大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

トランプ政権、移民締めつけ

2019年07月17日 | 日記

 来年(2020年)の米大統領選挙では、移民政策が大きな争点のひとつになるとみられている。

 こうしたなかトランプ政権は支持者へのアピールをねらって、移民への締め付けを加速させている。

 ひとつは、難民申請を難しくするルールの設定。

 2019年7月15日(月)、米国土安全保障省は、難民申請者は最初に入国した国で難民申請をおこなわなければならないとする新しいルールを公表した。

 ニューヨークタイムズによれば、2019年度(2018年10月-2019年9月)、南部国境で拘束された不法入国者(家族)のうち米国と国境を接するメキシコ出身者は3200人。

 これにたいし、メキシコを経由して米国に入国したエルサルバドルとグアテマラ出身者は36万3300人

 後者の方々は、これからはメキシコで難民申請をおこなわなければならなくなる。

 米政府は、メキシコおよびグアテマラ政府と上記の新ルールについて交渉をおこなっていたが、今回、米国は両国の合意なしに一方的なルール改定に踏み切った。

 もうひとつは、難民申請を否定された方々の拘束。

 いぜんのブログでもふれたように、アメリカでは未成年をともなった家族が難民申請する場合、その審査がおこなわれている間、アメリカ国内に居住することを許されている。

 難民が認められなかった場合NYTによれば全体の6-8割)、国外退去をもとめられるが、そのままアメリカ国内に居住を続ける方々が多いとされている。またサンクチュアリと呼ばれる進歩的な地域では、こうした方々の強制的な排除に反対する意見が多数派となっている。

 しかし2019年7月15日(月)から、トランプ政権は大々的な宣伝のうえ、こうした人々の強制捜査、拘束を開始した。

 またアメリカでは現在、不法入国した児童については20日以上、拘留してはならないとされているが、トランプ政権は、その拘留期間の延長も計画している。

 アメリカ社会の反応が気になるところである。

 

2019/7/25追記

 2019年7月24日(水)、サンフランシスコ連邦地裁は第3国を経由してアメリカに入国した人について、そのことを理由に難民申請を受け付けないとするルール変更を差し止める判断をくだし、ただちに実行にうつされた。

2019/7/27追記

   2019年7月26日(金)、グアテマラはアメリカに難民申請するためグアテマラに入国した人(おもにホンジュラスとエルサルバドルからの入国者)について、グアテマラで難民申請しなければならないとするルール変更に合意した

 

アメリカとメキシコ、不法移民抑制で合意: 関税は無期限延期 (2019/6/9)



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2 コメント

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まさに、極端とも言えるトランプ氏の“白色主義”に驚かされます。 (原左都子)
2019-07-17 16:36:35
それもトランプ氏の“選挙戦勝利狙い”とのニュース報道もある事実こそが、米国社会に依然として「白人主義」が根強い事実を思い知らされます。
国家とは一体誰が作ったのか?、を問われる論争のような気もします。 その意味で、トランプ氏の根底にあるのが「米国は白人が作ったんだ!」なる揺るぎない歪んだ思想なのでしょう。
私事で恐縮ですが、昨日ウィーンから帰国したばかりですが、オーストリアは我が国同様に“難民”を受け入れない国家のようでした。 そのため米国程の「差別社会」感を呈しておらず、一見実に美しい国でした。
これが何を物語るのか…、今後の我が課題にしたいとも考察させられた今回の旅でした。
長々と、失礼申し上げました。
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おかえりなさい (大野)
2019-07-17 17:44:52
おかえりなさい。ウィーンいかがでしたか?これからのブログ楽しみにしています。
ちなみに私は長い学生時代、アルバイト代を貯めてはバックパッカーをしていました。ヨーロッパもかなりの国を訪問しましたが、物価がとくに高いと言われていたオーストリアとスイスには行くことができませんでした。
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