本日はリリで五百香ノエルさん『ちるはな、さくはな』
際立った美貌とはうらはらな対照的な性格で天使と悪魔と評される双子は
古くからの地主である旧家のスキャンダルの象徴でもある。弟はそんな自分
自身に苛立っていたが、10年ぶりの叔父の帰郷が変化となり…
今回は双子モノです
最近の双子モノは3Pが主流見たいですが
本作はそれぞれにお相手がいるMYツボな設定です
山深い土地に盆地の豪農の家に生まれた双子は
兄は也秀乱暴で享楽的な悪魔、
弟は清らかでストイックな天使と言われています。
双子の母は村の女王として君臨した女性で
聖女とも毒婦とも言われた特別な女でしたが
東京へ出た一年で父親も知らない双子を身ごもり
その五年後に病でこの世を去ります
双子は母のスキャンダルの象徴でもあり
誰もが双子に母の影を見るので
兄は押しつけられるイメージをはねのけ
弟は内に抑え込めることで日々を過ごしていました。
しかし
母の異母弟である2人の叔父が帰郷した事から
2人の運命は多く変わって行く事になります。
叔父は双子の祖父にとっては
初めての男の子で跡取りでしたが
農家を継がせようとした祖父に反して
敵対する分家の薬学研究所の研究員となり渡米、
物語は特赦な生物の生態を研究していた叔父が
日本に舞い戻った事から始まります。
村人に天使の様だと言われる双子の弟は
性交への希求を発散できずにいますが
再会した叔父との関係に溺れていきます。
片や悪魔の様だと言い割れる双子の兄は
気晴らしとしての夜遊びを繋がらも
村の老人が行方不明になっている事件の
糸口を探していました。
そして叔父を追って村に来た
自称生体科学が専門のライターと知り合い
叔父が関わるらしい禁忌の研究を探る事になります。
果たして老人の失踪と
叔父の研究は関わりがあるのか
そして双子の恋の行方とは
五百香さんの新作は
リリ文庫の既刊で有り前作でもある
『I bee~愛の夢を見る』同様
特殊な植物が鍵となったお話です。
天才的な頭脳を持つ双子の叔父は
アフリカの奥地でヒトの細胞に働きかける
活性因子を持つ植物で新薬を開発しますが
ある理由から開発を断念します。
しかし叔父に近しい人物が
叔父の名を騙って日本にその植物を持ち帰り
研究を続行していたことから
叔父の帰国となるのですが
BL的な主軸としての
双子のそれぞれの恋愛に加え
衰退する本家と躍進する分家の均衡、
双子の出時と母を巡る愛執、
特殊な植物の生体の秘密、
高齢者の失踪事件等が複雑に絡まり
次が判らないドキドキ&ハラハラな展開が
結構面白かったです
しかし、
前作ほどのグロいシーンは無く
絡みシーンも凄く少ないのに
設定そのものがほの暗いというか
スキャンダラスな要素たんまりなので
このあたりに地雷ががある方には
おススメできないですね。
気をつけて読んで欲しい一作です