山形県新庄市に限らず、日本国内の人口10万人以下の都市は、人口の減少と高齢化が進んでいる。農村の過疎地域で集落維持が不可能になったものを、「限界集落」と呼ぶように、都市機能としての商業・金融・病院・教育などを失いつつあるものを「限界都市」と呼ぶ。世界的には、人口の減少と都市機能の減少に注目し、shrinking -cities(縮小する都市)と呼ぶが、「限界都市」の方がが分かりやすい。
限界都市に住むことの不安がある。将来は、公共交通機関として列車・バスの運行削減と料金の引き上げが、不可避である。
病院は入院患者を引き受けない診療所となっって、健康と将来について、漠然とした不安がある。医療行政の失敗は、限界都市のできる一因である。
市街地の商店街はシャッター通りになりつつあり、郊外の大型店舗ジャスコは繁盛しているが、米国ウォルマート同様、赤字店舗を即座に閉鎖する。米国でウォルマート、日本でジャスコの撤退した都市は、すでに商店街は崩壊していて、都市生活がひどく不便になる。大型店舗は地方の限界都市を、次の段階の破滅的都市に追いやる恐れがある。
新庄市南本町商店街
JR新庄駅から5分の商店街は、アーケードも駐車場も整備されたし、多くの店舗も改装をしたし、商品の価格帯も安いものから高級品までそろっている。商店街は郊外の大型店に負けないような、経営努力を続けたのである。
しかし、客が来ない。通行人もまばらである。シャッター通りになりつつある。背景として、新庄市の人口が43125人(1990年)から40227人(2007)に減少傾向のあることがあげられる。直接的原因としては、一人当たりの消費財の購入金額の減少と、郊外の大型店舗の立地とがある。
2008.5
2008.9
山形新幹線の終点であり、新幹線の広軌の線路が終わっている。狭軌の在来線が北に、西に、東に延びている。南の山形市には、広軌の在来線改修電車と新幹線が走る。高速道路もあり、決して交通が不便ではない。しかし、鉄道の乗客は、1日平2347人(2003年)から、1810人(2007年)に減少している。
病院も厚生労働省の研修制度の失敗から、地方では大規模病院も医師不足が深刻な問題である。1998年創設の新庄徳州会病院においても、常勤医は内科2、外科1のみであり、眼科・耳鼻咽喉科、泌尿器科、神経科、整形外科は週に1回だけの診察になった。小児科・産婦人科は閉鎖状態にある。看護師募集の大看板よりも、市民にとっては医師大募集の大看板が欲しいのである。
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新庄市では、限界都市から抜け出る方法として、企業誘致を進めている。
現在、新庄市工業団地に進出した航空電子工業山形は一流企業であるにもかかわらず、大卒初任給が18万円台である。
新庄市近辺の大卒者には、親とともに住む自宅があり、昔ながらの田畑があるので、生活費がかさまず、18万円で1か月の生活には間に合うだろう。
しかし、初任給18万円程度の人材で間に合う企業体質では、その程度の人材しか集まらないだろう。低賃金で誘致企業を成功させようとする、行政姿勢は正しいのだろうか。
誘致企業が本社指令を飛び越えて、独自の発展と拡大を続けるためには、優秀な人材が必要であろう。優秀な人材は、潜在的には多い。しかし、低賃金と豪雪で、新庄にUターンしたい学生は、二の足を踏んでいる。
限界都市に住むことの不安がある。将来は、公共交通機関として列車・バスの運行削減と料金の引き上げが、不可避である。
病院は入院患者を引き受けない診療所となっって、健康と将来について、漠然とした不安がある。医療行政の失敗は、限界都市のできる一因である。
市街地の商店街はシャッター通りになりつつあり、郊外の大型店舗ジャスコは繁盛しているが、米国ウォルマート同様、赤字店舗を即座に閉鎖する。米国でウォルマート、日本でジャスコの撤退した都市は、すでに商店街は崩壊していて、都市生活がひどく不便になる。大型店舗は地方の限界都市を、次の段階の破滅的都市に追いやる恐れがある。
新庄市南本町商店街
JR新庄駅から5分の商店街は、アーケードも駐車場も整備されたし、多くの店舗も改装をしたし、商品の価格帯も安いものから高級品までそろっている。商店街は郊外の大型店に負けないような、経営努力を続けたのである。
しかし、客が来ない。通行人もまばらである。シャッター通りになりつつある。背景として、新庄市の人口が43125人(1990年)から40227人(2007)に減少傾向のあることがあげられる。直接的原因としては、一人当たりの消費財の購入金額の減少と、郊外の大型店舗の立地とがある。
2008.5
2008.9
山形新幹線の終点であり、新幹線の広軌の線路が終わっている。狭軌の在来線が北に、西に、東に延びている。南の山形市には、広軌の在来線改修電車と新幹線が走る。高速道路もあり、決して交通が不便ではない。しかし、鉄道の乗客は、1日平2347人(2003年)から、1810人(2007年)に減少している。
病院も厚生労働省の研修制度の失敗から、地方では大規模病院も医師不足が深刻な問題である。1998年創設の新庄徳州会病院においても、常勤医は内科2、外科1のみであり、眼科・耳鼻咽喉科、泌尿器科、神経科、整形外科は週に1回だけの診察になった。小児科・産婦人科は閉鎖状態にある。看護師募集の大看板よりも、市民にとっては医師大募集の大看板が欲しいのである。
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新庄市では、限界都市から抜け出る方法として、企業誘致を進めている。
現在、新庄市工業団地に進出した航空電子工業山形は一流企業であるにもかかわらず、大卒初任給が18万円台である。
新庄市近辺の大卒者には、親とともに住む自宅があり、昔ながらの田畑があるので、生活費がかさまず、18万円で1か月の生活には間に合うだろう。
しかし、初任給18万円程度の人材で間に合う企業体質では、その程度の人材しか集まらないだろう。低賃金で誘致企業を成功させようとする、行政姿勢は正しいのだろうか。
誘致企業が本社指令を飛び越えて、独自の発展と拡大を続けるためには、優秀な人材が必要であろう。優秀な人材は、潜在的には多い。しかし、低賃金と豪雪で、新庄にUターンしたい学生は、二の足を踏んでいる。