Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

デビュー

2009-04-27 | 大学
研究所のセミナーで、研究発表。

第一の山にして、実は最大のプレッシャーを感じていた。二回目以降は、適応していけばよいけど、一度目はなにしろ勝手が分からない。
それに、言い古されたことだけれど、第一印象は肝心だ(皮肉なことに?このことは、自分の研究テーマにも関連している)。学会などで国際発表の舞台は何度か経験しているが、短期開催の学会と違って、なにしろ今後の滞在中の人間関係を左右する、かもしれない。大げさに言えば。なんだコイツただ遊びにきただけかよ、と思われたら最後。本当に、遊んで終わりになるかもしれない(まぁそれもいいか…)。

とまぁ、若干オーバーに表現したものの、いつにないタイプのプレッシャーはあった。
それが、開始10秒で馴染んだ。フィンランド語で挨拶をしたら、なんと皆さんから暖かい拍手を頂いた。たった数行の挨拶だけど。来るものは拒まない人たちだった。よかったよかった。

今日のプレゼンでは、前半に、簡単に自己紹介、それから日本について、また自分の大学や所属する研究室などについての紹介もさせてもらった。
このパートもかなり入念に準備したのだけど、ばっちりウケてもらえてよかった。セミナー室でどうぞ好きなだけチェロを弾いて下さい、という先生方のお墨付きももらえた。それに、System familyの存在には大変関心を持ってもらえたようだった。今後のコネクションの基礎となれば、嬉しい。

昨日のJapani-päiväの様子なんかも紹介した。
この考え方は人によるかもしれないが、こういう機会では、ある意味「日本代表」としての気構え、というか責任感みたいなものを持ちたい。
逆の立場を考えれば分かるだろう。例えば、日本の大学にフィンランドからのゲストが来て自分の国についてあれこれ喋ったなら、そこに居合わせた誰かが、そのことを、今日フィンランド人がこんなことを言っていた、とそれこそブログなんかに書くかもしれない。それがあたかもフィンランド人の統一見解であるように書かれるかもしれない。
もちろん、日本人であっても、日本について何でも知っているわけでもないし、何でも語れるわけでもない。「一説によると」「自分の考えでは」「こういうところが個人的には面白いと思うんだけど」、そんな一言を添えながら、自分なりの視点で日本という国のユニークネスを伝えたい。

伝わったかな。

(発表資料の一部)


さて、自分の研究テーマは、ゲーム理論に関連したものなんだけど、バリバリの経済学的な文脈というよりは、認識論的な話題を扱っていて、社会学的あるいは哲学的な問題を含んでいる。
これはここの人たちとある程度は相性の良いトピックなのではないかと予想していた。というのも、この研究所には、こういうことを哲学的に考えている一派と、また別にいわゆるハード思考というか機能主義的パラダイムでゲーム論やORをやっている一派とがいるのだけど、その間のシナジーについては日常的に接触しているような人たちだろうと思っていたわけです。

それで、案の定というか、英語力の問題もありディスカッションはかなりぐだぐだとなってしまったけど、それでも時間をオーバーするくらいに質問も出て、ある程度の関心は持ってもらえたよう。プレゼンでは、こういうところがそちらでやっていることと関係するのではないか、という話題も入れたので、そういうのもうまく拾ってもらえたのかもしれない。

他の先生方に認知してもらう機会となったのも良かった。

Ehtamo教授はゲーム理論の専門家で、自分の研究のベースでもある帰納的ゲーム理論を提唱した(筑波の)金子先生を知っているようだった。とても気さくな方で、数学的な議論については、今後色々と聞けるチャンスがあるかもしれない。
Saarinen教授は、哲学者だけど、テレビ番組などによく出演されていて、フィンランド全土で有名人らしい。全く違う分野の人でも彼の名を知っている。日本で言えば、ちょっと前なら立花隆、今なら茂木みたいなポジションだろうか。彼の書く論文は、intellectualという言葉がよく似合う。企業へのコンサルティングなんかも精力的に行っているらしい。


まぁ、とりあえずそんな感じ。肝心なのはこれからだし、本当のところどう思われているのか分からないけれど、少なくとも「なんだコイツただ遊びにきただけかよ」は免れたのではないかと思いたい。

ふう、この解放感。
一週間ぶりにビールを解禁。うまい!