魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【代表民主制から自立型民主制へ】②

2021-02-18 12:24:14 | 直接民主制と経済の仕組み

 「団体の全構成員によって選ばれた特定の少数者が団体の意思決定の機能を行使すること。私法関係では代理の観念と厳密には区別しないが,政治学上は両者を区別する。「代理」関係では,代理者は独自の判断と意思によって行動するのではなく,委任者または委託者の意思に拘束され,委託された範囲内で行動し,それを逸脱した場合には無効であり,委託者の意思によっていつでも解任されるが,「代表」関係では,団体がひとたび特定の個人を代表とした場合,その代表者は独自の意思と判断で行動する権限を委任されたものとされ,代表者の行為はその団体の行為とみなされる。」

 中世の等族会議では代理の観念が適用され,貴族,僧侶,市民の3身分から選出された議員は,それぞれの母体からの強制委任に服し,違反した場合には召還された。これに対し,代表の観念は近代国家において代議制とともに生み出され,ここでは議会は個々の地域住民が派遣した利益代表の集会ではなく,全体としての国民意思の代表機関とみられ,議員は国益の判定者としてひとたび国民に信頼され選挙された以上,個々の地域的利害にとらわれず,国民全体の見地から議会でその意思を決定すべきであり,住民は議員の決定に服すべきであって,議員に対する命令権を有しないとされる (自由委任) 。日本国憲法は,国民は「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」するとし (前文1段) ,両議院は「全国民を代表する選挙された議員」で組織すると定め (43条) ,その他議員の発言,表決の院外無責任 (51条) について規定するなど,基本的には国民代表観念に依拠することを明らかにしている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について情報

自由委任とは、有権者と代表者との関係において、代表者は有権者の命令に拘束されず、自己の良心のみに従い、有権者から自由に独立して行動する、ということを意味する。他方で、命令委任(又は強制委任)は、代表者は選出母体の訓令に拘束され、これに反した場合は罷免されるという委任の形態を指す。憲法は、議員は全国民の代表であるとし、自由委任を原則として採用している。この点、議員と政党との関係が自由委任の点で問題となる。まず政党による議員に対する党議拘束が議員の自由な判断を拘束しているとして問題となりうるが、政党国家化が進む現代において、政党の決定に従うことが全国民の代表として行為することになるとして、自由委任の枠外の問題と解されている。次に、比例代表制により選出された議員が党籍を変更・離脱した場合に議員の資格を喪失させることが問題となるが、違憲説が多数である。

日本国憲法第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

 選定件については、公職選挙法に依っ法制化されているが、国民固有の罷免権については、其の規定が無いことが誤魔化しである。👆の自由委任説は、此れを見逃しており、本来国民固有の罷免権が認められている以上、代表者は有権者の命令に拘束されず、自己の良心のみに従い、有権者から自由に独立して行動するとは言い切れないのだ。代表民主制の下では、早急に罷免権の有効な法律を作るべき。

 内閣が議会に対して責任を負い,その存立が議会の信任に依存する制度を議院内閣制である。その原型は 19世紀のイギリスで形成された。議院内閣制の特徴は,議会の多数派が内閣を形成し,政権の座につくことにより立法と行政との間に協力関係が築かれることにある。

 次回は、議院内閣制の下での政党政治の正当性を考察する。

続 く


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