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大根の有機栽培農業

2009-11-25 | 貧困の起源
農村後継者有志が有機農業組合を結成、大根の有機栽培を始めた。
無肥料・無農薬の有機栽培では、長さ20cmの奇形大根ばかり。当然、全く売れなかった。
肥料・農薬を使っても「有機栽培」であると、組合を解散してから知らされた。




有機農産物の日本農林規格(平成12年制定。平成21年最終改正)

有機農産物の定義(第2条)
(1)農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用した圃場において生産すること。
(2)採取場において、採取場の生態系の維持に支障を生じない方法により採取すること。


有機農産物に使用禁止にならない肥料・農薬など(第3条。別表1、別表2)

別表1(使用できる肥料及び土壌改良資材。一部省略)
植物及びその残渣由来の資材
発酵、乾燥または焼成した排泄物由来の資材
食品工場及び繊維工場からの農畜産物由来の資材(化学的処理を行わない資材)
屠畜場または水産加工場からの動物性産品由来の資材
発酵した食品廃棄物由来の資材
バーク堆肥
グアノ
乾燥藻およびその粉末
草木灰(天然物質に由来し、化学的処理を行わない資材)
炭酸カルシウム
塩化カリ
硫酸カリ
塩化ナトリウム
食酢
乳酸

別表2(使用できる農薬。一部省略)
除虫菊乳剤(除虫菊抽出のピレトリン乳剤も可)
なたね乳化剤
マシン油
澱粉水和剤
脂肪酸グリセリド乳剤
硫黄燻煙剤
水和硫黄剤
石灰硫黄合剤
シイタケ菌糸体抽出物液剤
炭酸水素ナトリウム水溶液(重曹炭酸水素ナトリウム・銅水和剤も可)
硫酸銅(ボルドー剤調整用に限る)
生石灰(ボルドー剤調整用に限る)
天敵生物農薬性フェロモン剤
クロレラ抽出物液剤
ワックス水和剤
食酢
炭酸水素カリウム水溶液

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野菜は収穫時期が全国ほぼ同一だから、出荷量が増えると、価格が暴落する。主産地が台風に襲われ、収穫業が激減しない限り、野菜は価格が暴落することは宿命である。
有機栽培のダイコンも、市場流通外であっても、値下がりする。無肥料・無農薬の本格的有機栽培の野菜は、ダイコンの形・色・大きさなど、外見が悪く、さらに値下がりする。
本当の有機ダイコンを安定的に出荷することは、非常に困難である。有機農業に成功した農業グループは、日本農業大賞や朝日農業賞をもらっても、数年後には消滅しているのが現実である。
次は数年前の新聞記事だが、今でもくり返される話。
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大根1万トンを出荷制限

農林水産省は2006年10月21日、ダイコンの市場流通量が増加し、卸売価格が下落しているため、需給調整として東北、関東、近畿、九州の産地で計11,605トンを処分すると発表した。
好天で生育が進み出荷量が集中しているほか、気温が高めで推移し、鍋物などの需要が低迷していることが安値の原因とみている。さらに、11月下旬には茨城県でハクサイを8830トン、千葉、熊本、青森、福島、山口、兵庫の各県でダイコンを計2775トン処分し、出荷量を制限する。

東京都中央卸売市場の2006年10月20日の卸売価格は、ハクサイが1kg当たり29円で、平年(最近5年間の11月の平均)と比べ約37%安、ダイコンは42円と約41%安だった。8800トンのハクサイの処分を決めた全国農業協同組合連合会(全農)茨城県本部では、
「適度な価格で安定供給していくためのやむを得ない措置。価格浮揚につながってほしい」
と話している。なお需給調整を実施した農家には、交付金が支払われる。

(四国新聞 2006/11/21)


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