大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

UAWとフォード、労働協約を暫定合意

2019年11月11日 | 経済

 2019年11月1日(金)、フォードとUAW(全米自動車労組)は4年間の労働協約について暫定合意した。

 合意内容は基本的にはさきごろGMとUAWが合意したものと同じ。

 異なる点は以下のとおり。

(1)労働協約締結一時金は正社員が9千ドル(100万円:1ドル=110円)、期間従業員が3.5千ドル(39万円)。<GMは正社員が1.1万ドル=120万円、期間従業員が4.5千ドル=50万円>

(2)60億ドル(6.6千億円)を投資し8.5千人分の雇用を維持する。<GMと異なりフォードはもともと大規模な工場閉鎖を予定していない。現在、ロメオエンジン工場の閉鎖だけが予定されている。>

(3)GMと異なりフォードとGMが共同で運営している教育訓練センターは閉鎖しない。<GMとFCAでは、教育訓練センターをつうじておこなわれていた大規模汚職の捜査・裁判が進んでいる>

(4)期間労働者の比率は、全体として8%、工場単位で10%を超えないこととする

 現在、全組合員による投票がおこなわれており(締め切りは2019年11月15日(金))、組合員の過半数が賛成すると労働協約が正式に発効する。

 

2019/11/16(土)追記

 フォードの労働者は56.3%の賛成で4年間有効の労働協約を承認した

 今回、2つのローカル(支部)で過半数が労働協約に反対票を投じた。ひとつは閉鎖が予定されているロメオエンジン工場。もうひとつは、組合員数がもっとも多いケンタッキー工場(1.2万人)。同工場では技能労働者の67%が反対票を投じた(専門労働者は51%が賛成)。

 2019年11月18日(月)からはFCAとの労使交渉が始まることになっている。



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