"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“『孫子』に学ぶ ~戦の見通しを立てるための五つの条件~”

2011-09-08 07:39:39 | 日記

致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。

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     致知出版社の「人間力メルマガ」

                【2011/9/7】 致知出版社編集部 発行
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   このメールマガジンでは、
   人間学を学ぶ月刊誌『致知』より
   そのエッセンスの一部をご紹介しています。

       * *

   現在発行中の『致知』10月号では、
   全国に「靴下屋」を展開するタビオ会長の越智直正氏と
   松下幸之助商学院元学院長の北山顕一氏に
   古典を基盤とした、人物を創るための要諦を
   語り合っていただいています。

   本日はその記事の中から、越智氏が
   『孫子』に学ばれたことをご紹介いたします。


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       「『孫子』に学ぶ」
        〜戦の見通しを立てるための五つの条件〜
       
       
            越智直正(タビオ会長)
        
            『致知』2011年10月号
             特集「人物を創る」より
       
http://www.chichi.co.jp/monthly/201110_pickup.html#pick4

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どんな立派な知識でも実践で使えないと
意味がないですからね。
だから僕は使えない勉強は一切しない。

『孫子』が一番効いたのは独立した時です。

丁稚奉公十年で暖簾分けの約束でしたが、
既に十三年が過ぎていました。
大将の弟さんが店を出すというので、僕が計画書をつくったんです。

それを弟さんに説明する時、彼が「越智君は独立を望んでいたな」と。
「はい。十年で暖簾分けのお約束でしたが、十三年になりました。
 一所懸命やりますので、あと五年くらいでどうでしょうか」
と答えたら、「待っていろ」と言って部屋を出て行きました。

すると、大将がものすごい剣幕で怒鳴り込んできました。


「おまえ、恩を仇で返す気か。
 弟はおまえが頼りで独立するのに、
 抜けたら会社が傾くだろう。それを乗っ取る気か」

と言うんです。説明しようにも聞く耳を持ってもらえない。
 それで「いますぐ出て行け」と。

ついては、僕と親しかった部下二人も一緒に連れて行けと言う。
もう、慌てましたよ。独立の準備なんて何もしていませんから。

退職金なし、預金は十三万円、
そのうえ部下二人の面倒も見なければならない。

こんなムチャなことがあるのかと混乱していた時、
『孫子』の一節がバーンと聞こえてきた。


「故に、これを経(はか)るに五事を以てし、
 これを校(くら)ぶるに計を以てして、
 その情を索(もと)む。


  一に曰く、道。
 
  二に曰く、天。
 
  三に曰く、地。
 
  四に曰く、将。
 
  五に曰く、法」


(戦の見通しを立てるために、五つの条件について
 比較検討しなければならない。

  一つ目は道、
  二つ目は天、
  三つ目は地、
  四つ目は将、
  五つ目は法である)


 道とは道理、大義名分。

 天は時。

 地は場所、

 将はリーダー。

 法とは組織運営のためのルールや資金のことです。


 僕には独立する道理があるし、
 まさにいまそのタイミングですよね。
  場所はどこでも好きなところで始めればいいんだし、
 将たる自分は仲間がついていくと信頼してくれているじゃないか。

 ないのは、お金だけ。
 五事のうちほとんど揃っているじゃないか。
 それならいける、と思った。これは大きかったですね。
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(転載以上)



 “一に曰く、道。
 
  二に曰く、天。
 
  三に曰く、地。
 
  四に曰く、将。
 
  五に曰く、法”



う〜ん、なんとも風格のある表現です。

孫氏さん、編み出した兵法の中に、普遍的な宇宙の真理を見ていたのではないかとも感じます。

“孫氏の兵法”が、今の時代に生きていることが、そのことを証明しているように思います。



“ないのは、お金だけ。” 

お金はあくまでも付帯的な要素であって主の条件ではないということなのでしょう。

お金は後からついてくる、ということかも知れません。



“どんな立派な知識でも実践で使えないと
意味がないですからね。
だから僕は使えない勉強は一切しない。”


タビオ会長の越智直正さん、はっきりとした姿勢がさわやかです。

逆に、実践で使える勉強がちゃんと存在するのだ、ということでもありますね。