空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

「若者の右傾化」はやや疑わしい?

2018-05-18 17:47:31 | ノート


 学術的データには使えない情報とはいえ、現場の(いやほんと、まさしく当事者の)発言の記録としてなかなか興味深い。
 また、もしこのささき氏の(さすがに実数を挙げない、おおまかな)サンプル「調査」と下の「イメージ」を比較すると―



 ―70年代後半から80年代前半に「特に多い」としたら、ささき氏の述べる概括とやや矛盾する。「40代後半から50代」ならば、1960年(現在58歳)~1972年(現在45歳)の生まれのはずだから。もしystk氏の言のほうが実情に合うのなら、仮説:「60年代生まれはネット上の記事にあっさり煽られて無謀な法的突撃を弁護士相手にやらかす残念な子の発生確率が大きい」が「70年代後半~80年代前半生まれは、それ以前の世代よりネトウヨ的であるが、ネットリテラシーに優れ、煽られて突撃することはしない」という…ことになる。さすがにないだろう。

 そもそも、「(強固な)自民党支持者」は、実数としては、高年齢層にこそ多い。
 若年者については、パーセンテージ的には自民党支持率が高いとはいえ、そもそも若年者世代は実数からして低いのである。
 それゆえ、あっさり煽られる残念な子の発生確率が各世代共通だとすると―

 以前書いたメモ:「メーデーと政権支持率メモ(2018-05-02)」から、むっちゃ雑な概算を引用すれば:「1) いまの10-20代の各年度の実数は概算でいまの50-60代のそれの約半数である、2) 従って、18-19歳の自民支持率47%というのの実数は、50-60代のひとたちの23-24%程度と評価でき」、「民主主義的にその勢力の実数はどうかと疑うことはできる」さらに「3) 60代の30%までが自民支持であ」ることを想起すれば―

 ―うん、流石に若年者(20代)のネットリテラシーは高いかなーと言ってあげてしかるべきか、と思われる。
 ささき氏が現在把握したサンプル数がどのくらいかは分らないが、少なくとも数十件程度はチェックしただろうところ、それでも20代が出てきていないらしいことを思えば、「若者の右傾化」少なくとも攻撃的な右傾化というのは、世間のメディア等でいうほど懸念すべきものかどうか、わりと疑わしい。そう仮説することができる。

 …でまあ、それ、アタリだろうな。




 これについても、「ずっと若い頃から税金や社会保障費払ってきて」とあるので、そこそこの年齢、中堅世代同士のお話かと思われる。

 この世代は、わりと長く社会保障費だのを給料天引きで「取られて」来たわけだろう。その重みをずっしりと感じてきたことだろう。だからこそ、「国費の無駄遣い」だの「不当な生活保護」だとかいうキーワードに反応する率が高いだろう。その点―外国のことは知らないから、うちの国の話だが―『年金そのほか、もはや国には頼れないことは明白だから、自助努力しかないのだ』と延々20年ほど言われてきた我々としては―

1) 40歳(1978年生まれ)前後の氷河期直撃世代にしてみれば、もはや自助努力で逆転など見込めないので、せめてそこそこの生活保護ででも頂きたい

 という世代的要請を思うに、生活弱者攻撃にはなかなか進めない。
 他方

2) 50歳(1968年生まれ)前後のバブル経済(末期)世代にしてみれば、前世代の逃げ切り組に対して労働・課税が強化された一方、「もらい」が少ない見込みであり、己の負担と不利益を思うに「国費の無駄遣い」・「不当な生活保護」に非常に厳しくなりえる。これは60歳代にも重なる属性だろう。

 その一方

3) 現在20代の世代は、経済不況期~民主党政権時の沈滞を知りつつ、今現在のまあそこそこの回復状態を享受し始めており、高年齢層が主張する「社会的不正義」を指弾する動機に乏しい。

 なにしろ、比較的にせよ、まだそんなに社会保障費を負担してないのだ。また、現在の30-40代と違って、「もしかしたら、このまま経済成長するかもっ!」「私の給料、上がるかもっ!」と(まだしも)信じることができる。

 この世代の合理的な行動としては、

a) 「今現にある不正」(まあ、サヨクの不正だの、ネトウヨの不正だの)を指弾して、現にdivertされてる(はした)カネを超近未来に「正しく」配分しようとする

 よりも

b) ンな不確かな・実現しても見入りのすっげ低い方策によるより、今現に資格を一つでも余計に取得したりして手当てを増やしたり、いい就職場所を確保したりする

 ほうが「貰い」がよい。
 こう仮説すると、ささき氏に『お前が(オレに来るかもしれなかったカネを)divertした罪を償え!』と罵りの言葉をかけたくなるのがどの世代か、また、どうして「右傾化」が著しいとされてきた若年層の反応が(少なくとも、ささき氏のところでは)鈍いのか、整合的に説明がつくように思う。



 そりゃまあ、10億だかの不正かもしれない予算使用の問題を追及するために経費を何十億だかそれ以上だかかけている国ですしね。

 で、それで鬱屈するのは、まあ20代後半以上の世代だろうというわけなのです。しかも歳が上であればあるほど余計に鬱屈する。

 対して、現在20代前半以下の世代は、辛い時代を親の庇護下で過ごした―個別事例はさておき―わけで、主体的には、一応仮にも経済成長を回復したかもっぽい現状に対して、積極的に反政府の声をあげるべき動機は薄いだろうと思うのです。 

 あるとすれば、「経済復興を加速しろ」という意味での「反政府」であり(私はむしろこの立場かなあ)、今現に野党がやってるような、メディアが煽っているようなタイプのそれではないわけなのだ、おそらく。


 5/19追加

 つまり、サンプル数は少なくとも60程度。20代が、層として薄いことを勘案しても、20代がそもそも入ってきていない―というのは何事かを指し示しているようにも思う。

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