Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

ヌークシオ

2009-07-19 | ヘルシンキぶらり歩き
ちょっと暗い記事が続いたところで、気分転換。

映画「かもめ食堂」に、正確な記憶ではないんだけど、たしかこんなようなシーンがあった。
主人公の日本人女性が「フィンランドって、何でこんなにのんびりなのかねぇ」と言うと、そばにいたフィンランド人の若者がこう答える。

「フィンランドには、森があるからだよ」


そのかもめ食堂のポスター撮影にも使われたとかいう、ヘルシンキの郊外にあるヌークシオ国立公園というところでハイキングを楽しんできた。
ああ、よかった。ここには、求めていた静寂があった。Silence is fun!


  

一緒に出かけたフィンランド人の友人に、上記のかもめ食堂のやりとりを話すと、さすがにいささかの誇張を感じずにはいられないようだったけど、それでも、首都の真ん中からでさえこういった場所にすぐアクセスできるということにはありがたみを感じるし、そういう事実に自分のパーソナリティが規定されているというのはあながち間違ってもいないかもね、という話だった。数時間のハイキング中にすれ違ったよその人はせいぜい10人くらいだけど、それでも、今日は人が多い、と言う。「だって、ここに来るのは、一切の喧噪を離れて、一人になったり、親しい人たちと過ごすためなんだ。」

この場所は、映画の効果もあって日本人旅行客にも近年人気のスポットのようだけど、車を持たない観光客にとってはアクセスが悪いところにある。分かりづらいバスを乗り継いで、最寄りのバス停から2kmも歩いたところがようやくハイキングコースの入口になる。
最近は、観光客誘致のために状況を整備する動きがあるようだけれど、たしかに、こういう場所は、(少なくとも自分たちのような人間にとっては)静寂が何よりのバリューなんだから、そのバランスはなかなか難しいなと思った。