空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

データの吟味とフェミニストを称するらしい人の発言とその他

2020-09-17 18:10:37 | ノート


 およそすべての行動は政治的であるというふうにテーゼを立て、政治的なるものは強制を含むがゆえに暴力的でもある―とするなら、当然、フェミニズム運動家・思想家の行動も政治的であり、それがゆえに暴力的でもあるのは明らかである。
 まあそれはいいとして



 これは真に注意深く展開せねばならない、非常に重要な点であり、極めて細い理路の途を辿る限りにおいて学問的といわれるだろう。
 何がと言えば

データ自体に公文書中心性があり」およそいわゆるデータなるものはおおむね公文書であり、公文書を作成する「なかのひと」はおおむね男性であり、それゆえそうした男性がまとめた男性的データを提示し、これを根拠とすることは、男性の視野を拡大再生産するに他ならない―という理屈はまあわかる。だからそれは

男性中心主義に則る事になります

 と断じられ得ることになる。極端な例を挙げれば、男性調査官が女性に対して「君は強姦されましたか」と聞いて回って―実際にそんな経験があって「はい」と答える向きはどれほどあろうか、と。どうしても被害者であるのにそうとは言わない、隠れた数字が存在するだろう―そんなことが明らかなのに「我が国は強姦の少ない安全な国です」というのはおかしい、と。

 そんな極端にダメな設定以外でも、なんらか「パラダイムに拘束された差別」、その問いがどんな制約のもとになされているか問い直す余地がないような―そんなデータにどれほどの依拠し得る確実性があるだろうか?と問うのは、これは真に学問への第一歩だろう。

 これは単に我々は日々行っていることであって、特段、不思議に思うべきことではない。
 例えば

Sustainable japan 【国際】世界「男女平等ランキング2018」、日本は110位でG7ダントツ最下位。北欧諸国が上位 2018/12/18

 こんな煽りの見出しなど、真面目にとる人がどれほどいるだろうか?というわけだ。
 まあ、日本がG7中最下位なのは―まあ、十二分にあり得そうだが、149カ国中の110位って、そぉかあ? と思えはしないだろうか。うん、ここで我々は「パラダイムに拘束された差別」に疑問を投げかけることになる。

世界経済フォーラム(WEF)は12月18日、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2018」を発表し、毎年発表している2018年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」を公表した。対象は世界149カ国

ジェンダー格差が少ない1位から5位までは、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ニカラグア

 ―あー…。「うん、そっスか」という感想が出やしないだろうか。

フランス12位、ドイツ14位、英国15位、カナダ16位、米国51位、イタリア70位で、日本はG7の中で圧倒的に最下位。中国は103位で日本より上。韓国は115位だった

 なんというか、中国・日本と韓国がろくろく変わらないあたり、東アジアの儒教的雰囲気を低く評価する観点がありはしないかと思えはしないか。これが「パラダイムに拘束された差別」というのの一例ではあるまいか。

 ぶっちゃけ言ってしまえば、老人介護を各家庭でなんとかこなそうとする率が、とりわけ日本・韓国は強すぎるといえる。そのため介護要員として、稼得にやや不利な立場にありがちな中年~老年女性が割り当てられがちで、そのぶん、女性の社会進出率が低く出る。

 これは女性にとって必ず不幸なことであるかと言われると―どうだろう、関係の良い我が娘によって介護される・介護の一翼をになってもらうのは、これは老女としてはそれなりに好ましいことではあるまいか。少なくとも私の所にきた「縁談」だと、『私はお母さんと離れたくない』『私と私のお母さんの老後の生活の保障をして』が絶対譲歩不可―というか大前提として提示された。

同指数では、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている

 とあって―健康と生存という点でいえば、家庭内介護はそうまで否認されるべきものとまではいえまい。つーかじじばばをまとめて取り扱う方式だと、疫病一発でじじばば全滅するだろが。この春、なんぼのじじばばを死なせやがった、てめえら西欧人。

 ともあれ評価方法に

北欧諸国は、評価指標のうち最も差が出やすい「政治的エンパワーメント」で非常に高いスコアを叩き出している。また次に差が出やすい「経済的参加度および機会」でもスコアが高い

 とあって、ここで「ハイ解散」ってことになりはしないか。

一方、「教育達成度」と「健康と生存」では、首位アイスランドから110位日本までの間ではほとんど差が出ていない」と言われたら、「オォイ、ちょぉ待てやぁ」と言わざるを得ないのではないか。

 うちらのくに、男女とも平均寿命は世界最強ランクだぞ。それで110位まで差が出ないって。
 いや、寿命、生存の問題で言えば、日本は男女の出生確率は問題ないだろう。
 あのぅ、中国じゃ男女の数比が1対0.9とかになってませんか。
 それ、女はそもそも嬰児期を(10%とかの勢いで)生き残れなかったりするわけですが、それでも男女の平等性は日本より上ですか。

中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育と教授・専門職では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率、平均余命では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国家議員数ランクは59位と日本よりもかなり高い

 ここまで読めば「ぁぁー…」と気付く向きも出てこよう。

日本では、国会議員、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)等、社会のリーダーシップを発揮すべき分野で、ダイバーシティが評価が著しく低い

 キラキラした社会的評価の高い給与が高そうな職に女性がどれだけ進出しているかが評価基準になっている―というわけだ。果ては

上位にいるルワンダ、ナミビア等のアフリカ発展途上国は、内戦の影響で男性が多数命を落とした結果、女性の政治家や従業員割合が多くなり、「政治的エンパワーメント」と「経済的参加度および機会」のスコアが高い

 とあって、そもそも男の数が減りすぎた状態=女性が何事をも担わなければそもそも社会を維持展開するだけの労働力自体が足りない状態であれば女性の社会進出指数が高いですからプラス評価します―って、なんぼなんでも狂ってないか。

 こうやって問いかけをして、「より普遍的に人間が幸せになってる状態を表現する指数」を表現する道を探すのは、非常に学問的な営為である。

 つーことでフェミニストはまじめに仕事しろ、というオチになりますが。
 こういう、5分~10分でできる簡単な作業を無視して「日本は女性の社会進出がー!」ってスピーカーやる程度のひとを人目に付くところに張り付けてるから軽視されるんでしょうが。

それがパラダイムに拘束された差別に乗るものなら「不利なエビデンスは使わない」のが当然です」とある。賛成だ。タクシードライバーや商店、工場で働く女性たちの存在を軽視し「それは社会進出とはいわない」なんて扱いをする、そんな指標は職業差別に通じるものだ。そんなパラダイムに拘束された指標、全人民平等・職業差別反対の正義、そうした差別から人々を解放するのに不利なエビデンス―こんなランキングなど、私は依拠すべきコンクリートなデータとしてなど、使わない。



 いや、提示されたデータ、作成されたデータの恣意性を疑い、検討し、指摘する作業は学問の問いの中核のひとつである。上に簡単にメモしたように、「男女平等ランキング」の不当性、不誠実さを、我々はしばしば指摘するではないか。これ自体は似非科学ではない。科学を標榜して圧力団体としての社会運動に動員するのがいけないのだ。
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