"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

「新たなる金融危機に向かう世界」 副島隆彦著

2010-12-15 04:58:53 | 日記
副島(そえじま)さんは53年生まれ、早稲田大学法学部から、外資系銀行員を経て、予備校講師、常葉学園大学教授などを歴任しています。
“民間人国家戦略家”として講演、著作活動を続けています。

その舌鋒は、表紙の顔写真のように、いかつく、鋭いです。(失礼)

“菅直人と仙谷由人官房長官は、誰かに、どこかの国の特殊な人々に脳をやられたのである”
“アメリカ帝国は、今や世界中から詐欺で集めた金を、1ドルも返さないで踏み倒してしまおうという、巨大な人類史上最大の詐欺事件を目論んでいる”、そのために、

“1ドル=10円の大暴落を企てる。アメリカ国内には「100ドルを1ドルにする」というデノミネーション(通貨単位の変更)を断行するだろう。”

想定される様々な事態に備える、頭の中でシュミレーションしておく、という意味で、有用な情報を提供してくれます。

不動産証券化商品を含め、実は相当リスキーであった様々な金融商品に対して、トリプルAという最上級格付をつけ、バブル崩壊の悪役となった格付け会社。

本来は公的機関であるべき格付け会社、その最大手、S&Pの親会社は、マグロヒルという、アメリカ最大の出版事業のコングロマリットで、その大株主、オーナーは、デイヴィッド・ロックフェラーだったということ、恥ずかしながら私は知りませんでした。

S&Pの本社は、ロックフェラーセンタービル内にあるそうです。

ロックフェラー、押さるべきところはちゃんと押さえているのだな、とヘンな感心をしてしまいました。

ちなみに、大手もう1社のムーディーズの株主は、ウォーレンバフェット。

副島さんは、“本来、金融政策とは言えない大銀行の救済を、金融政策のふりをして、財政資金(国のお金)で行った”各国の政策を批判します。

2003年日本でのりそな銀行救済、2008年のアメリカの大手銀行救済、今年のヨーロッパでの資本注入を指しています。

“本当は、「経営に失敗した会社(企業)として、破産法のきまり通り、死なせる(破産させる)べきだったのである」”

全く正論だと思います。

しかし、一方で、リーマンブラザーズを潰したことによって、世界の金融市場が崩壊寸前になってしまいました。

私はむしろ、大銀行の救済を行わざるを得ないところまで、世界の金融状況が悪化している、というように受け取っています。

以前、日本のバブル崩壊後、不動産や、株式等の時価評価を緩くして、米国からの批判を浴びました。

今、米国で、逆にそれをやっています。

損失隠しをやってもなおかつ米国内の銀行の倒産は止まらないのですから、かなり深刻だという想像が出来ます。

副島さんは、“2007年8月から始まったサブプライム問題から始まった金融恐慌がもうすぐ世界恐慌に発展していく”と考えています。

それによってオバマ大統領は、じきにその座を降りざるをえなくなり、ヒラリー・クリントンさんが後任の大統領となると予想しています。

そして“1930年の大恐慌時に、ルーズベルト政権が行ったこととまったく同じような政治体制を目指す”と、その政治体制を“ヒラリーファシズム”として、金融面だけでない様々な分野での規制強化に対する懸念を表明しています。

新たなる金融危機に向かう世界
副島隆彦
徳間書店

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