「愛友市場」に入って少し進むと左手の精肉店の前に簡素な「試食コーナー」が設けられていた。そこには西区名物の「せんじがら」が置いてあったのでちょっと驚いた。こっそり近づいて口に含んだところへ買い物客と思しき老婆が「美味しいでしょうが」と声を掛けてきた。私は苦笑して頷いた。
「せんじがら」という加工食品があるのを知ったのは確か30代半ばのことで、初めて食べたのは更にそれから数年経ってからだった。広島県東部で売っているのを見ることなく私は大人になったのだ。「せんじがら」は豚の胃袋や腸(馬や牛のそれも含む)から作られ、関西で「あぶらかす」と呼ばれるものに近いと考えてよい。
腸を大鍋で煮て油脂をとった残りのことを昔は指していたが、現在は油で揚げて作っているようだ。かなりかたくて塩気も強い。まさに「スルメの肉版」でビールのつまみになる。これが3かけもあれば350ml缶が楽に空けられる。
市場をぶらついて再び精肉店に戻り手土産に「せんじがら」を1袋買い求めた。女将さんが「遠慮せんでどんどん食べて下さい」と言う。私は厚意に甘えてもう一つつまんで口に入れた。
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