鳩山首相の所信表明演説、正論が真っすぐ述べられていて良かったと思います。鳩山氏、お金持ちの家柄で育ちが良いのが私は長所だと思うのですけど、一般国民はそれを逆に取るかも知れません。「友愛」とかの理想を述べると、自分や家族が生き延びのに必死で、他人のことなど考える余裕もないというような大勢の国民の本当の現実を知らないから、きれい事が言えるのだ、と思う人も多いでしょう。確かに自分が生き延びることで精一杯の人に、他人を思いやる余裕を持つのは難しいでしょうし、そういう人には政治家はできません。
鳩山氏、育ちのよい素直な言葉で正論を真っすぐに述べることができるというのは、素晴らしいことだと私は思います。その恵まれた環境があったこそ政治家として国民に奉仕する機会もあるというわけです。同じように恵まれた環境にあったのに、それに感謝し謙虚に国民に尽くすという態度を全く欠いていたアホウ氏を反面教師として、言葉通り、国民のために働いてもらいたいと思います。
方々から受賞者選択での不透明さや恣意性について疑問の声が上がっている、自民党が選挙前に駆け込みで決めた大判ぶるまい研究費、最先端研究開発支援プログラムは、結局、当初の選考者に与えられることになりました。一人あたり最大50億円の研究費(民主党政権となってから平均90億から減額)を支給という巨額の資金でありながら、その審査はかなりお粗末で、出来レース疑惑がもたれています。民主党の文科省副大臣は政権交代前からこのプログラムの凍結見直しを公言していましたが、結局、自民党政権下で決まった悪いプロジェクトであっても、一旦、選考が終わって、受賞者が決まってしまったら、政権が変わったからといって、ハイやり直しというようにはできなかったという事らしいです。もう一つは、選考の不透明さや疑惑に対して、研究現場から強い運動が起こらなかったので、文科省としても、このプログラムを一からやり直すという口実に欠けたという点があります。結局、研究者同士は、仲間でもありますが、敵やライバルでもあります。研究業界は狭い世界でもあり、基本的にはお互いがお互いを評価するわけですから、研究費支給の選考がおかしいと大声を上げたり、おおっぴらにに研究費の選考を批判できる研究者は多くないでしょう。その点でやはり、文科省官僚と大臣がイニシアティブをとって、プログラムの見直しをするしかなかったのではないかと思います。1500億円というお金は、国の予算からすれば大金ではないかも知れませんが、少ないお金でもありません。しかし、研究者の立場からみれば、一人あたり50億というお金は天文学的数字です。通常の数人からなる小さな生物系の研究室では、全員の給料もろもろも含めて年間予算は数千万円という所でしょう。そんな規模でしか研究したことのない研究者が、突然、その10倍もの金額のお金を貰って、うまく使えるはずがありません。無駄づかいに終わるのが関の山です。
アメリカはオバマ政権になってから、景気対策のために約8千億ドルの税金が注ぎ込まれ、そのうちNIHへは約100億ドルがバラまかれました。この金額を二年以内で急激に消費することで、経済刺激効果を期待するわけです。ニューディール政策ですね。私はニューディール政策の効果には懐疑的な方ですけど、この間のNatureの記事では、コメントを寄せたほとんどの人も、今回のオバマの経済刺激政策後にこの金が無くなる二年後のことを心配しており、この資金の急激な注入に批判的です。というのも、2003年のショックを覚えているからです。クリントン政権時、NIH予算倍増が行われ、研究界は好景気に湧きました。ブッシュ政権になってNIH予算増額の凍結が行われて、正式にクリントン政権が決めたNIH政策が切れた2003年には、研究費申請の採択率は一気に半減し、その状況は未だに続いています。今回、このNIHの景気対策一時資金の少なからずが、たまたまその時期に応募されて、採用されなかったグラントの救済に使われました。これはフェアでないだけでなく、研究者の数を増やすことに繋がりますから、おそらく、二年後にこの一時金が切れた時のダメージを増加させることになります。この金は経済刺激政策の一環ですし、一時的なものなのですから、研究者の救済に使われる額は最小限にしないといけないのですけど、かといって、普段から苦しんでいる研究者を放っておいて、別の用途にその金を使うというのも困難なのはわかります。だから、研究者救済にこの金を使うと2年後に今の痛みは倍になって返ってくるとは分かっていても、やらざるを得ないというジレンマがあります。実は数ヶ月前、このNIHの一時金の一部を使って、チャレンジグラントと呼ばれる二年間だけのグラントが約200本分、募集されました。このグラントは経済政策の一環ですので、応募できるトピックがかなり具体的であること、通常のグラントの5年間に対して2年であるということ、などから、私は応募者はそう多くないだろうと思っていました。ところが、蓋を明けてみたら、グラント数の100倍にあたる2万件の応募となり、NIHのピアレビューシステムに多大な負担をかけることになりました。NIHの各施設が最終的な支給判断の調整を行うことになりますが、それでも最終的な競争率は、2%ぐらいになるであろうと予想されています。このことは、それだけ多くの研究者が切羽詰まっていることを示しているのだと私は思います。このグラントに関しては、いくら予備データは必要ないといったところで、英文シングルスペースで12ページの申請書を準備する必要があるわけで、それには、かなりの時間がかかります。その間、他のことは余りできなくなります。それだけの時間をかけてでも、採択率2%のグラントに応募する人がこれだけいるという事は、それだけ研究界が窮しているということでしょう。
一方、日本のこの最先端研究開発支援プログラムはバラまくのではなく、集中投下するわけですから、おそらく経済効果はそれほど期待できないでしょうし、集中投下で科学が進歩することも期待薄です。この金が職を失いかけている研究者の救済に使われることもほとんどないでしょうから、私にとっては、税金の無駄遣いにしか見えません。おまけに、これは研究格差を広げ、裾野を切り取ってしまう愚行に思えます。この政策についてはこれまでも散々、批判して来たのでもうやめておきます。
ところで、この件に関しての文科省副大臣の言葉に私は感心したので、転載しておきたいと思います。
「科学技術、中でも先端研究に予算を付けるのは最も難しい。なぜならば先端研究とは未知の領域を切り拓くことだから、誰も分からない分野に挑戦するものだ。誰も分からないのだから、その先に結果が出るかどうかも分からないし、その必要性に対する理解者も多くない。しかし、税金を使うには、一義的には過半数の納税者の同意を得なければならない。ここに先端研究に対して税金を使うことの絶対矛盾、自己撞着がある。この矛盾の解決は永遠につかない」
研究者ならよく分かる話ですが、一般の人にはこの事は十分理解されているとは私は思いません。研究はそもそもリスクの高い投資であり、中でも先端研究は投資という面から見れば、より一層、リスクの高いものですから、リターンとか利益とかを考慮の基準にしたのでは、予算はつきません。先端研究へは全体の研究予算の中からいくらかずつ決まった額を無条件で回すようにするのが良いのでしょう。
鳩山氏、育ちのよい素直な言葉で正論を真っすぐに述べることができるというのは、素晴らしいことだと私は思います。その恵まれた環境があったこそ政治家として国民に奉仕する機会もあるというわけです。同じように恵まれた環境にあったのに、それに感謝し謙虚に国民に尽くすという態度を全く欠いていたアホウ氏を反面教師として、言葉通り、国民のために働いてもらいたいと思います。
方々から受賞者選択での不透明さや恣意性について疑問の声が上がっている、自民党が選挙前に駆け込みで決めた大判ぶるまい研究費、最先端研究開発支援プログラムは、結局、当初の選考者に与えられることになりました。一人あたり最大50億円の研究費(民主党政権となってから平均90億から減額)を支給という巨額の資金でありながら、その審査はかなりお粗末で、出来レース疑惑がもたれています。民主党の文科省副大臣は政権交代前からこのプログラムの凍結見直しを公言していましたが、結局、自民党政権下で決まった悪いプロジェクトであっても、一旦、選考が終わって、受賞者が決まってしまったら、政権が変わったからといって、ハイやり直しというようにはできなかったという事らしいです。もう一つは、選考の不透明さや疑惑に対して、研究現場から強い運動が起こらなかったので、文科省としても、このプログラムを一からやり直すという口実に欠けたという点があります。結局、研究者同士は、仲間でもありますが、敵やライバルでもあります。研究業界は狭い世界でもあり、基本的にはお互いがお互いを評価するわけですから、研究費支給の選考がおかしいと大声を上げたり、おおっぴらにに研究費の選考を批判できる研究者は多くないでしょう。その点でやはり、文科省官僚と大臣がイニシアティブをとって、プログラムの見直しをするしかなかったのではないかと思います。1500億円というお金は、国の予算からすれば大金ではないかも知れませんが、少ないお金でもありません。しかし、研究者の立場からみれば、一人あたり50億というお金は天文学的数字です。通常の数人からなる小さな生物系の研究室では、全員の給料もろもろも含めて年間予算は数千万円という所でしょう。そんな規模でしか研究したことのない研究者が、突然、その10倍もの金額のお金を貰って、うまく使えるはずがありません。無駄づかいに終わるのが関の山です。
アメリカはオバマ政権になってから、景気対策のために約8千億ドルの税金が注ぎ込まれ、そのうちNIHへは約100億ドルがバラまかれました。この金額を二年以内で急激に消費することで、経済刺激効果を期待するわけです。ニューディール政策ですね。私はニューディール政策の効果には懐疑的な方ですけど、この間のNatureの記事では、コメントを寄せたほとんどの人も、今回のオバマの経済刺激政策後にこの金が無くなる二年後のことを心配しており、この資金の急激な注入に批判的です。というのも、2003年のショックを覚えているからです。クリントン政権時、NIH予算倍増が行われ、研究界は好景気に湧きました。ブッシュ政権になってNIH予算増額の凍結が行われて、正式にクリントン政権が決めたNIH政策が切れた2003年には、研究費申請の採択率は一気に半減し、その状況は未だに続いています。今回、このNIHの景気対策一時資金の少なからずが、たまたまその時期に応募されて、採用されなかったグラントの救済に使われました。これはフェアでないだけでなく、研究者の数を増やすことに繋がりますから、おそらく、二年後にこの一時金が切れた時のダメージを増加させることになります。この金は経済刺激政策の一環ですし、一時的なものなのですから、研究者の救済に使われる額は最小限にしないといけないのですけど、かといって、普段から苦しんでいる研究者を放っておいて、別の用途にその金を使うというのも困難なのはわかります。だから、研究者救済にこの金を使うと2年後に今の痛みは倍になって返ってくるとは分かっていても、やらざるを得ないというジレンマがあります。実は数ヶ月前、このNIHの一時金の一部を使って、チャレンジグラントと呼ばれる二年間だけのグラントが約200本分、募集されました。このグラントは経済政策の一環ですので、応募できるトピックがかなり具体的であること、通常のグラントの5年間に対して2年であるということ、などから、私は応募者はそう多くないだろうと思っていました。ところが、蓋を明けてみたら、グラント数の100倍にあたる2万件の応募となり、NIHのピアレビューシステムに多大な負担をかけることになりました。NIHの各施設が最終的な支給判断の調整を行うことになりますが、それでも最終的な競争率は、2%ぐらいになるであろうと予想されています。このことは、それだけ多くの研究者が切羽詰まっていることを示しているのだと私は思います。このグラントに関しては、いくら予備データは必要ないといったところで、英文シングルスペースで12ページの申請書を準備する必要があるわけで、それには、かなりの時間がかかります。その間、他のことは余りできなくなります。それだけの時間をかけてでも、採択率2%のグラントに応募する人がこれだけいるという事は、それだけ研究界が窮しているということでしょう。
一方、日本のこの最先端研究開発支援プログラムはバラまくのではなく、集中投下するわけですから、おそらく経済効果はそれほど期待できないでしょうし、集中投下で科学が進歩することも期待薄です。この金が職を失いかけている研究者の救済に使われることもほとんどないでしょうから、私にとっては、税金の無駄遣いにしか見えません。おまけに、これは研究格差を広げ、裾野を切り取ってしまう愚行に思えます。この政策についてはこれまでも散々、批判して来たのでもうやめておきます。
ところで、この件に関しての文科省副大臣の言葉に私は感心したので、転載しておきたいと思います。
「科学技術、中でも先端研究に予算を付けるのは最も難しい。なぜならば先端研究とは未知の領域を切り拓くことだから、誰も分からない分野に挑戦するものだ。誰も分からないのだから、その先に結果が出るかどうかも分からないし、その必要性に対する理解者も多くない。しかし、税金を使うには、一義的には過半数の納税者の同意を得なければならない。ここに先端研究に対して税金を使うことの絶対矛盾、自己撞着がある。この矛盾の解決は永遠につかない」
研究者ならよく分かる話ですが、一般の人にはこの事は十分理解されているとは私は思いません。研究はそもそもリスクの高い投資であり、中でも先端研究は投資という面から見れば、より一層、リスクの高いものですから、リターンとか利益とかを考慮の基準にしたのでは、予算はつきません。先端研究へは全体の研究予算の中からいくらかずつ決まった額を無条件で回すようにするのが良いのでしょう。
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