"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

「裏読み日本経済」 朝倉慶著

2010-12-16 00:00:01 | 日記
著者の朝倉さんは、1964年生まれ、証券会社勤務後3年で独立した経済アナリストです。
船井幸雄さんが、経済の超プロ、K氏として紹介しています。

今、日本はデフレです。

日本には、ものを売りたい人は多いが、買いたい人が少ない、という需給ギャップが存在し、そのギャップは約40兆円と言われている。

この40兆円のギャップを埋めることが出来ない限り、即ち、その分の過剰な設備を削減出来ない限りデフレを解消することは出来ない。

日本は、税収が30兆円しかないのに、90兆円の予算を立てている。

歳出を2,3兆円削減しても、大勢には影響がない、即ち、日本が財政破綻に向かうのを避けることは出来ない。

そしてある時点から想像を絶するインフレとなる、と予想します。

日本や米国では、経済を建て直すために、今後も低金利政策を続けざるをえない。

しかし、低金利で溢れたお金は、需要を増大させるような消費や設備投資に回るのではなく、商品相場や新興国の資本市場に回り、バブルを発生させる。

それが再び日本に返ってインフレとなる。

その結果、金利は上昇、国債価格の暴落によって、日本国民は財産を失う、というシナリオです。

私自身も、確率の高いシナリオの一つだと思っています。

ヨーロッパでも、ギリシャ、アイルランドに始まる国家破綻の連鎖は続き、“危ういバランスで成立しているモザイク通貨のユーロ”に危機が訪れると説明します。

商業用不動産ローンに関して、“担保価値が下がっても、不良債権として認定する必要はない”という指針を出して、数字の改ざんを勧めるアメリカも、銀行の大量倒産等で益々厳しくなる、との読みです。

この本の後半では、“市場はどのように支配/コントロールされているのか”というタイトルで、ヘッジファンド等、資金量の豊富な海外の投資家によって、マーケットが操作されているという説明をします。

それは先物取引を使った方法です。

通常の株式の売買では、大量の資金を短期間につぎ込むことは出来ません。

その銘柄の流動性にもよりますが、一度にたくさん買おうとすると、株価が上がってしまうのです。

それに構わず、どんどん買い進めることは相場操縦として禁止されています。

そうでなくとも、買っている時に株価がどんどん上がるということは、将来売却時の利益金額を少なくしてしまうということになり、投資家にとって好ましいものではありません。

しかし、先物取引の特徴として、それを使うと、同じ価格でいくらでも大量に買付けすることが出来るのです。

しかも、決済時は持株を売却せずに、その時の決済価格(SQ)で決済される。
従って、理論上、資金量が多ければ勝ち続けることが出来るわけです。

著者は、85年のプラザ合意後の日本のマーケットの上昇過程及び90年からのバブル崩壊は、そうした制度をフルに活用した投資家によって作られた、と考えます。

そして、それはまた再現される可能性があると。

確かにこの取引は、巨大な投資家の資金つくりに貢献していたのかも知れません。

国民新党は、前回の衆議院選挙時「先物取引の禁止」をうたいましたが、大きな反対にあって実現しませんでした。

今、それをもう一度見なおす必要があるのだと思います。

裏読み日本経済 本当は何が起きているのか
朝倉慶
徳間書店

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