◆◆【我「老子」の私見を綴る】◆◆ 還淳第十九

還淳第十九

絶聖棄智、民利百倍。絶仁棄義、民復孝慈。絶巧棄利、盗賊無有。此三者、以爲文不足。故令有所屬。見素抱樸、少私寡欲。

聖絶ち智を捨て去れば、民の利を百倍す。仁絶ち義を棄てれば、民孝慈に復す。巧絶ち利を棄てれば、盗賊あること無し。この三者、以って文として足らずを為す。故に所属あらさしむ。素を見し樸を抱き、私を少なく欲を寡くす。

学識をひけらかさずに知識に頼らず素朴に生きれば、民は大きく利を得る。お仕着せの「仁」を絶って「義」を棄て去れば、民は自ずと孝を尽くし慈愛の心を持つ。嘘を付かず欲張らなければ、盗賊は居なくなる。以上挙げた三つの文では何を言わんとしたものか良く分らないだろう。故に、舌足らずのところを分り易く言えば、要は素朴を由とし、我欲を抑えて控えめに生きることが肝要であるということである。