致知出版社「人間力メルマガ」よりです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
致知出版社の「人間力メルマガ」
【2011/9/13】 致知出版社編集部 発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人間力メルマガのベスト記事26本を編集長が選び抜き、
いま大きな反響を呼んでいる書籍『一流たちの金言』。
⇒ http://www.chichi.co.jp/book/7_news/book934.html
発売後、アマゾンランキングでたちまち総合2位になり、
「ビジネスブックマラソン」などの人気書評メルマガでも
紹介されるなど、おかげさまで好評を呼んでいます。
本日は『一流たちの金言』に収録されている
26の人間力を高めるエピソードの中から、
ソニー創業者の井深大氏が語った貴重なリーダー論を
ご紹介いたします。
────────────────────────────────────
「ソニー創業者・井深大氏が語ったリーダー論」
宮端清次(はとバス元社長)
『一流たちの金言』より
〜第1章 名経営者の逸話が教えてくれること〜
http://www.chichi.co.jp/book/7_news/book934.html
────────────────────────────────────
リーダーシップの勉強を始めようと私が思ったのは、
30年以上前のことです。
都庁で管理職になった頃、
現役を退いたソニーの井深大(いぶか・まさる)さんの講演を
聴きに行ったんです。
そこで井深さんは1時間ほどリーダーシップの話をされましたが、
私にはよく分からなかった。
すると終了後に、ある女性が手を挙げて
「失礼ですが、いまのお話はよく分かりませんでした。
私のような主婦にでも分かるように話をしてくれませんか」
と言ったんです。
司会者は大慌てでしたが、さすがは井深さんですね。
ニコッと笑って、こんなお話をされました。
「ソニーの社長時代、最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、
世界中から大勢の見学者が来られました。
しかし一番の問題だったのが便所の落書きです。
会社の恥だからと工場長にやめさせるよう指示を出し、
工場長も徹底して通知を出した。
それでも一向になくならない。
そのうちに『落書きをするな』という落書きまで出て、
私もしょうがないかなと諦めていた。
するとしばらくして工場長から電話があり
『落書きがなくなりました』と言うんです。
『どうしたんだ?』と尋ねると、
『実はパートで来てもらっている便所掃除のおばさんが、
蒲鉾(かまぼこ)の板2、3枚に、
“落書きをしないでください
ここは私の神聖な職場です”
と書いて便所に張ったんです。
それでピタッとなくなりました』
と言いました」
井深さんは続けて
「この落書きの件について、
私も工場長もリーダーシップをとれなかった。
パートのおばさんに負けました。
その時に、リーダーシップとは上から下への
指導力、統率力だと考えていましたが、
誤りだと分かったんです。
以来私はリーダーシップを
“影響力”と言うようにしました」
と言われたんです。
リーダーシップとは上から下への指導力、統率力が基本にある、
それは否定しません。
けれども自分を中心として、
上司、部下、同僚、関係団体……
その矢印の向きは常に上下左右なんです。
だから上司を動かせない人に
部下を動かすことはできません。
上司を動かせる人であって、
初めて部下を動かすことができ、
同僚や関係団体を動かせる人であって、
初めて物事を動かすことができるんです。
よきリーダーとはよきコミュニケーターであり、
人を動かす影響力を持った人を言うのではないでしょうか。
リーダーシップとは時と場合によって様々に変化していく。
固定的なものではありません。
戦場においては時に中隊長よりも、
下士官のほうが力を持つことがある。
ヘッドシップとリーダーシップは別ものです。
あの便所においては
パートのおばさんこそがリーダーだった。
そうやって自分が望む方向へ、相手の態度なり行動なりが
変容することによって初めてリーダーシップが成り立つのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(転載終了)
“司会者は大慌てでしたが、さすがは井深さんですね。
ニコッと笑って、こんなお話をされました。”
怒らず、騒がず、動揺せず、“ニコッと笑って・・・”
井深さんの人柄、懐の深さを知ることが出来るエピソードだと思います。
トイレの落書きの一件。
会社において社長さんが何かを指示したら、それは実現するのが普通です。
工場長さんも必死だったでしょう。
でも、どうしても落書きはなくなりませんでした。
トイレは、プライベートな空間でもあり、人の本音が出やすい場所なのかも知れません。
なので、落書きを止めることは難しかったのかも知れません。
しかし、掃除のおばさんが、かまぼこ板に、
“落書きをしないでください
ここは私の神聖な職場です”
と書いて貼ったら落書きがなくなってしまいました。
一体、なぜ落書きがピタッと止まったのでしょう。
本音には、本音で向っていくということが必要だったのかも知れない、と思います。
それまで、だれも、そのトイレを“私の神聖な職場”だと考えている方がいるとは思わなかったのでしょう。
そして、その言葉を見て、あっ!と気がついた、ということなのかも知れません。
「この落書きの件について、
私も工場長もリーダーシップをとれなかった。
パートのおばさんに負けました。
その時に、リーダーシップとは上から下への
指導力、統率力だと考えていましたが、
誤りだと分かったんです。
以来私はリーダーシップを
“影響力”と言うようにしました」
いい言葉ですね。
それにしても・・・
トイレの落書きについて社長に随時電話報告する工場長さん、
そしてこの一件から、リーダーシップについての考えを深めていかれた社長さん、
その様子を思い浮かべると、なんだかこちらの頬も緩んで来ます。
素晴らしい会社ですね。
ある会社がこれから伸びる会社かどうかを判断するには、トイレの清潔さを見るのが一番いい、というジンクスがあります。
井深さんは、そうしたこともきっと感覚的に理解していらっしゃったのでしょうね。
まず最初に会社の理念を作ったのですよね。
時代の移り変わりに伴って、会社の姿もどんどん変わっていくべきだと思いますが、
普遍的な創業者のビジョンは大切にすべきなのではないかと思います。
toshiさんは、SONYの方でしたか。
リーダーシップとは、影響力
まさにそのとおりと思いました
納得しました
すばらしいな
アタシも、影響力のある人間になりたいです
肩書きに関係なく、回りの方々に信頼され、いい雰囲気、いい影響を与えている方、いますよね。
それが本当のリーダーシップなのでしょうね。
MBAかぶれの井深さんも気づかされること。
「神聖な場所」。
でも、恥も知らない人には、その意味は理解できません。残念ながらそういう国もありますし、そういう人たちもいます。知らない人達の文化はテレビカメラを付けます。
つまり、人を信用していないということですね。