魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【ケインズの理論⑪】

2018-01-24 20:17:00 | マクロ経済の基礎の基礎

【ケインズの理論⑩】から続く

  総需要線(消費需要+投資需要)は👇の上の図の縦軸で測ることが出来る。総需要曲線が10だけ上方へシフトすると、均衡NNPは50だけ増加する☜総需要曲線を動かす理由如何に問わず此れは変わら無い。投資需要が10だけ増加することもあり得るし、消費需要が各所得水準で10だけ増加することもあり得る。投資需要の変化と各所得水準に於ける消費需要の変化とは、均衡NNPに対して同じ影響を及ぼす筈である。投資乗数と消費乗数は同じものなのだ。
 各所得水準で消費需要が10だけ増加する⇨貯蓄は各所得水準で10だけ減額する。👇の下の図の様な貯蓄・投資需要のグラフに於いて、総ての水準に於ける10だけの消費需要の増加は、各所得水準に於いて貯蓄曲線を10だけ引き下げることによって示される。此の直前、貯蓄曲線が―20で交わって居たとすれば、爾後其れはー30で交わことに成る。貯蓄直線のこうした変化は、投資曲線の10だけの増加と全く同じ影響を均衡NNPに対して与えることに成る。

 投資乗数も消費乗数も決して難しい概念では無い。其れ等は総て、消費が所得に関係して居ることから生じるのだ。投資需要が10だけ増加すると、企業は需要を総て充足させる為、其れに見合うだけの多さの産出高を生産することに成る。然し、産出高を10だけ増加させると所得も同じだけ増加する☜両者は必ず等しい。所得の増加☞消費需要の増加を齎す。「消費財とサービス」がより多く需要されるので☞企業は産出高をより拡大させる☜其の為、企業は更により多くの労働者を雇用することを欲する☜此の過程は更に繰り返され続く。「乗数」は雅に、全体としての効果が如何であるかを示すものなのである。

 此れ迄の説明は、前提に仮定を置いて続けて来た。更に、投資需要に特定値0とか10を仮定し、分析して来た。
 今や、今迄の分析を一般化したものにして行く。
  譬えNNPが0であっても、消費需要は正であるとする。所得水準0のときの消費水準(CD)は自生的消費需要(AC)と呼ばれる☜其れはNNPによって決定されるものでは無いからである。更に、限界消費性向(mpc)は一定と仮定する。此れ等の仮定から消費需要とNNPとの間の関係は次の様に示される。

CD=AC+mpc NNP

 総需要(AD)は消費需要+投資需要(ID)から構成される。従って、

AD=CD+ID

 ADがNNPfより小である限り、NNPはADに等しい。

NNP=AD

 👆の一番目の式を2番目に代入したものを3番目の式に代入すると、

NNP=AC+mpc NNP+ID

 mpc NNPを左辺に移項し、NNPで括ると、

(1-mpc)NNP=AC+ID

(1-mpc)で割って其の結果を簡略化すると、

NNP={1/(1-mpc)}AC+{1/(1-mpc)}ID

mpcは一定であると仮定してるから、

ΔNNP={1/(1-mpc)}ΔAC+{1/(1-mpc)}ΔID

 Δは微小な変化を示す記号。

 ACが変化し無い(ΔAC=0)でIDが変化すれば、

ΔNNP/ΔID=1/(1-mpc)

 IDが変化し無い(ΔID=0)でACが変化すれば、

ΔNNP/ΔAC=1/(1-mpc)

 上の二式は「投資乗数」及び[消費乗数]であり、共に「(1-限界消費性向)の逆数」に等しい。
 NNPは「消費需要+貯蓄」に等しいから、

ΔNNP=ΔCD+ΔS
ΔNNPで割る⇩
1-ΔCD/ΔNNP=ΔS/ΔNNP
👇
ΔCD/ΔNNP =「限界消費性向mpc」
ΔS/ΔNNP=「限界貯蓄性向mps」 

👇
1-mpc=mps
👇

ΔNNP/ΔID=1/(1-mpc)=1/mps

ΔNNP/ΔAC=1/mps
👇
ΔNNP/ΔID=1/mps
ΔNNP/ΔAD=1/mps


つづく

※ 本投稿文中の綴りや語句の使い方や理論分析の誤りは、適当に解釈して貰うか、コメント欄で指摘して頂きたい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿