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日本の風景 世界の風景

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新庄市  実質公債比率30%の問題

2008-10-07 | 世界地理
山形新幹線開通
1992.7.1  東京-福島-山形 *1992年は山形国体
1999.12.4  山形-新庄(延伸)開通 
山形-新庄間61km延伸事業は山形県が142億5000万円を山形県外郭団体の山形県観光開発公社(財団法人)に出資した。複数の民間金融機関は山形県観光開発公社に208億5000万円を出資した。
合計351億円が山形-新庄間の延長工事総事業費として、山形県観光開発公社JRから無利子で貸し出された。
JRは当初10年間は支払い猶予、以後10年間で山形県観光開発公社と民間金融機関に返済される。
財団法人山形県観光開発公社は、現在の社団法人山形観光物産協会である。



新庄市の公債の問題


山形新幹線が新庄まで延伸されるので、新庄市は金融機関からの借金でJR新庄駅東口の大改造をはじめた。山形新幹線の開通した1999年が一般公債残高がピークで227億円に達した。上下水道事業を合計すると、1999年の新庄市の全公債残高は387億円になった。
2000年以後は借入額を減らしたので新庄市の財政規模が縮小した。このため、公債比率が高くなった。
実質公債比率は歳入に公債を含まない数値で、これが30%を越えると、財政の危険ラインである。グラフの2008年以降は、財政再建努力目標を描いたものである。
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自治体財政:3市村が破綻状態、新庄市など40市町村は“黄カード”(毎日新聞2008年10月1日)

総務省は2008年9月30日、自治体財政健全化法に基づき全都道府県と市区町村計1857団体の2007年度決算の財政状況をまとめた。北海道夕張市のほか同赤平市、長野県王滝村の2市1村が、同法の財政再生基準を上回って「財政破綻(はたん)」扱いとなり、「財政再生団体」となった。同法が本格実施される2008年度決算で同基準を上回ると国の管理下で再建に取り組むことになる。
青森や福島、大阪、島根など13道府県の40市町村は警告段階に相当し、自主的に再建を進める「早期健全化団体」となった。地方交付税の減収や地域間格差の増大で、厳しい財政運営を強いられる自治体が少なくないことが浮き彫りになった。
早期健全化団体となったのは、山形県新庄市、青森県黒石市、大阪府守口市、高知県安芸市など13市17町10村。主に北海道や関西地方に集中した。
指標ごとでみると、財政規模に対して事業会計、普通会計を含む全体の赤字割合を示す「連結実質赤字比率」で2市が再生団体に、7市2町が健全化団体となった。そのほか普通会計だけで赤字割合をみる「実質赤字比率」で再生、健全化団体がそれぞれ1市、借金返済の割合を示す「実質公債費比率」で再生団体が2市村、健全化団体が31市町村。長期の負債額が財政規模の何倍に相当するかを示す「将来負担比率」で健全化団体が5市町となった。
自治体財政健全化法は各自治体に毎年、前年度の決算から指標を算出して議会への報告・公表を義務付けている。今年度は指標の公表までだが、2009年度からは指標に基づいて実際に再建計画を策定する義務が生じる。

<財政再生団体>
北海道夕張市・赤平市。長野県王滝村
<早期健全化団体>
北海道留萌市・美唄市・三笠市・歌志内市・江差町・積丹町・南幌町・浜頓別町・中頓別町・利尻町・洞爺湖町。 
青森県黒石市・鰺ケ沢町・深浦町・大鰐町・西目屋村・田舎館村。 
山形県新庄市。  
福島県双葉町・泉崎村。  
群馬県嬬恋村。
長野県平谷村・根羽村・泰阜村。  
大阪府泉大津市・守口市・泉佐野市。
兵庫県淡路市・香美町。 
和歌山市。  
鳥取県日野町。  
島根県浜田市・奥出雲町・飯南町・斐川町・西ノ島町。  
高知県安芸市。 
沖縄県座間味村・伊平屋村・伊是名村。






新庄市の財政破綻と米価

2008-10-02 | 世界地理
1970(昭和45)年に総合農政が始まって、いわゆる減反政策が始まった。
1985年の政府買い入れ米価は60kg当たり18,668円、史上最高価格であった。
新庄市の農村地帯では、米収入の増加をもくろんで水田開発が進められた。しかし、1990年以降に水田の造成が完成しても、すでに米価は下がり、赤字経営になった。
生産者米価は政策的に引き下げられ、2003年には13,820円に低下した。
新庄市の米収穫量は5千トン減少し、2万トンになった。米作農家の所得は低下するはずだが、政府は減反奨励金などで所得を補償した。しかし、減反補償金は年々減らされ、新庄市だけではなく、新庄市周辺、山形県内、東北地方でも、米作農家の所得は低下した。農村地帯の商店街の衰退の一因になった。






米作が赤字になるのは、人件費を生産コストに含むからである。家族労働主体であれば、生産コストは下がる。中古の農業機械を近隣で共同購入すれば、さらに生産コストが下がる。米作を、赤字垂れ流しで続ける農家はない。米作は実質的に黒字である。
逆ザヤとは政府が農家から米を高く買い入れて、米国業者に安く売り、政府の食糧管理会計が赤字になっている状態である。

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こんな話を聞いたことがある。どこで聞いたか忘れたが、新庄とは無関係である。こんなこともあるということである。

① 東北の米作農家は飢饉対策として、2年前の米をモミの形で保存している。農家はふだんは2年前の米を食い、客が来た時には去年の米を食い、盆・正月だけは今年の米を食う。
農協から政府米の供出割り当てがきたら、検査用に今年の新米1俵を出すが、残り100俵200俵の供出は2年前の米である。手違いで米蔵に残っていた4、5年前の古米を供出することもある。
都会の消費者は、制度的に米穀店で政府米を買わざるを得ない時期が戦後40年続いた。その結果として、うまい新米など食べたことがないから、2年前の古米を食べても、まずいとは分からないのである。

② 毎年、米の収穫時期に、古米を買い集めるヤミ米ブローカーが農村をトラックで回る。2年前の米、去年の米、今年の新米を、3ランクに分けて買う。古米は農協よりも1割安いが、新米は1割高い。古米でも量的には無制限に買い取ってくれる。
農家とブローカーの庭先取引であり、農協にも税務署にも知られない。農家には50万100万円の大金が、すぐに手に入る。農家は、冠婚葬祭などで大金が必要になった時にも、古米ブローカーを呼んでカネをつくる。

③ 減反政策では、減反対象の水田を、役場の検査員が人目でわかるようにしておかなくてはならなかった。
水田を減反地として放置するより、転作作物を植えると、転作奨励金が入る。水田に、大豆・小麦・そばなどの作物を栽培するのである。しかし、大豆・小麦・そばを植えると、米作以上の労力がかかり、売値も安い。そこで、大豆・小麦・そばなどを水田に植えたら、その後は秋まで放って置く「捨て作り」という手があった。
また、栗の木を植えることも流行した。3年で実をつける大きさになったら切り倒し、また栗の苗木を植える。少量の栗の実など販路はないし、栗の実つまりイガは邪魔物である。実をつける前に成木を苗木に植え換え、転作奨励金をもらう栗栽培が、最も得な時期があった。

④ 郊外の米作農家が、市街地の商店街や団地に、2年前の古米を売り歩く。田舎の人間は新米・古米の味が分かるので、古米を一度売ると、二度とは売れない。そこで、わざわざ遠方の都市に古米を新米と偽って売り歩き、3、4年経って売り主の顔を忘れた頃にまた古米を売りに行くのである。

⑤ 農家には小型混米機がある。精米業者には大型混米機がある。本来の利用目的は、数種類の白米を混合して、米の味をよくするためのもので、「格上混米」といわれた。酒のカクテルみたいなものである。格上混米は、精米業者あるいは米作農家の良心的無料奉仕のようだが、良質高価格米を増量することが目的であり、結果的には無料奉仕ではない。
混米機にはもう一つの役割がある。2年前の古米と去年の古米をブレンドして、去年の古米にすることである。また、去年の米と今年の新米をブレンドしてとして新米をつくることである。安い古米を大量に仕入れ、新米の増量をする。安い古米の混合割合を増やすほど、利幅が大きくなる。2種類3種類の新米カクテルよりも、新米・古米のカクテルの方が儲かる。
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政府が米の生産規制を強行しても、米作農家にはそれなりの対応がある。減反政策では損をした農家は多いが、結構な利益を得た農家も少なくはない。米価の引き下げが地方都市の商業の衰退を招いた原因とは断定できない。米作農家はそれなりの工夫で、それまでの所得水準を維持したのである。
「政策があれば対策がある」との中国のことわざが、日本でも生きている。

新庄市 財政破綻寸前

2008-10-01 | 世界地理
新庄市は自治体財政健全化法により、財政破綻の恐れがある「早期健全化基準以上」に区分された。

限界都市 新庄

総務省は2008年9月30日、自治体の財政の状況を測るために設けた基準を2007度決算に適用すると、「破綻(はたん)」にあたるのは北海道夕張市、赤平市、長野県王滝村の3市村、「黄信号」の状態にあるのは40市町村という試算を公表した。
■自治体財政が「破綻」状態(財政再生基準以上)
・北海道夕張市、赤平市
・長野県王滝村
■自治体財政が黄信号状態(早期健全化基準以上)
・北海道留萌市、美唄市、三笠市、歌志内市、積丹町、江差町、南幌町、浜頓別町、中頓別町、利尻町、洞爺湖町
・青森県黒石市、大鰐町、深浦町、鰺ケ沢町、西目屋村、田舎館村
・山形県新庄市
・福島県双葉町、泉崎村
・群馬県嬬恋村
・長野県平谷村、根羽村、泰阜村
・大阪府守口市、泉大津市、泉佐野市
・和歌山市
・兵庫県淡路市、香美町
・鳥取県日野町
・島根県浜田市、奥出雲町、飯南町、斐川町、西ノ島町
・高知県安芸市
・沖縄県座間味村、伊平屋村、伊是名村  

新庄市 限界都市の例 

2008-09-15 | 世界地理
山形県新庄市に限らず、日本国内の人口10万人以下の都市は、人口の減少と高齢化が進んでいる。農村の過疎地域で集落維持が不可能になったものを、「限界集落」と呼ぶように、都市機能としての商業・金融・病院・教育などを失いつつあるものを「限界都市」と呼ぶ。世界的には、人口の減少と都市機能の減少に注目し、shrinking -cities(縮小する都市)と呼ぶが、「限界都市」の方がが分かりやすい。
限界都市に住むことの不安がある。将来は、公共交通機関として列車・バスの運行削減と料金の引き上げが、不可避である。
病院は入院患者を引き受けない診療所となっって、健康と将来について、漠然とした不安がある。医療行政の失敗は、限界都市のできる一因である。
市街地の商店街はシャッター通りになりつつあり、郊外の大型店舗ジャスコは繁盛しているが、米国ウォルマート同様、赤字店舗を即座に閉鎖する。米国でウォルマート、日本でジャスコの撤退した都市は、すでに商店街は崩壊していて、都市生活がひどく不便になる。大型店舗は地方の限界都市を、次の段階の破滅的都市に追いやる恐れがある。



新庄市南本町商店街
JR新庄駅から5分の商店街は、アーケードも駐車場も整備されたし、多くの店舗も改装をしたし、商品の価格帯も安いものから高級品までそろっている。商店街は郊外の大型店に負けないような、経営努力を続けたのである。
しかし、客が来ない。通行人もまばらである。シャッター通りになりつつある。背景として、新庄市の人口が43125人(1990年)から40227人(2007)に減少傾向のあることがあげられる。直接的原因としては、一人当たりの消費財の購入金額の減少と、郊外の大型店舗の立地とがある。
   
   2008.5


   
   2008.9

山形新幹線の終点であり、新幹線の広軌の線路が終わっている。狭軌の在来線が北に、西に、東に延びている。南の山形市には、広軌の在来線改修電車と新幹線が走る。高速道路もあり、決して交通が不便ではない。しかし、鉄道の乗客は、1日平2347人(2003年)から、1810人(2007年)に減少している。
   


病院も厚生労働省の研修制度の失敗から、地方では大規模病院も医師不足が深刻な問題である。1998年創設の新庄徳州会病院においても、常勤医は内科2、外科1のみであり、眼科・耳鼻咽喉科、泌尿器科、神経科、整形外科は週に1回だけの診察になった。小児科・産婦人科は閉鎖状態にある。看護師募集の大看板よりも、市民にとっては医師大募集の大看板が欲しいのである。
   

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新庄市では、限界都市から抜け出る方法として、企業誘致を進めている。
現在、新庄市工業団地に進出した航空電子工業山形は一流企業であるにもかかわらず、大卒初任給が18万円台である。
新庄市近辺の大卒者には、親とともに住む自宅があり、昔ながらの田畑があるので、生活費がかさまず、18万円で1か月の生活には間に合うだろう。
しかし、初任給18万円程度の人材で間に合う企業体質では、その程度の人材しか集まらないだろう。低賃金で誘致企業を成功させようとする、行政姿勢は正しいのだろうか。
誘致企業が本社指令を飛び越えて、独自の発展と拡大を続けるためには、優秀な人材が必要であろう。優秀な人材は、潜在的には多い。しかし、低賃金と豪雪で、新庄にUターンしたい学生は、二の足を踏んでいる。

環濠集落 稗田と若槻

2008-09-05 | 世界地理
奈良盆地の条里集落は、大化改新後の班田収受法実施のための計画的水田集落である。

稗田の環濠集落
土蔵も濠も立派である。一度は消えた濠をつくりなおし、水を汲み上げている。


稗田の集落内道路
奈良時代の集落を再現したので、集落は塊村、つまり密集状態で自動車のすれ違いはできない。建築基準法ではこのような住宅建設はできないので、歴史的な例外措置があったのであろう。


稗田の全景
歴史的な景観保存に努力した結果として、環濠集落が再現できたのであろう。なお稗田集落の神社には、古事記編纂者稗田阿礼が祀られている。


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若槻の環濠集落
隣の稗田のような大きな濠ではない。生活用水の排水路程度である。集落内の道路は稗田も若槻も同じように狭い。軽自動車1台が走行できる程度の道幅である。


若槻の神社
祀られているのは、遣唐使で唐に行き、客死した阿倍仲麻呂である。唐で出世して帰国の機会を失った。


環濠集落のため池と彼岸花
奈良時代のままのため池では決壊の危険があり、現代風のコンクリートのため池につくりかえられた。古代ローマではコンクリート建造物としてのコロセウム、道路、水道橋などがあるが、遣唐使はコンクリート建造技術を日本には伝えなかった。彼岸花は、堤防に穴をあけるモグラ対策である。モグラは彼岸花の根から発生する化学成分がきらいらしい。








大和郡山の金魚養殖

2008-09-05 | 世界地理
奈良県大和郡山市の古い市街地を抜けると、金魚養殖池が広がっている。養殖は江戸末期、柳沢藩が財政難で藩士に給料が払えず、金魚養殖を奨励したところから始まった。



養殖は条里のため池と水田の転用が多い。値段の安い和金(わきん)が大半である。金魚すくいとか、熱帯魚のえさになる。和金は春には、10日ごとに1000粒の卵を産むので、養殖池はいつも金魚の行列でいっぱいである。


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大和大和は国のまほろば畳なづく青垣山隠れる大和しうるはし

子どもが夏祭りですくい取った金魚3匹のために金魚鉢、水草、餌を買った。最初は子どもが世話をしても、3日で飽きて、親が金魚の世話を始めた。すぐに1匹、2匹と死んで、最後の1匹が死んでも、家族の誰も泣いたりしない。ペットショップで1匹20円で買えば、金魚鉢は元に戻るのであり、生命の尊厳などと大げさに騒ぐことはない。家族の一員の犬・ネコが死んで悲しんでも、似たような犬・ネコを買うと、前のペットのことを忘れてじゃれ合う。
生命の尊さを、生き物を飼育することで覚えよう、とペットショップの宣伝みたいなことを言う教育者や動物学者がいるが、間違いだと思う。
ペットと人間の生命は違う。ペットは生命を含めた全体が商品であり、失われてもカネを出せば買える。しかし、人間の生命はカネで買うことはできないのである。

奈良県大和郡山市駅前では、江戸時代末に金魚養殖が始まった。柳生藩の財政難で給与支払いが滞り、生活に困窮した下級藩士が、農民から稲刈りあとの水田を田植の時期まで借り、金魚を育てた。安物のワキンが主であったが、何度も産卵するので数が増え、生計の足しにはなった。
現在は一年中金魚養殖が行われている。養殖の仕事は手数がかからず、サラリーマン家庭の副業としても成り立つ。稲作をやめて養殖池に転用したり、古いため池をつぶしたりし、金魚養殖池が広げられた。高級品種の養殖も手がける養殖専門業者も増えた。輸出も盛んになった。
商工会主催の全国金魚すくい大会では、三年連続優勝の金魚すくい名人の不正がばれ、その優勝取り消し処分が有効か無効か、長期裁判で争われた。ニセ名人が敗訴した。
金魚養殖池のまわりは小学生の通学路である。歩き始めたころからの遊び場であり、細道を平気で走って行く。


磐井川、せき止め湖崩落の危険

2008-06-16 | 世界地理
栗駒山を岩手県一関市では須川岳いう。その山頂から磐井川が流れ、名勝厳美渓をつくり、一関市街地を流れて北上川に流入する。その磐井川上流に、岩手・宮城内陸地震(2008.6.14)による山崩れが発生、複数のせき止め湖ができた。もし、貯水量が増えた時にせき止め湖が崩壊すれば、下流の一関市街地に洪水が押し寄せるであろう。
建設省(国土交通省)は、一関市街地が水没しないように、かねてから一関~平泉の水田部分が遊水池になるように、堤防を建設してきた。平泉の世界遺産登録を無にする遊水池建設の大工事であった。もし、平泉遊水池が有効に機能すれば、稲作への被害だけで収まり、世界遺産平泉を破壊しただけの価値はあるかもしれない。
しかし、もし磐井川の洪水が遊水池に到達する前に、一関市街地の磐井川堤防を破壊したり、堤防よりも流量が多ければ、一関市街地は水没する恐れが強い。


(上)仙台市の号外。(下)一関市体育館駐車場に集結する救助救援車両


昔、磐井川原の堤防、岩手県立一関第一高等学校に入学した頃、アイオン台風とキャサリン台風で一関市街地が水没し、その水死体が一関第一高等学校の校舎、それもこの教室の中に流れて来て、いくつも重なっていたものだ、という話を、先輩から聞かされた。そして、その晩に新入生は徹夜で肝試しをされた。まあ、悪い冗談も通用する、ゆとりのある時代であった。

今回の岩手・宮城内陸地震によって、磐井川のせき止め湖ができた。しかし、突然崩壊せず、自然消滅して、アイオン台風とキャサリン台風の時のような悲劇が起こらないことを祈る。

東北大学の地震研究姿勢は30年ごとの大地震周期説にこだわり過ぎているようである。宮城県沖地震から30年、そろそろ宮城県沖で海底大地震が起こり、宮城県に大津波が押し寄せる、仙台市街地は再度崩壊すると、熱心に騒いでいる。
しかし、今度の内陸地震は東北大学の想定していない、栗駒山山麓が震源の大地震であった。知っていた、心配していた、とTVのインタビューに答えていたが、東北大学が栗駒山の地震を心配していたことは、聞いたことがない。
今回の岩手・宮城内陸地震は、東北大学のいう30年周期の海底プレート地震とは成因的には異質であろう。しかし、東北大学の地震予知姿勢には内陸への視点が欠け、その研究能力に欠陥のあることが露呈したのである。東北大学の負けである。
宮城県沖地震・津波のことをマスコミでとくとくと語るのはやめて、青葉山の地震研究所に閉じこもって、地道な基礎研究に戻るべきだろう。
東北大学の名誉挽回のためには、宮城県沖の太平洋海底で大地震が発生し、それもM9クラス、仙台で震度8程度の巨大地震が起こることであろう。そんな巨大地震でも、東北大学の事前警告が功を奏して、耐震構造の建造物には全く被害がない、という状況が現実にならなくはならない。

海の研究費用はふんだんにもらえるが、内陸地震では研究費用がなくて、研究はできない、と思ってはいないだろうが、内陸型の地震はさっぱり研究はしていないようである。

海洋プレート近辺を震源とする大地震が30年ごとに発生するならば、30年間言い続ければ、予想は的中する。30年は長くない。学生が教授になる程度の年数である。
しかし、内陸の断層震源型の巨大地震が1000年ごとならば、1000年間言い続けなくてはならない。言う方も、聞く方も飽きてくる。東北大学の30年周期宮城県沖地震にだって、もう飽きた。いつ、どこで、どの大きさで、が特定しない限り、地震予知の話はやめたらと思う。

今度の岩手・宮城内陸地震(08.6.14)の原因は、地質断層らしい。つまり、人間がいなかった昔むかしの断層が、プレートの力を受け、急激に動いたものである。いわゆる活断層ではない、死んだ断層だが、その死んだ断層が生き返ったのである。地質断層も活断層も、前回の活動時期が特定可能かどうかの違いであり、今後、地震の震源となるかどうか、とは別のはずである。

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岩手・宮城内陸地震の被害が大きかった、栗原市は合併前には宮城県栗原郡築館町であり、考古学上の大発見のあった地域である。地震の地滑り跡などを精査すると、ネアンデルタール人の人骨が発見されるかもしれない。

2001年11月5日の毎日新聞の特ダネ報道で、東北考古学研究所の藤村新一氏の発見した旧石器遺跡の遺物は、調査前に藤村氏が縄文石器を加工して埋めていたものであることが暴露された。
藤村氏が発掘調査に参加した遺跡は、すべて旧石器遺跡とされたのだが、実は、藤村氏の演出によるインチキな調査であった。
座散乱木遺跡(1992年)と上高森遺跡(1999年)の発掘調査から、日本に原人のいた可能性が指摘された。地元栗原市では、上高森原人ブームに沸いた。高校の日本史教科書も書き換えられた。
藤村氏の発掘した石器は、文部省の岡村道雄氏の旧石器仮説に合致する石器ばかりであった。しかし、岡村氏と母校東北大学の責任は問われず、藤村氏を精神異常として、入院隔離してしまった。一部には、藤村氏に石器ねつ造をさせた黒幕がいる、という説もある。





デジタルTVが故障

2008-05-26 | 世界地理
買って間もないデジタルTVに、突然、昨日から、日本語の文字が沢山現われ、画面がとても見づらくなった。意味の分からない日本語である。
世界最先端技術の高価なTVなので、メーカーに電話をかけた。近日中に、製造責任者が点検に来るそうだ。

この画面に現われたのは、石破元防衛庁長官ではなく、あの草薙クンだったら、肖像権やスポンサーの権益はどうなるのだろう。

これまでTV聴視料を払ってきた。今度は好きでデジタルTVを買ったのではない。デジタルTVしか電気店にはないから買ったのである。

画面文字列の一番最後に(無料)と書いているから、デジタルは無料である。こんな妨害文字の発信源はどこだ。それを安易に受信するTVは故障か欠陥品であろう。





四川地震異説 08.5.12

2008-05-15 | 世界地理
インドオーストラリアプレートとユーラシアプレートの衝突により、中国四川盆地の龍門山断層が300m動き、四川盆地周辺の山村に大きな被害を受けた。震源の深さはほぼ0mである。被災者1000万人、死者5万人を越えると見られる。下図の南北地震帯が、龍門山断層である。これらの説は、もっともらしくても、眉唾物のようでも、99%は仮説の域を出ていない。


四川地震についての新旧諸説
四川盆地西端の龍門山断層は、四川盆地の地図を見れば、その存在は容易に分かる。地震被災地は、龍門山断層あるいは四川盆地西縁にあるから、龍門山断層が動いた、ということは、専門家でなくても分かる。しかし、計算上あるいは空想上ではなく、実際に龍門山断層が動いた根拠は、いつになったら示されるのであろうか。

①カエルの異常行動
四川大地震の3日前、08年5月9日に震源から2000km離れた、江蘇省秦州市ではヒキガエル10万匹の大移動があった。地震がなければ、繁殖期におけるカエルの移動と解釈されておしまいである。異端派つまり将来の正統地震学の立場では、プレートテクトニクスとは無関係に、次の解釈することが可能である。



地震あるいは火山の震源の大半は地下100~300kmの深さに存在する、大量の水が地震の原因である。高温高圧では水として存在せず、水素分子と酸素分子とに分離して存在する。この分離水が地面の割れ目つまり断層に沿って上昇して水蒸気となる。体積は大きな、高温の水蒸気である。カエルは、龍門山断層から吹き出す熱風から逃げたのである。地震直前に大量の水蒸気が噴出、驚いたカエルが逃げた、と考えるのである。なお、高温であっても、低温動物カエルにとっての高温であり、人間にとっての高温ではないので、人間が水温の観測値から地震予知はできないであろう。

②地震雲
中国各地で地震雲が観測され、中国政府は地震警報を四川省に発令すべきであった。しかし、地震雲が観測されたのは、地震の何か月も前であったり、地震の後であったりし、地震警報として発令するには不完全であった。このため、中国政府の地震予知は出されなかった。地震雲は次のように解釈される。
地震の最大の原因は地下のマグマとともに存在する水である。マグマ外の水も地震を起こす可能性はある。このような水は高温高圧のため、酸素分子と水分子が水をつくるだけの分子間距離を維持できず、水でありながら、固体に近いが流動性も大きいという性質がある。
この高温高圧の水が、断層などから地上に噴き出すと、強い圧力から解放されて、大量の水蒸気になる。噴出口をスタート地点とする雲ができる。これが地震雲であり、大地震の前触れとなる。
ただし、すでに層雲のような低い雲がたれこめていたり、晴天が続いて湿度が低い場合には、地震雲ができない。今回の四川地震の当夜は雨であったから、地震前から低い雲があって、地震雲が観測できなかったかもしれない。


③地向斜
星野通平(東海大)や藤田至則(東教大)などが1960年代に一所懸命に主張し、竹内均(東大)の新説プレートテクトニクスを厳しく批判していた。地向斜説で四川盆地の大地震を解釈すると、多分、次のようになる。地向斜説が正しいような気がするのは、なぜだろう。
四川盆地周囲の山地が隆起傾向であり、四川盆地は沈降傾向にある。四川盆地には長江・岷江・嘉陵江などの河川が砂礫を堆積し、その重量で四川盆地がさらに沈降した。四川盆地の沈降が断続的に続き、周辺山地とは大小長短の断層で区切られるようになった。
今回(2008.5.12)の四川地震は龍門山断層の活動が原因である。しばらく静止していた龍門山断層が、四川盆地の沈降量が限界に達したため、急激に動いたのである。
地向斜の考えに従えば、次回は四川盆地が火山活動をともないながら、一転隆起する可能性がある。



④地下注水説
ダムができると、従来は水の入り込まなかった地層、あるいは地層境界に大量の地下水が流れ込む。地下水が滑り面となり、ダムの近くで地震が発生する。ただし、この地震はダムの貯水初期とか、ダム近辺とかに限られ、震度1以下の小さな地震である。群発地震になることもある。
話は変わるが、今回の四川地震では200ダムの2000カ所に危険な亀裂が見つかった。突然上流のダムが決壊すると、中下流のダムも決壊し、ダム湖の水が下流へ流れ、人的・物的被害は天文学的数値に跳ね上がる。洪水を抑える名目で建設されたダムが、下流に大きな被害を与える。地震そのものよりも、人工的なダムが恐ろしい。
湖北省に世界最大の三峡ダムが建設されてほぼ完成し、貯水が始まった。ダム湖の大部分は上流側四川省にあり、四川省ではダム湖を囲む山地からの漏水により、数万戸の住居移転が追加された。三峡ダムによる微少群発地震もあった。
四川地震(08.5.12)は、ダムの大きさから推察するに、微小地震が累積されて、巨大地震になったとも解釈される。
なお中国地震局の孫首席予報官は、「ダムが引き金となる地震の震度は、ダムの貯水量と正比例するわけではない。しかも、三峡ダムは今回の四川省の震源地から1000kmも離れているので、今回の地震は三峡ダムとは関係がない。地震は一般に地球内部の動きによるもので、ダムが引き起こす地震がマグニチュード7.8クラスになることはありえない」と語った(08.5.14)。中国政府の公式見解としては当然である。



⑤なまずの地震予知
日本ではなまずが地震を予知するので、地震予知を専門とする研究者は、なまずを飼育している。地震が近づけば、なまずがどのようなふるまいをするのか、当面の研究対象とされている。



中国の四川料理の名物になまず料理がある。特に四川省の省都成都のなまずは、泥臭さのない高級なまずである。四川盆地に集まる大小河川を泳いでいる無数のなまずの中には、地震に対して何らかの異常行動を見せたものがあったかもしれない。震災直後の混乱が収まれば、なまずによる地震の予知のあったことが公表されるであろう。
日本のなまずは、地震直前、断層から噴き出した地下水の水温水質の異常を感知する能力にすぐれている。四川盆地のなまずにも、そのような能力はあるだろう。



⑥核兵器地下爆発実験失敗説
大気圏内の核実験は、アメリカ・台湾・フランス・ロシアなどの軍事衛星が中国全土を24時間、監視しているので難しい。地下核実験は、人工衛星からでは地震と区別が難しいので、秘密裏にできる。
地下核実験の目的は、新型核兵器の爆発実験以外に、古い核兵器を爆発処理し、新型核兵器に更新するためである。地下核実験で生じる波は、地震を誘発する危険があるといわれているが、これまでには、そのような誘発地震はなかった。しかし、今度の秘密地下核実験が、四川省大地震の間接原因であったのか、なかったのか。十分な検証が必要、とアメリカは言うだろう。中国は地下核実験はしていなかった、と反論するであろう。
中国では原子力発電所を21基まで増やしたが、使用済み燃料プルトニウムを処理するために、水爆を増やした。
中国の核兵器研究施設は四川省にある。チベット自治区には実験設備があり、古い水爆を処理し、原発連動の新型水爆を保管している。核ミサイル発射基地もチベットの地下にある。
今回の地下核実験は、旧型水爆の処理を誤り、地下倉庫の旧型水爆を誘爆させたためと推測されている。あるいはオリンピックブーム高揚のため、新型核兵器を技術的に未完成のまま爆発実験させて失敗したため、とも推測されている。
このような新型核兵器の地下核実験の失敗が、四川大地震を誘発した、とする国際的批判に、中国政府は、チベット自治区・四川省のいかなる核施設にも全く異常がないと公式発表した(2008.5.18)。このことは、核関連物質は四川省、核廃棄物はチベット高原にあるとする、専門家の見方を一部肯定したことになる。
なお、中国が外国からの救援隊を地震発生から3日後に地域を限定して受け入れるようになったのは、四川省とチベットの核関連施設の隠蔽をしていたためであろう。

追加
本当に核兵器あるいは核関連施設は無事なのだろうか。2008年5月21日の『読売新聞』は次のようなニュースを掲載した。
新華社電によると、中国の周生賢・環境保護相は5月20日、四川大地震の被災地視察のため訪れた四川省成都で、「32個の放射性物質ががれきの下に埋もれたが、うち30個は回収した」と語った。








山居倉庫

2008-05-02 | 世界地理
山形県酒田市の山居倉庫は、1893年(明治26年)につくられた米取引所の倉庫である。1棟(13m×30m)で4斗俵の籾米1万6千俵を貯蔵した。現在も全農庄内が米倉庫として利用している。なお、山居倉庫は江戸時代の年貢米の輸送拠点ではないし、大地主本間家の米蔵でもない。



高橋兼吉の設計による土蔵づくり。延床面積約400㎡である。



三角屋根の倉庫が12棟。うち左端が庄内米歴史資料館である。倉庫の面しているのは、酒田港につながる新井田川である。最上川ではない。



山居倉庫からは、米が「小鵜飼舟」で酒田港出入りの外航船まで運び出された。小鵜飼舟の船の発着場がある。







山居倉庫側面。倉庫内部の貯蔵米が劣化しないように、屋根を2段とし、屋根間の小窓で温度・湿度の調整をする。



夏の西日で倉庫の西壁の温度が上がるのを防ぐため、倉庫西側はケヤキ並木になっている。



山居倉庫の1棟は庄内米歴史資料館。もみ米1俵は4斗で60kg。倉庫と舟の間の米の出し入れは女性の仕事であった。ということなどを伝えている。入場有料。

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世界的な食料不足の問題
世界的に米と小麦が不足し、国際価格が急騰している。発展途上国の貧困層は、深刻な食料不足の問題に陥っている。

小麦の不足は、オーストラリアの干ばつが一因である。マーレーダーリング盆地の灌漑農地に、土壌の塩害というツケがまわったのか、スノーウィ川からの灌漑用水が干ばつで少なかったのかが、大きな問題である。塩害であれば小麦生産の回復は困難である。また、灌漑用水の不足であれば一過性の不作と考えることができる。

アメリカでは、小麦栽培からとうもろこしへの転換が進み、小麦生産量が減少した。しかし、世界全体の小麦在庫量が一年分以上はある。小麦の安値が続き、アメリカの小麦農家も穀物メジャーも困ったいた。
アメリカの小麦農家を救済するとともに、穀物メジャーが自らを救済するために、小麦不足を演出しているのである。中国・インドの消費量が増えた、バイオ燃料としてのとうもろこし栽培のために小麦栽培が減ったとか・・・。この穀物メジャーの言い分は多分、正しいだろう。それでも、餓死者多数と見込まれる地域・国には、なぜか、小麦が配給されるのである。どこからか、国際価格の下がらない程度の量の小麦が、放出されているのである。

米不足は輸出量世界第2位のベトナムの禁輸措置の影響が大きい。ベトナムでは工業化よりも農産物の商品化に力を入れるドイモイが採用されている。ベトナム共産党の強制的指示により、米・コーヒーの大増産が行われた。世界の米・コーヒーはベトナムの輸出急増による値下がりで、2000年代に大混乱をしていたのである。
ベトナム共産党が、ベトナム米の輸出規制を断行したことで、米の国際価格は上昇した。ベトナムは米の輸出で大きな利益を得ることは間違いない。また共産党の率先実行したドイモイが、ベトナム農民の収入を増やすことも間違いない。共産党の指導の正しさが立証されたことになり、当分、ベトナム共産党の独裁は続くであろう。

隣国タイは米の輸出が世界第1位である。米の流通を支配する華僑は、米の計画的輸出によって、国際価格を上げている。米の輸出量と価格とは、前近代的農業経済で決めるのではなく、工業製品同様、輸出調整によって可能であることを理解したようである。
今後はタイとベトナムの輸出カルテルで、米の国際価格を引き上げることが簡単にできることが分かったのである。

日本。
日本国内で消費しない輸入米と古米の在庫は、合わせて300万トンもある。日本の米消費量の半年分に相当する。農林水産省は300万トンを廃棄予定だが、本当に廃棄をするのだろうか。経済にめざめたベトナム、タイに代わって、安値で発展途上国に輸出したらどんなものだろうか。ODAを米で実施するのは名案と思うが。しかし、米輸出国の反感を買うことは覚悟しなくてはなるまい。