大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

自動運転と電気自動車、高級車から普及する流れ強まる 

2018年06月24日 | 日記

 現在、自動運転と電気自動車の開発をめぐって世界で激しい競争がおこっているが、ここにきて高級車から普及が進む流れが一段と強まっている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(2018/6/22)によれば、アウディ、ポルシェ、BMWについでジャガーがこの8月、電気自動車I-Paceを発売する。来年にはベンツが電気自動車の販売を開始する予定になっているほか、ベントレーロールスロイスでも電気自動車の計画が進んでいる。

 同紙によれば、2022年末までに電気およびプラグイン・ハイブリッド合わせて75モデルが、2025年までには500モデル近い電気自動車が発売される予定になっているが、他のセグメントに先んじて高級車ブランドで電気自動車の導入が進みつつある

 自動運転も同様である。BMWやベンツの一部車種には、かなり前から自動で前車に追従する機能がついており、自動で車線を変更する機能がついているものもすでに市販されている。また現在、自動運転でもっとも高い評価をうけているモデルのひとつがキャディラックのCT6(日本仕様車は異なる)である。

 キャディラックCT6が搭載するスーパークルーズと呼ばれる自動運転システムは、幹線の高速道路についてあらかじめ空間情報地図をインプットしており、その区間であれば手を放したまま安全に運転することができるようになっている。テスラを含む他社の自動運転車のようにハンドルに手を置く必要はない。そのかわり、運転者の視線をカメラがチェックし、道路を一定時間見ていないと警告を発する仕組みになっている。GMは今後、このシステムを他のキャディラックのモデルに広げた後、GMの一般の車種にも広げていくとみられている。

 ここで気になるのが日本メーカーである。日本メーカーは日本とアメリカにおけるレクサス(トヨタ)の成功を除けば、高級車モデル・ブランドの扱いが小さく、高価な新技術を普及させる基になる車に欠けている。あるいは、そもそも新技術を普及させるため高級車を使うという発想に乏しい。水素自動車も、レクサスに導入すれば1千万円でも欲しい(お得だ)という人はたくさんいたと思うが、あえて大衆車をおもわせる作りにしているのは(それでいて値段は高い)マーケティングの失敗ではないかと思う。日本メーカーは、電気自動車や自動運転も、ハイブリッド車のように最初から量産車種として普及させようとしているようにみえるが、それが可能になるときまで世界は待っていてはくれないのではないか。経済を支える重要な産業なので大変気がかりである。

2019/4/17追記

 GMは、スーパークルーズを2020年からキャディラックCT5に搭載すると発表した



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