Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

クオピオ

2009-07-04 | フィンランドぶらり旅
クオピオで泊まったところは、小学校の空き教室を利用した宿だった。がらんとした教室で夜を過ごすという(しかも幸運なことにたまたま一人だった)、これまでにない体験。

午前中は、街の中をふらふら。
ヘルシンキよりはだいぶ北に来たからか。あろうことか、避暑を通り越して、寒い。曇り空というお天気のせいもあるかもしれない。七月とも言うのに、なんとマフラーしている人もいる。持って行くか迷った上着を持ってきて正解。
宿の人いわく、今日はさすがにこの街にしても寒いけれども、こういう風に夏でも一時的に冷え込むことがあること自体はむしろ典型的、だそう。

クオピオ博物館というところをのぞいてみた。ここの趣旨は、クオピオやフィンランドの自然史と文化史の紹介、といったところ。田舎の博物館と思ってあなどっていたが(特に、先週大英博物館を見たばかりだし)、意外に見せた。
特に、実物大と言うマンモスの標本は圧巻。照明や音楽を使った演出もなかなか凝っていて、星の輝く冬の夜、雪の積もる森の中でマンモスに遭遇するというシチュエーション。マンモスはフィンランドにも生息していたそうだけど、1万年ほど前に「暖かくなり過ぎて」絶滅してしまったというのが有力説とのこと。

 

午後、高台にあるプイヨ展望台を目指した。地図にすると中心街から直線距離にして2kmほどなんだけど、傾斜が結構きつく、ちょっとした登山だった。

さて、ここからの眺めは、もともとクオピオでも第一の見所と言われるけれど、個人的にここを訪れようと思った理由がもう一つ。
それが、東山魁夷の「白夜光」という作品。1960年代に北欧諸国を旅していた彼は、クオピオにも滞在し、そしてこの展望台からのスケッチをベースにしてこの絵を描いたそうだ。去年、東京でこの作品の実物を拝み、「フィンランドファン」であることを抜きにしても、大変に感銘を受けた。
その景色、見つけられるかな。

わざわざプリントアウトしてきた「白夜光」(左)を片手に、展望台に上って360度景色を見回してみたけれど、残念ながらというか、寸分違わず全くそれと同じという風景はなかった。けれど、それっぽいのなら(右)。きっと氏は、スケッチをもとに、より味を出すために手を加えたんじゃなかろうか。うん、そういうことにしておこう。時間帯が違うから、色彩感はだいぶ違う。それと、展望台周辺の開発の具合も、たぶん昔はこれほどではなかっただろう。
でも、そういうあれこれを抜きにしても、この景色は掛け値なしに素晴らしい。それこそ一つの絵画に納めたくなるような、そんなインスピレーションも授からずにいられないというものだった。

 

ところで、この展望台には回転レストランがあり、そこで昼食とした。
メニューを眺めながらどれにしようかと考えていたところ、ザリガニのパスタなるものを発見し、迷わずこれに決定。フィンランドに限らず北欧では夏にザリガニを食す文化があることは知っていたけど、実際にお目にかかったのは初めて。大変おいしくいただきました。雰囲気としては、極小のロブスター、という感じかな。



クオピオ、プイヨ、と聞いて反応する人は、結構なスキーファンかもしれない。ここには大きなスキージャンプ台があり、国際レベルの大会もしばしば行われる。
本格的なジャンプ台を見るのが初めてなのですっかり興奮し、上ってみた(左から三つ目の小さいやつだけ開放されていた)。月並みな感想だけど、こんなところから勢いよく飛び出そうとする人の気が知れない。スキーのジャンプは、たしかもともとは処刑の方法が起源だったのではなかったか。それもうなずける。しかし、これは下から見守る観客からすれば、美しく飛距離のあるジャンプというのは、鳥肌が立つほどに感動するのではないだろうか。
ちなみに、ジャンプ台の向こうに見えるタワーが先ほどの展望台。