Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

親切

2009-07-07 | フィンランドぶらり旅
バスでヘルシンキへ帰還。フィンランドは、長距離バスでの旅がしやすい国だと思う。

そして、帰宅したら、またもや共有キッチンのゴミがゴミ箱からあふれて虫がわいていた。
こんなにだらしない人たちと、もう住めない。いい加減にキレた。引越しを検討中。


ところで、今回のぶらり旅で、人々の親切にあちこちでお世話になり、これもまた、やっぱりフィンランドっていいところだなぁ、と再認識するに至る契機となった。

その中でも、旅の初日、ミッケリにてちょっとしたトラブルを抱えたところを親身に助けてくれたおばちゃん、それからクオピオ行き列車の車掌さんは忘れられない。
このエピソードを記しておきます。



3日のこと。お昼過ぎにミッケリの駅舎のコインロッカーに荷物を預けて、観光に出かけた。
20時発のクオピオ行き列車に乗るために、その少し前にしばしの観光から戻ると、あろうことか、駅舎が閉まっており、荷物が回収不可能という事態に追い込まれてしまった。たしかに19時終業だと入口に書いてあるのを今更見つけたけれど、そんなに早く閉まろうとは夢にも思っていなかった。これがフィンランドか…
ほとんどの荷物はロッカーの中だし、パソコンや携帯など結構大事なものも入れてある。それに列車のチケットも。そして、すでに無人駅と化していたここでは、頼れそうな人もいない。近くの観光案内所もすでに店じまいしている。大ピンチ。

さて、どうしたものか。
まぁ最悪、ミッケリに宿を見つけて一泊し、明朝荷物を回収して、列車の券を買い直せばいいかとも考える。財布だけは手元にあるし(言い換えれば、それ意外のほとんどはロッカーの中)。ただ、当然ながら金銭的、時間的には結構な損失になる。

そうしていたら、たぶんあからさまに困った雰囲気を醸し出していたんだろうけど(閉まっていると分かっているのに何度もドアをノックしたりしていたし)、とあるおばちゃんに声をかけられ、事情を説明(英語ができる人だった)。すると、ありがたいことに、そして実に頼もしいことに、私が何とかしてあげるわ、とおばちゃん。携帯を取り出し、何やらあちこちに電話をかけ始めた。様子からするとあまり良い返事ではないようだけど、鉄道会社の人なんかを相手に粘り強く話をしてくれているらしい。

そうこうしている内に、おいおい何やらヤパニライネン(日本人)が困っているらしいぞ、という感じで(たぶん)、ちらほらと人が集まってきて、ちょっとしたひと騒動になってきてしまった。話の内容は全く分からないけど、雰囲気からして、何とか解決策はないものかと議論してくれているようだった。
元はと言えば自分の不注意なのに、なんだか申し訳ないような気にさえなってくる。

ついに件の列車がやってきてしまった。
そうすると、最初のおばちゃんが、両手を大きく振って、車掌さ~ん、待って待って~!と(たぶん)、大声でその列車に乗っていた車掌さんを呼びに行ってくれた。

車掌さんを連れてきてくれたおばちゃんは、どうやら用事があるそうで、もう行かなきゃいけないのだそう。最後まで世話できずに申し訳ない、という意味のお詫びと、こんなところだけれどフィンランドのこと嫌いにならないでね、という言葉を残して行ってしまった。
感謝のあまり涙が出そう。連絡先を聞いてお礼の手紙でも出したかったけど、ばたばたしていたし、おばちゃんも急いでいたようだったので、簡単な礼を述べるのでいっぱいだった。

その間、先ほど周りにいた人たちが、車掌さんに事情を説明してくれているようだった。なんとかしてやんなよ、車掌さん!と言ってくれている(たぶん)。
この一件のせいで、発車時刻をオーバーして列車を止めてしまっているようだった。すっかり問題児。

いかにも真面目そうな感じの車掌さんは、さすがにちょっと弱ったようだったが、とにかく、列車に乗るようにと促す。
協力して下さった方々にもお礼を言いつつ、半ばわけの分からないまま乗り込むと、列車がゆっくり動き出した。車掌さんが言うには、明日の朝一番の列車に荷物を乗せて送るので、駅まで取りに来い、ということだった。
もうありがたいのと、申し訳ないのとでいっぱい。

で、この話にはまだ続きがあって。

翌日、指定された列車の到着を、クオピオの駅のプラットホームで待っていた。
すると、荷物を持って来てくれたのは、なんとその車掌さんだった。しかも、今日は制服じゃない。聞くと、今日はちょうど休みだったから届けにきたよ、と笑顔でさらっと言う。再び、感謝のあまり涙が出そう。
何度もお礼を言い、それからそもそもの自分の不注意を詫びた。それなのに彼は、いやいや、駅舎が閉まるのが早くてごめんね、と言うだけだった。


フィンランドの人は、本当に親切です。
普段お世話になっている周りの人もそうだけど、何か物事を頼むと、必ずお願いした以上のことをしてくれる。