる。次第に日本社会は「人間ではない」人のための社会になりつつあるようだ。

 今まで述べてきたように、今回の事件はどす黒い裏があって生まれて来たもので、本来の研究とはまったく関係のない次元の問題だろう。「金」≠研究という区別すらできなくなった文明に明るい未来があるとは思えない。

 暴力の時代2:軋む21世紀の世界で(その1)
 暴力の時代2:軋む21世紀の世界で(その2:間接戦略と直接戦略の目標選択)
 STAP細胞問題について、あるいは中華人民共和国支配下の『朝日』『毎日』の間接戦略
 ”侍Japan”が聞いて呆れる”文明国”「日本」の恥辱:STAP細胞言論弾圧事件
 武田邦彦先生の発言が素敵だ!!:STAP細胞事件の言論構造

 奇しくも今回の事件の初弾を放った『朝日』が以下のように、自分達の攻撃目標を記事で明らかにしてしまった。

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STAP立証、つまずいたステップ 「3段重ね」一転、理研「再現はステップ1まで」
新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」は本当に存在するのか。理化学研究所の小保方晴子さんらが発表した論文の信頼性が大きく揺らいだ今、この疑問に答えを出すには第三者による再現実験を待つしかない。いったいどうすれば「再現された」と言えるのか。
ステップ2で画像二重使用/揺らぐステップ3の前提
 小保方さんらは1月末に英科学誌ネイチャーに発表した論文で、体のふつうの細胞を酸に浸すと新型の万能細胞「STAP細胞」ができると報告した。生物学の常識を覆す内容だけに、本当に万能細胞と言えるのか、厳しい立証が求められた。論文では「3段重ねの証明」が示された。
 まずはじめに、体のふつうの細胞では働かないが、iPS細胞やES細胞などの万能細胞では働く特徴的な遺伝子が働いているかを確かめた(ステップ1)。小保方さんらは、この遺伝子が働くと緑色に光る細胞を使い、酸に浸してつくった細胞が緑に光る動画や写真を証拠として示した。
 ただ、万能細胞でない細胞でも条件によっては一時的に緑に光ることがある。そこで、細胞が実際に体のいろいろな組織になれることを実験で確かめようとした(ステップ2)。細胞をシャーレや試験管で培養し、体の組織になりやすい成分を含む試薬などを加えて組織に変われるかを調べたり、マウスの皮膚の下に移植し、いろいろな組織からなる腫瘍(しゅよう)の一種ができるかを観察したりする。
 小保方さんらは論文で、細胞が筋肉や腸の組織に変わったとする写真12枚を証拠として示した。
 決定的なのが、細胞をマウスの胚(はい)に移植し、体のあちこちがSTAP細胞由来の細胞からできたマウス(キメラマウス)をつくってみせることだ(ステップ3)。STAP細胞が体のいろいろな組織になって機能できることの何よりの証明になる。
 小保方さんらはこの技術の第一人者、若山照彦・山梨大教授に細胞を提供してキメラマウスを作製してもらった。これでSTAP細胞の万能性は申し分なく証明された、はずだった。
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 『朝日』の記事を以下の1月末の「理研」のSTAP細胞プレス発表と比べて見ていただきたい。前回も紹介した部分である。

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体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見-細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導-

背景
ヒトを含めた哺乳類動物の体は、血液細胞、筋肉細胞、神経細胞など多数の種類の細胞(体細胞)で構成されています。しかし、発生をさかのぼると、受精卵にたどり着きます。受精卵が分裂して多様な種類の細胞に変わり、体細胞の種類ごとにそれぞれ個性付けされることを「分化」と言います。体細胞はいったん分化を完了すると、その細胞の種類の記憶(分化状態)は固定されます(図1)。従って、分化した体細胞が、別の種類の細胞へ変化したり(分化転換)、分化を逆転させて受精卵に近い状態(未分化状態)に逆戻りしたりすること(初期化)は通常は起こらないとされています。動物の体細胞で初期化を引き起こすには、未受精卵への核移植(クローン技術[7])や未分化性を促進する転写因子と呼ばれるタンパク質を作らせる遺伝子を細胞へ導入する(iPS細胞技術)など、細胞核の人為的な操作が必要になります(図2)。
一方、植物では、分化状態の固定は必ずしも非可逆的ではないことが知られています。分化したニンジンの細胞をバラバラにして成長因子を加えると、カルス[8]という未分化な細胞の塊を自然と作り、それらは茎や根などを含めたニンジンのすべての構造を作る能力を獲得します。しかし、細胞が置かれている環境(細胞外環境)を変えるだけで未分化な細胞へ初期化することは、動物では起きないと一般に信じられてきました(図2)。小保方研究ユニットリーダーを中心とする共同研究グループは、この通説に反して「特別な環境下では動物細胞でも自発的な初期化が起こりうる」という仮説を立て、その検証に挑みました。
研究手法と成果
小保方研究ユニットリーダーは、まずマウスのリンパ球を用いて、細胞外環境を変えることによる細胞の初期化への影響を解析しました。リンパ球にさまざまな化学物質の刺激や物理的な刺激を加えて、多能性細胞に特異的な遺伝子であるOct4[9]の発現が誘導されるかを詳細に検討しました。なお、解析の効率を上げるため、Oct4遺伝子の発現がオンになると緑色蛍光タンパク質「GFP」が発現して蛍光を発するように遺伝子操作したマウス(Oct4::GFPマウス)のリンパ球を使用しました。
こうした検討過程で、小保方研究ユニットリーダーは酸性の溶液で細胞を刺激することが有効なことを発見しました。リンパ球を30分間ほど酸性(pH5.7)の溶液に入れて培養してから、多能性細胞の維持・増殖に必要な増殖因子であるLIFを含む培養液で培養したところ、7日目に多数のOct4陽性の細胞が出現しました(図3)。
酸性溶液処理[10]で多くの細胞が死滅し、7日目に生き残っていた細胞は当初の約5分の1に減りましたが、生存細胞のうち、3分の1から2分の1がOct4陽性でした。ES細胞(胚性幹細胞)[11]やiPS細胞などはサイズの小さい細胞ですが、酸性溶液処理により生み出されたOct4陽性細胞はこれらの細胞よりさらに小さく、数十個が集合して凝集塊を作る性質を持っていました。次にOct4陽性細胞が、分化したリンパ球が初期化されたことで生じたのか、それともサンプルに含まれていた極めて未分化な細胞が酸処理によって選択されたのかについて、詳細な検討を行いました。まず、Oct4陽性細胞の形成過程をライブイメージング法[12]で解析したところ、酸性溶液処理を受けたリンパ球は2日後からOct4を発現し始め(図3)、反対に当初発現していたリンパ球の分化マーカー(CD45)が発現しなくなりました。また、このときリンパ球は縮んで、直径5ミクロン前後の特徴的な小型の細胞に変化しました。(YouTube:リンパ球初期化3日以内)
次に、リンパ球の特性を生かして、遺伝子解析によりOct4陽性細胞を生み出した「元の細胞」を検証しました。リンパ球のうちT細胞は、いったん分化するとT細胞受容体遺伝子に特徴的な組み替えが起こります。これを検出することで、細胞がT細胞に分化したことがあるかどうかが分かります。この解析から、Oct4陽性細胞は、分化したT細胞から酸性溶液処理により生み出されたことが判明しました。
これらのことから、酸性溶液処理により出現したOct4陽性細胞は、一度T細胞に分化した細胞が「初期化」された結果生じたものであることが分かりました。これらのOct4陽性細胞は、Oct4以外にも多能性細胞に特有の多くの遺伝子マーカー(Sox2、 SSEA1、Nanogなど)を発現していました(図3)。また、DNAのメチル化状態もリンパ球型ではなく多能性細胞に特有の型に変化していることが確認されました。

産生されたOct4陽性細胞は、多様な体細胞へ分化する能力も持っていました。分化培養やマウス生体への皮下移植により、外胚葉(神経細胞など)、中胚葉(筋肉細胞など)、内胚葉(腸管上皮など)の組織に分化することを確認しました(図4)。さらに、マウス胚盤胞(着床前胚)に注入してマウスの仮親の子宮に戻すと、全身に注入細胞が寄与したキメラマウス[13](YouTube:100%キメラマウス_STAP細胞)を作成でき、そのマウスからはOct4陽性細胞由来の遺伝子を持つ次世代の子どもが生まれました(図5)。これらの結果は、酸性溶液処理によってリンパ球から産生されたOct4陽性細胞が、生殖細胞を含む体のすべての細胞に分化する能力を持っていることを明確に示しています。小保方研究ユニットリーダーは、このような細胞外刺激による体細胞からの多能性細胞への初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency; STAPと略する)、生じた多能性細胞をSTAP細胞と名付けました。
続いて、この現象がリンパ球という特別な細胞だけで起きるのか、あるいは幅広い種類の細胞でも起きるのかについて検討しました。脳、皮膚、骨格筋、脂肪組織、骨髄、肺、肝臓、心筋などの組織の細胞をリンパ球と同様に酸性溶液で処理したところ、程度の差はあれ、いずれの組織の細胞からもOct4陽性のSTAP細胞が産生されることが分かりました。
また、酸性溶液処理以外の強い刺激でもSTAPによる初期化が起こるかについても検討しました。その結果、細胞に強いせん断力を加える物理的な刺激(細いガラス管の中に細胞を多数回通すなど)や細胞膜に穴をあけるストレプトリシンOという細胞毒素で処理する化学的な刺激など、強くしすぎると細胞を死滅させてしまうような刺激を少しだけ弱めて細胞に加えることで、STAPによる初期化を引き起こすことができることが分かりました。
STAP細胞は胚盤胞に注入することで効率よくキメラマウスの体細胞へと分化します。この研究の過程で、STAP細胞はマウスの胎児の組織になるだけではなく、その胎児を保護し栄養を供給する胎盤や卵黄膜などの胚外組織にも分化していることを発見しました(図6)。STAP細胞をFGF4という増殖因子を加えて数日間培養することで、胎盤への分化能がさらに強くなることも発見しました。一方、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞[14]は、胚盤胞に注入してもキメラマウスの組織には分化しても、胎盤などの胚外組織にはほとんど分化しないことが知られています。このことは、STAP細胞が体細胞から初期化される際に、単にES細胞のような多能性細胞(胎児組織の形成能だけを有する)に脱分化するだけではなく、胎盤も形成できるさらに未分化な細胞になったことを示唆します。
STAP細胞はこのように細胞外からの刺激だけで初期化された未分化細胞で、幅広い細胞への分化能を有しています。一方で、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞とは異なり、試験管の中では、細胞分裂をして増殖することがほとんど起きない細胞で、大量に調製することが難しい面があります。小保方研究ユニットリーダーらは、理研が開発した副腎皮質刺激ホルモンを含む多能性細胞用の特殊な培養液[15]を用いることでSTAP細胞の増殖を促し、STAP細胞からES細胞と同様の高い増殖性(自己複製能[16])を有する細胞株を得る方法も確立しました(図7)。この細胞株は、増殖能以外の点でもES細胞に近い性質を有しており、キメラマウスの形成能などの多能性を示す一方、胎盤組織への分化能は失っていることが分かりました。
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 『朝日』の記事には、理研の原プレス発表にない内容ばかりが書かれているのにお気づきだろうか?
 答えは簡単で、『朝日』は万能細胞=STAP細胞と記事の最初から書いている。理研の発表にはそうした表現はまったくない。万能細胞=多能性細胞という表現は、実験ステップの第二段階(緑字)で確認され第三段階(赤字)で具体的に結果が出ている。理研の記述を見ると、実はSTAP細胞には、三段階の意味があることが分かる。
1)第一段階での意味:「別な環境下では動物細胞でも自発的な初期化が起こりうる」という仮説を実験で証明して得られた細胞(青字)
2)第二段階での意味:第一段階実験で得られた細胞の由来を検証して、多能性を獲得していると考えられた細胞(緑字)
3)第三段階での意味:第一段階実験で得られた細胞をマウスに移植して再生性や発生性を確認した細胞(赤字)
 『朝日』『毎日』等の営利メディアや国内外のブログが集中砲火を浴びせたのは、2)と3)の細胞あるいはその実験である。実は、理研自体は、STAP細胞実験全体が、万能細胞の実験だとは一言も言っていない。このプレス発表の基本的発表は、1)のSTAP細胞=体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見したことで、2)や3)は再生医療に使う特許に密接に関係した応用技術の検証と結果に過ぎない。1)の科学的発見について、その経済的価値を2)と3)で証明しようとした、そうしたデザインの実験だったのである。
 しかし、『朝日』の解説を見ると、最初から3)万能細胞=STAP細胞を証明するために実験全体がおこなわれたように書き換えられている。引用したように、本来の理研の発表を真面目に読めばどんなに工夫しても『朝日』のような書き方にはならない。予め「万能細胞=STAP細胞」という予断で全体を要約しない限り、記事のような内容にはならないのである。つまり、『朝日』にとっては、1)のような基本的発見には全く興味がなく、今回集中砲火を浴びせている理研の研究は、万能細胞生産という巨額の利権に関する研究だったから攻撃したということが、そこから分かる。

 科学的な研究に、それぞれの証明ステップがあった場合、その目的によって研究の方法や相応しい対象が選ばれる。今回の理研の論文やプレスの内容は、以上のような三種類のまったく異なる目的の実験を複合した成果で、果たしてこんな手間、時間、経費のかかる実験全体をわざわざ捏造するだろうか?それになによりもまず、理研と小保方氏は、Nature論文とプレス発表をする遥か以前の2013年4月に、今回の実験1)関係の特許出願を済ませている。つまり、実験の1)は2013年4月の遥か以前に完了していた内容で、そうでなくては出願自体が不可能になる。

 アメリカでの特許申請:Generating pluripotent cells de novo:アメリカのTHE BRIGHAM AND WOMEN'S HOSPITAL、RIKEN、TOKYO WOMEN'S MEDICAL UNIVERSITYとVACANTI,Charles A.; (US)./VACANTI, Martin P.; (US)./KOJIMA, Koji; (US)./OBOKATA, Haruko; (JP)./WAKAYAMA, Teruhiko; (JP)./SASAI, Yoshiki; (JP)./YAMATO, Masayuki; (JP)
 ヨーロッパでの特許申請:GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO

 前に書いたときは、特許の内容がよく理解できなかったが、理研の発表を見付けてから、特許の内容は1)の部分に関連した部分、つまり「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理」に関係した第一段階の実験部分だけであることが理解できた。今回、2014年1月に発表された論文は、特許実験1)の経済的価値の証明である万能性の獲得あるいは多機能性に関する部分2)3)をある時期から追加して、全体として発表されたものと考えられる。だから、1)の経済的価値の証明を潰したい、おそらくは海外勢力(アメリカ、中国、韓国、台湾等)や国内勢力(遺伝子操作学派)の依頼を受け『朝日』『毎日』等が、わざわざいつもは絶対に引用しない「ブログ」を引用して攻撃を開始したのである。実験2)と実験3)を潰せれば、実験1)の経済的価値は証明できないからである。今回の攻撃対象は2)と3)に集中している。 それは大成功して、「間接戦略」の目標(囮)実験2)、実験3)を潰すことで、「直接戦略」の目標である実験1)の内容を理研は愚かにも公開してしまった。リデル・ハートの『戦略論』の模範で、これは敵ながら天晴れと言うべき、まさに奇襲作戦(敵の予想していない最も弱い重要部分を潰す)の見本である。
 その証明の質も含めて実験2、実験3に関しては、2013年後半に事前に情報が外に漏れていた可能性が非常に高い。

 ただ、攻撃者側の誤算は、博士論文の部分の攻撃だろう。小保方氏を潰すことで協力者を排除する目的でおこなわれたと思われるが、こちらのほうは、間接戦略には実はまったくなっていない。ヒステリックな小保方氏や周囲の研究者へのゴシップ攻撃、スキャンダル攻撃がエスカレートするにつれて多分、攻撃者の方が困る方向に議論(砲火)が外れていったと思われる。
1)早稲田の信用失墜
 小保方氏への個人攻撃の砲火は止まないが、博士論文を出した早稲田への砲火は既成金権メディアからはほとんどない。早稲田は腐敗メディアと一体化しているので、偽善メディアが自分自身に砲火を浴びるのを避けようとしているためだろう。しかし、だんだん外れ玉が自分自身にあたり始めているようである。

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【早稲田】小保方の指導教授ゼミ、博士論文でコピペ大量発覚wwwwwwww
小保方晴子氏が博士号を取得した早稲田大学に提出された、他の博士論文にもコピー・ペストが発覚し、問題視されている。
「小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑」と題されたブログを中心に、検証が進められてきた。
その一例が、小保方氏の博士論文の主査だった常田聡教授が同じく主査を務めた、松本慎也氏(現在は常田ゼミの
特別研究員)による2009年の博士論文だ。第1章の「1.1」は、冒頭部分以外がPicioreanu氏らによる
2004年の論文からのコピーであると指摘されている。
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ハーバード大教授「小保方氏の博士論文読んでない」 衝撃発言に東浩紀氏「本当なら早稲田は終わりだ」
理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)が早稲田大学に提出した博士論文について、学位審査員の一人だった米ハーバード大教授のチャールズ・バカンティ氏が「読んでいない」と話していることが分かった。
 英科学誌「ネイチャー」のウェブサイトが2014年3月18日に掲載した記事によると、同誌の取材に対し「彼女の博士論文のコピーをもらったり、読むように頼まれたりしたことはなかった」と回答しているのだ。一体どういうことなのか。
東大教授「試験答案なしで採点したことと同じ」と仰天
 コピペ指摘のある小保方氏博士論文、審査にも「疑惑」(画像は早稲田大学理工学術院サイトTOPページ) 早稲田大学によると、小保方氏の博士論文審査は指導教員だった常田聡教授が主査を務め、他に早大の武岡真司教授、東京女子医科大の大和雅之教授、そして留学先の指導教官だったハーバード大のバカンティ教授が副査を担当した。小保方氏は審査に合格し、2011年に博士号を取得した。
 ところがバカンティ氏は、内容を審査する前に論文を「もらっていない」と主張しているのだ。バカンティ氏の発言が事実だとすれば、早稲田大学の審査体制が問われることとなる。小保方氏の論文を巡っては、米国立衛生研究所サイトからの約20ページにわたるコピー&ペースト問題が浮上しているだけに「ザル審査」の疑惑も一層強まる。
 ネイチャーの報道は注目を集め、インターネット上にもさまざまな意見が出ている。作家で思想家の東浩紀氏は「これ本当だとしたら早稲田終わりだし(書類上審査したことになっているから)、嘘だとしたらバカンティ終わりだ。泥沼だな」とツイート。経済評論家の宋文洲氏もツイッターで「審査委員が読んでいない?もうメチャクチャだ」と問題視する。
 大学教授らも首をひねる。東京大学大学院理学系研究科教授の鍵裕之氏は「学位論文は読んでいないようだが、審査書類にサインをしたのだろうか」と疑問を投げる。これに東大理学部教授のロバート・ゲラー氏が「早稲田の制度を知りませんが、鍵さんと私が所属する東大理学系では審査委員は審査会に出席しなければなりませんし、当然博士論文を読まなければなりません」と返すと、鍵氏は「論文見ずに審査したとすれば、試験答案なしで採点したことと同じですね」と続けた。
早大「審査員が目を通さないことは通常ない」
 鳥取大学工学研究科教授の石井晃氏も「審査員なら、審査報告書にサインしてるはずだし、それなら博士論文は読んでるはずだし、公聴会に来てるはずです」と不可解さを指摘する。その上で「あれはヴァカンティ教授が責任逃れのための口からでまかせ、という気がします」とも語った。東大や鳥取大の博士論文審査員は、名前と職名を審査報告書に書き、さらに捺印する必要があるといい、ロバート・ゲラー氏は「早稲田大学が調査して事実関係を確認してそれを公開して貰うことを期待します」と訴えた。
 果たしてバカンティ氏の主張は事実なのだろうか。ネイチャー誌の報道について早稲田大学に取材したところ、「バカンティ教授の発言はメディアが報じたものであり、私たちは直接聞いていません。これまで指摘もありませんでした。こうした報道に大学としてコメントを出すことは、誤解を生むことにもつながりますので控えさせていただきます」と回答。そのため、バカンティ氏の審査報告書へのサインの有無や、審査フローへの関与レベルついても「個別の件になりますのでお答えできません」として、話を聞くことはできなかった。
 それでも「審査員が論文に目を通さないということは通常、ないです」とし、小保方氏の論文を巡る今後の対応については時期がきたら発表すると話していた。
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 批判者の皆さんは、批判するならこちらも公平に攻撃すべきだろう。理研の論文はダメだが、早稲田の博士論文は別だという、韓国人流白痴思考「日本の慰安婦は絶対悪、韓国人のベトナム戦争での性犯罪は全部善」まがいの論理は、知能の低さ、自らの品性下劣さを示す証明にはなっても、自分の正当性を示す証拠にはならない。特に、博士論文は公文書として「国立国会図書館」で収蔵する義務がある。
 三胚葉由来組織に共通した万能性体性幹細胞の探索 : 早稲田大学大学院先進理工学研究科博士論文 小保方, 晴子

 Nature論文は作者の両会と出版社の話し合いで消せるが、博士論文はそれを認定した組織と審査責任者の責任認定なしに取り下げはできない。もみ消そうとすれば、早稲田は今の嘘の上にさらに二重、三重の嘘を重ねなくてはならないだろう。
 早稲田大学の言い分はいかにも歯切れが悪い。「バカンティ教授の発言はメディアが報じたものであり、私たちは直接聞いていません」理研と小保方氏の方は「ブログ」ネタで攻撃しておきながら、早稲田の方は「本人」の言が必要だと宣っている。

 「偽善」メディアに愚かにも煽動された「おもてなし」「侍Japan」日本市民が理研や小保方氏を攻撃しているが、早稲田の方が実は責任は重い。今まで博士論文の不正を見逃していた可能性が高い。私も同じ立場なのでよく分かるが、指導学生への「このコピーの方法は悪い。きちんと注をつけなさい」こんな簡単な指導で、コピー&ペースト問題は解決できるのだから。たぶん、白痴メディアと今の日本の有名大学は非常に密接な関係があるので、「全部独創」「全部私が作成しました」「全部新しい内容です」という根本的に不可能な幻想を共有しているから、私のような三流研究者の「このコピーの方法は悪い。きちんと注をつけなさい」は無能な三流大学での方法に見えるかもしれないが、原理的に不可能な「独創」などという幻想を研究で持たないほうがむしろ学生達は新しい研究ができるのである。以下の事件の内容も、学生に「他の資料を引用するのは正しい研究方法である。引用する場合は、引用の書式を守りなさい」と言っておけば、こんなことにはならなかっただろう。

 「全部独創」「全部私が作成しました」「全部新しい内容です」というような、絶対にできもしないことをできるかのように、またそれを若者に強制している今の日本の「有名大学」の教育方法と価値観の中に、継承によって初めて成り立つ文明社会の人間としては根本的に間違っている、自らを神の如き存在と考える傲慢という言葉では表現しきれない邪見驕慢な精神を形成してしまう、今回のようなすべての問題の病巣が潜んでいるように思われる。世界変動展望さんは、以下のように指摘している。

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早大の最初の調査裁定は公正か? - 早大博士論文盗用事件
『早稲田大学は21日、博士論文で盗用があったとして、早大大学院公共経営研究科が中国籍の晏英氏に授与していた博士学位を取り消すと発表した。[1]』 博士号の取り消しは早大の創立以来はじめての不祥事。[1]によると最初の通報は2011年8月で、今頃処分が確定したのだから調査等に約2年2ヶ月もかかっていたことになり、遅すぎる対応だったと思う。
(中略)
2011年8月の匿名告発(以下、最初の告発)に対して調査委員会を設けて調査しなかった。早大の「研究活動に係る不正防止に関する規程」(写し)第11条3項を見ると同規程は顕名通報のみを対象としているので、匿名通報への対応は大学の完全な自由裁量になるため、調査委員会が設けられなかったことに規程違反はない。しかし、「不適切な引用ではあるものの本文中ではなく注記であり論旨に関わる重要な部分ではないため、直ちに当該学位を取り消すまでの不正行為と断定するに至らなかった。[2]」という判断が恣意的で不公正だと思う。
早大の規程では「研究活動に係る不正行為」の一つとして
「著作権の侵害 出典を明示または明確にしないで、他人の作成したデータや文書を引用し、または要約を作成することその他他人が発表した試資料等を盗用すること。[3]」(第2条2項4号)
と定められている。この定義に従えば最初の告発は盗用による不正行為と判断すべきであって早大の判断は不適切だ。なぜなら、早大の判断は論旨に関わる重要な部分を盗用したわけではなく軽いものだから不正ではないというものだが、軽い盗用なら不正とならないとは規程で定められていなし、不条理な考えであり認められない。早大の考えを認めたら、論旨に関わる重要な部分でなければ盗用しても不正でないということになる。極めてわずかな盗用ならまだわからないでもないが、世間では120円のジュース一本盗んでも立派に窃盗罪になるし、盗用を認定しなければならない[4]。最終的には最初の告発の指摘部分も盗用と認定されたことを考えると、この意味でも最初の告発に関する早大の判断は実質的にクロをシロと判断したのと変らず不適切だったといえる[4]。不正を認めて不祥事を出すのを避けたかったのかもしれない。
また、匿名告発への対応が恣意的でまずいと思う。最初からきちんと調査委員会を設けていれば解決はもっとはやかったし、著作権侵害の被害も少なかったかもしれない。匿名告発も合理的な理由のある場合は顕名告発と変らない調査義務を拘束力のある規定で定めるべきだ。
解決が遅かったことは私だけでなく他の人たちも指摘している(写し、別の指摘と写し)。リンク先の指摘を見るとこの件は2011年にアマゾンのレビューで盗用が指摘されたという。それがこちら(写し)。博士論文をもとにして2010年10月1日に書籍が発行されており、そのレビュー欄に2011年9月11日に盗用の指摘が投稿された。匿名告発の時期と重なるので、おそらくその頃に発覚し指摘されたのだろう。
[1]でも書籍が出版されたことは触れられているので新聞社もレビューの盗用指摘は知っているかもしれない。レビューの指摘でどの程度盗用の疑惑が広まったのかは不明だが、2012年10月の同様の通報や2013年2月の告発も疑惑の広まりに影響を受けた可能性はあるかもしれない。全く根拠のない憶測に過ぎないけれど。
アマゾンの指摘が正しいなら、『注釈中の「直皖戦争」(p.165)、「二・二八事件」(p.283)の説明[5]』が『ほぼWikipediaからの丸写し[5]』だという。[1][2]を見る限りネットの情報を盗用したのは確かのようだ。注釈中という指摘が最初の告発と一致するので告発者と同一人物がレビューの投稿をした可能性はあるだろう。アニリール・セルカン元東大助教の博士論文盗用事件(その他1、その他2)の時もそうだが、ネットに載っている情報を写して論文を作成しても見抜けず論文を合格させてしまった。現在はこのような盗用は簡単にばれてしまうが、同じようなことをやる人は絶えなかったし、審査の杜撰さも変っていないのかもしれない。アニリールの事件は東大で今回は早大の事件だが、早大にとってアニリールの事件は完全に対岸の火事で他山の石とならなかったことは明白だ。
東大や早大に限らず博士論文の審査を杜撰に行っている大学は珍しくないのかもしれない。他大は東大や早大の事件を他山の石としきちんとした審査をやってほしい。
また、最初の告発に対する早大の恣意的で不公正な対応を見ると、匿名告発や不正の調査裁定を公正に行う制度が必要だと思う。これは前から主張していることなので繰り返さないが、国や日本学術会議は実効的な改善策を作ってほしいと思う。
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 この問題は、学生の問題ではなく教員の問題である。学生の不始末は教員の不始末である。博士課程は1対1の指導だからである。小保方氏の博士論文の引用に問題があったとすれば、それは事前の教官の指導および口頭試問で改善を求めなかった指導教官と口頭試問審査委員の責任である。引用の書式を注意するのは難しいことではないし、また口頭試問は博士論文の内容修正のためにあるが、それをしなかったのは指導者の怠慢だからである。偽善メディアの『朝日』や『毎日』等は巧妙に自社の中にたくさん居るだろう早稲田出身者に砲火が及ばなように今回の悪質なキャンペーンをデザインしたでのあろうが、個人を攻撃すれば火の手はいずれどこに上がるか分からず、小保方氏への個人攻撃をつづければ、出身校に火の手が上がるのは避けられず、その後はその出身校が業界を支配している出版、メディア業界全体にも火の手が及びかねない。

 博士論文攻撃を企画した攻撃者は、それで小保方氏を潰し理研関連の「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理」学派の関係者を一掃できると考えたのだろうが、旧日本軍の低能な指揮官のように「間接戦略」の意味が分からなかったらしい。博士論文は理研が出していない以上、博士論文問題で理研だけを攻撃することはできないからである。早稲田が炎上するのは時間の問題ではないだろうか。こちらのほうの作戦は、たぶん以下のような雑誌記事しか書けないメディア記者たちが企画したものだろう。

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小保方氏の過激バッシング報道続々 文春「乱倫な研究室」新潮「捏造にリーチ!」2014/3/19 17:54
週刊誌が「STAP細胞」論文不正問題に揺れる小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)に対するバッシング報道がますます過激化してきた。
中でも「小保方晴子さん 乱倫な研究室」と刺激的なタイトルを付けたのが、2014年3月19日発売の週刊文春だ。
共著者・笹井氏にとっては「シンデレラ」?
 文春は、一連の騒動の裏には「不適切な『情実人事』」があったと指摘する。その背景として紹介しているのが、当時、理研チームリーダーだった若山照彦氏に対する「猛アタック」だ。記事上では、元同僚が「『センセ、センセ』とずっと追いかけ回すような感じ」「(同じラボに勤務する若山氏の)奥さんが帰宅すると、すぐに『先生、ごはん食べにいきましょう』(と言っていた)」などと証言している。
 また、共著者である笹井芳樹氏からの「寵愛」があったとも伝えている。「ES細胞の第一人者」として知られる笹井氏が小保方氏のユニットリーダー就任を積極的に推薦したと言われているといい、小保方氏を「僕のシンデレラ」と呼んでいたという。疑惑浮上後には映画「ボディ・ガード」になぞらえたのか、「僕はケビン・コスナーになる」とも語っていたというのだ。
 同日発売の週刊新潮も刺激的だ。「捏造にリーチ!『小保方博士』は実験ノートもなかった!」と題した特集記事で、小保方氏の研究姿勢を問題視した。記事で紹介している理研関係者の話によれば、小保方氏は研究者にとって「命」ともいえる実験ノートをしっかり整理しておらず、実験で使った細胞切片もすぐに捨ててしまうなどずさんに管理していたそうだ。また、共同研究者のハーバード大学医学部教授、チャールズ・バカンティ氏の過去の業績も「怪しい」と指摘し、「エアSTAP細胞」の可能性を暗示する。
「品性のなさが酷い」と批判の声も
 両誌共通のエピソードもある。高校時代、バレー部のマネージャーをしていた小保方氏が、交際していなかった男性部員について「付き合っている」と吹聴していたという証言を「妄想リケジョ伝説」(文春)、「エア彼氏」(新潮)として紹介し、プライベートな話を今回の騒動に結びつける。
 文春、新潮両誌とも報道の中身がどこまで本当かは分からないが、小保方氏の個人攻撃にも近い書き方だ。
 他誌でも「『第2の森口』『科学界の佐村河内』とまで指弾されて オボちゃんはなぜ『やっちまった』のか」(週刊ポスト)、「小保方晴子さんを踊らせた『ケビン・コスナー上司』の寵愛」(女性セブン)などと疑惑や内実を追及して盛り上がっている。
 一連の騒動が世間の関心を集めていることは間違いなく、不正が意図的であったとすればバッシングも免れられない。だが、週刊文春をはじめとする週刊誌のこうした報道ぶりには疑問の声も出ている。インターネット上では、
「有名週刊誌による小保方さんへの人格攻撃が始まった」
「まるで親の仇への如きこき下ろしが、下衆な感覚満載で流石に気持ち悪い」
「週刊誌の小保方さん叩きの品性のなさが酷い。吐き気を催す」 「小保方さんをしゃぶりつくそうとしている」
といった声が多々あがっている。
経済学者の池田信夫氏も、
「週刊文春はSTAP細胞の疑惑にはほとんどふれないで、男女関係のゲスの勘ぐりばかり。オヤジの関心は、そこしかないのか」
とツイッターでコメントしている。
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 攻撃するなら、小保方氏が理研で実際に実験をまったくしていなかったことを証明する点だろうが、特許の申請から考えると、先に見た三段階の実験全体が存在しなかった可能性はほとんど考えられない。しかし、実は「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理」はすでに2012年に日本の研究者が発表しているということである。

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小保方さんらの細胞は本当に最初の「STAP細胞」なのか?
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 また、特許についても、すでに実験第一段階の関連特許が別の研究者から以前に出されているという指摘がある。

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小保方晴子博士の「STAP細胞」特許出願は基本特許とはならない
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 とすれば、以前このブログで書いたように、今回の攻撃者は、やはり実験第一段階のノウハウの公開と同時に、実験第二段階、第三段階を潰して「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理」の経済的価値の証明を無効にし、特許の価値を喪失させるのが主な目的だったのだろう。今後、事件で公開された実験第一段階の方法を使って実験第二段階、第三段階まで含めた特許を申請してくる第三者や第三国が現れるだろう。

 いずれにしても、こんな低級なメディアの煽動でいつまでも本務のバイオ関係研究が進まないのは国家的損失に繋がる。あまりにも低劣な言論界の動きは、日本社会の本質的衰退の象徴かも知れない。「正気(せいき)」を取り戻してほしいと願う。


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2 コメント

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Unknown (A)
2016-02-01 02:53:48
こういうブログを書く研究者がいてホッとしました。ありがとうございます。海外研究者達からCDB解体に150通以上抗議の手紙が来たのに対して、沈黙している日本の研究者達。悲しいですがこれが日本の科学界の現実です。中にはおかしいと感じている知的な研究者もいるかもしれませんが、黙っていじめを見て見ぬ振りをするならいじめに加担しているのと同じなのです。科学界に限らず日本人は、おかしいと思う事はきちんと糾弾して社会の為に変えていかないといけない。そうでないと犠牲者が出るという事を理解して行動できる人が少ないです。欧米はこういう事はきちんとやっています。又著者達が何か言うと、ありとあらゆる個人攻撃や誹謗中傷をされるのを目にし、このような言論弾圧が平気で行われている日本を危惧しています。
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近代の病を乗り越えましょう (蓬莱の島通信)
2016-03-01 09:35:52
コメントありがとうございます。客観的、冷静な書き方は実は演技に過ぎないと思っていますので、悪口雑言も交えていつも書いています。悪口雑言も立派な言語文化です。「偽善」「権威」は文化の最大の敵、市民社会とは相いれない存在です。日本人の多くはメディアに身を委ねることで、自分が生きるための戦略として選んでいる「空気に合わせる」を至上の価値観にしています。これが今の日本社会衰退の最大の原因だと私は考えています。その意味で、STAP細胞事件は、「現在」の明治的近代を基盤にした日本社会に現れた死の徴候だと判断しています。大日本帝国が滅亡する前の1930年代にも、これよりもっと直接暴力として「言論統制」が行われ、NHKや『朝日』等のメディアが積極的にそれに加担した結果、中国大陸から太平洋全域に戦争は拡大し、1945年8月15日に世界史に残る惨めな国家滅亡という結果に到りました。その結果、戦後社会になって日本は新しい発展を迎えたのですが、今、その戦後社会は「人口減少」という終末期を迎えています。しかし、これは新しい可能性の始まりです。「空気」を恐れない、これが再生の鍵です。「空気」は簡単に変えられます。ネットはいい武器になります。恐れずに御発言なさることをお勧めします。また、自分の技術に自信をお持ちなら、海外に空間を広げることもお考えになるといいです。私も日本にいなかったおかげで、日本では絶対に認められないような研究を続けることができました。
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