軽井沢高校 校長日記 2012・2013

軽井沢高校の様子を校長の視点から伝えたいと思います。ご愛読願います。

10月10日(水)トウカンヤ(十日夜) 144

2012-10-10 08:11:06 | 日記

 旧暦の10月10日に行われる収穫儀礼を、十日夜(トウカンヤ)といいます。近年行われることは少なくなりました。

 今日は新暦の10月10日で、実態とはずれていますが、このことについて少し触れたいと思います。

 新暦の11月10日に「トウカンヤノワラデッポウ」として、佐久市塚原などでは、今でも子どもたちの行事として伝承されています。

 佐久出身の教頭先生も子どもの頃、行ったことがあるとうかがいました。

 以下の写真からその様子をご覧いただけます。

 http://saku-iwanda.com/saijiki/saijiki.cfm

 以前にこの「校長日記」で引用した『長野県史民俗編 第一巻(二)東信地方 仕事と行事』によれば、

 「十日夜にカカシサマをまつり、一年間の御苦労に感謝するとともに米がよくできたとを祝うという所は東信地方各地に見られる。特に南佐久郡の中南部にかけて、ボーチッポ(麦や稲の落ち穂をたたく棒)を三又にして上部を縛って立て、麦わら帽子かすげがさをかぶせ、ケッテェ(蓑)を着せたカカシサマを作ってまつる地点が点々とみられる。

 また、十日夜の夜、子供たちはワラデッポーを持ってムラ内の家々の庭や道を『トーカンヤ トーカンヤ トーカンヤノワラデッポー ユーメシクッタラ ブッタタケ』などと大声で歌いながらたたいて歩いた。今は行われる所は少ないが、子供たちにとっては楽しい行事であったという。

 この日をダイコンノトシトリといい、大根を収穫する日の目安としている所もある。」

 とあります。

 トウカンヤは案山子を祀ることから、カカシマツリとも呼ばれている行事でありました。

 『軽井沢町誌民俗編』(平成元年発行)では、「とうかん夜は、いいもんだ、朝切りそばに、昼だんご、夕めし食っちゃ、ひっぱたけ」とあり、「唱えことばは、集落によって、多少の違いがある」としています。

 かつて民俗学を学んだ恩師が、佐久においでの時、この言葉について、「そばや麦を使って作っただんごなどを常食としていたことが、この言葉の背景にあるのだ」と、私に語ってくださったことを思い出します。

 私も、昭和60年代の初めに、南佐久郡小海町親沢で、長野県史の調査の一環としてこの行事を実際に見学したことがあります。

 このトウカンヤの行事、長野県だけでなく、東日本一帯に広く行われていました。

 こうした行事の担い手は、「子どもたち」です。この場合の子どもとは小学校1年生から6年生までの異年齢集団ということです。かつては高等小学校2年生(現在の中学2年生)までというところが多かったと思います。変更になった背景には、高校進学率の上昇に伴い、高校受験に備え、上級生の年齢が下がったこともあったかと思います。

 私はこうした年齢の異なる集団の「教育的な効果」について着目しています。年齢の上の子どもが、下の子どもの教育を担当することに注目しているということです。そこには学校教育では得ることのできない経験的な知識の世界があるということです。

 噴煙祭の時に、3年2組の生徒達が、「射的」や「金魚すくい」を行い、多くの小学生がその場所で楽しんでいきました。様子を見に行くと、それはそれは一生懸命に小学生の相手をしている生き生きとした3年生の姿がありました。3年3組の「お化け屋敷」もしかりです。将棋同好会の小学生との対局もまたしかりです。

 こうした彼らの行動は、内発的なものであり、誰かから押しつけられたものではなかったと思います。

 だからこそ、生徒の自主性に期待しながら、本校の学校教育の中にも、こうした異年齢集団との交流活動をシステムとして位置づけられないかと考えています。

 すでに、軽井沢東部小学校との交流が始まりました。こうした交流を本校としては大切にしていきたいと私は考えています。

 本日、校内では特別支援教育に関する研修会を行います。

 


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