致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。
(転載開始)
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致知出版社の「人間力メルマガ」
【2012/1/28】 致知出版社編集部 発行
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かかる費用は社員一人につき、1万円。
かかる時間は毎月たったの1時間――。
『致知』を使った社内勉強会「社内木鶏(もっけい)会」が
いま、全国600社以上の企業などで実施され、
大きな成果をあげています。
昨年10月に東京で1,200名以上の方々にご参加いただき、
開催された「第2回社内木鶏全国大会」では、
浦田理恵さん(株式会社アソウ・ヒューマニーセンター勤務)に
特別発表をしていただきました。
浦田さんは、来年の「ロンドンパラリンピック・ゴールボール競技」に
出場する日本代表選手でもいらっしゃいます。
弊社より「感動奨励賞」を授与させていただいた
浦田さんのスピーチをご紹介いたします。
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◆目が見えないことが、いつしか「苦しみ」ではなくなっていた
(株式会社アソウ・ヒューマニーセンター勤務 浦田理恵さん)
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皆さん、こんにちは。
私は九州の福岡からきました、
アソウヒューマニーセンターの浦田理恵と申します。
皆さん、お分かりにならないかもしれませんが、
実は私は視覚に障害があります。
活字を見ることも、相手の表情を見ることもできません。
私が視力を失ったのは、教職の免許を取るために
福岡の専門学校に通っていた20歳の時でした。
卒業を間近に控えた頃、網膜色素変性症と診断され、
僅か3か月で左目の視力を失い、
右目もわずかに光を感じるくらいまで
低下してしまったのです。
何もできなくなった自分が生きている意味があるのだろうか。
いろいろと悩み苦しみ、どん底にまで落ち込みました。
独り暮らしをしていた私は
誰とも会わずに家の中に引きこもり、
熊本の両親にも友達にも真実を伝えられないまま、
一年半が過ぎていきました。
失明したことを思い切って家族に伝える決心をしたのは、
数年ぶりに熊本に帰省した時でした。
駅の改札口まで迎えに来てくれた母は、
私のぎこちない仕草を見て
最初はふざけていると思ったそうです。
「お母さん、私はもう何も見えん」。
近寄ってきた母にそう率直に打ち明けると、
母はその場で泣き崩れてしまいました。
でも、この時、自分の思いを一気に吐き出せたことが、
一つのステップになったと思っています。
私がどんな状態になっても絶対に見捨てずに
温かく包み込んでくれる家族がいるのが
どれほどありがたいかを、しみじみと感じたからです。
人生に絶望していた私が、現在、前向きに頑張れるのは
この安心感のお陰です。
さて、前置きが長くなりましたが、
私は縁あって2年半前、
ヘルスキーパーとしてアソウヒューマニーセンターに入社しました。
その一方、女子ゴールボール競技のアスリートとして
厳しい練習に励む毎日を過ごしています。
当社で社内木鶏会がスタートしたのは昨年の11月でした。
最初
「木鶏会をやるから朝7時に集合ね」
と上司から言われた時は、
まるで他人ごとのように聞いていました。
私が所属するシーズアスリートには視覚障害者が4人いますが、
活字を普段目にすることのない私たちにとって、
木鶏会への参加はないものと考えていたのです。
しかし、上司や周りの社員の方々が私たちの成長を考えて、
何とか一緒にできないかと、
忙しい中時間を作って『致知』を読んできかせてくれたり、
PCにおとしてメールで送って音声ソフトで読ませたりと、
できる方法を一緒に考えてくれました。
できない理由を並べて甘えるのではなく、
一つでもできる方法を考え、トライすることが
成長の第一歩であると教えていただいたのは、
とてもありがたいことでした。
木鶏会に参加することで、
普段情報が入りにくい私は多くの刺激を受けています。
『致知』7月号の中では
「代受苦者(だいじゅくしゃ)」といういうワードに出会いました。
「災難や苦しみを自分の代わりとなって受けてくれる人」
という意味で、本来どこで起きてもおかしくはなかった
3月11日の大震災を、
東日本の方々が私たちの代わりに受けてくれた。
そう思うととても他人ごととは思えませんでした。
その時の話し合いの中で、ある方が私に向かって言われました。
「浦田さん、私の代わりに見えない不自由さを
感じてくれてありがとう」
そう言われて私はあることに気づきました。
最初は見えなくなって怖くて不安で悔しくて
どうしようもない日々を過ごしていた私が、
沢山の温かな励ましや、ハード面・ソフト面のサポートのお陰で、
今は見えないことを忘れてしまうほど
毎日笑顔で過ごさせていただいていたのです。
周りの真心でいつしか目が見えないことが
「苦しみ」ではなくなっていたのです。
このようにお互いに支え合う仲間がいるのは
本当にありがたいことです。
木鶏会では普段同じ職場にいても
あまり話したことがない人とも
コミュニケーションがとれます。
その人の名前と声を一致させることに加え、
自分にはなかった考え方に出会い、
仕事でもプライベートにおいても
当事者意識を持っていかに自分の行動レベルに
落とし込んでいくかのヒントを得ることができます。
そして、何よりも、参加者同士がお互いに共感しあい
一体感を感じることができるのが
素晴らしいと感じています。
私はアスリートとして昨年のアジア大会女子ゴールボール競技で
銀メダルを獲得し、ロンドンパラリンピックへの出場権を
手にすることができました。
これからの練習が勝負です。
その意味で私にとって月1回の木鶏会は、
自分の気持ちをリセットし、
やる気を高める大切な場となっています。
社内木鶏の美点凝視の精神により私も笑顔、みんなも笑顔。
笑顔のキャンドルサービスが会社中、
そして日本中に広がっていったら、
どんなに素敵な社会になるだろう。
そんな夢を描きながら、
これからも前向きに頑張っていきたいと思います。
本日はご清聴いただき、ありがとうございました。
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※28日(土)は新春講演会のため、終日不在にしております。
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(転載以上)
“駅の改札口まで迎えに来てくれた母は、
私のぎこちない仕草を見て
最初はふざけていると思ったそうです。
「お母さん、私はもう何も見えん」。
近寄ってきた母にそう率直に打ち明けると、
母はその場で泣き崩れてしまいました。”
ふざけていると思った娘さんが、実は目が見えないとわかった時、お母様の悲しみはいかばかりだったでしょう。
でも、1年半の間、ご家族にさえ打ち明けることが出来ずに、一人家の中に閉じこもっていた理恵さんが、
その日、勇気をふるって自らの足で熊本の実家まで行き、お母様に打ち明けることが出来たのですよね。
代受苦者(だいじゅくしゃ)
「災難や苦しみを自分の代わりとなって受けてくれる人」
“本来どこで起きてもおかしくはなかった
3月11日の大震災を、
東日本の方々が私たちの代わりに受けてくれた。
そう思うととても他人ごととは思えませんでした。”
自分の代わりとなって受けてくれたのだと考えること、それは自分のこととして受け止めることですね。
災害に合われた方々の思いを自分のこととして受け止めること、それは自分がどう行動するかということを考える出発点なのでしょう。
“その時の話し合いの中で、ある方が私に向かって言われました。
「浦田さん、私の代わりに見えない不自由さを
感じてくれてありがとう」”
素晴らしい言葉ですね。
“そう言われて私はあることに気づきました。
最初は見えなくなって怖くて不安で悔しくて
どうしようもない日々を過ごしていた私が、
沢山の温かな励ましや、ハード面・ソフト面のサポートのお陰で、
今は見えないことを忘れてしまうほど
毎日笑顔で過ごさせていただいていたのです。
周りの真心でいつしか目が見えないことが
「苦しみ」ではなくなっていたのです。”
本当によかった、と思いますし、まだまだそのようにサポートを必要としている方々はたくさんいますよね。
3.11でお亡くなりになられた方々の魂は一人残らずに成仏されたと、先日に著名な方が話されていました。
自分も昔、アトピーが酷く人目を避けたいどん底があったので、彼女の苦しみの何パーセントかは理解出来ます。でも、その比ではないですが。自分の身に起きて初めてわかるのが人間なんでしょうが。ホントはアタリマエはなくて
人間の錯覚かなと思います。ヘレンケラーさんや乙武洋匡さんやニックブイイチさんなど、皆さん、ハンデがあります。日本は自殺大国ですが、北朝鮮やアフリカなどの餓死が問題の国民から観ると、なぜそんなに自殺が多いのか不思議に観えるのではないかなと思います。
もっと大変な人は沢山いるんだという意識をいつも思う事って、絶対に必要ではないでしょうか…
今回も素晴らしい気づきを有難うございます‼
アトピーでご苦労されたのですね。
あたりまえということが、どれだけの奇跡の積み重ねによって成っているのか、本当に忘れがちになってしまいます。
代受苦者、そんな時に思い出したい言葉だと思います。