まだ暗いうちに家を出た。車のフロントガラスには霜がはっていた。暖気の効果が出てきたのは10分後である。
午前7時になろうとする頃に祖父母の墓所に到着した。線香に火をつけ手を合わせたが、指は棒のようになっていた。
7時15分過ぎ、高台に登りお日様が出るのを待つ。私は満タンの貯水タンクを押さえながら寒さをこらえた。紫雲の上部が赤く燃え始めてからが長かった。27分あたりに周辺に大きな歓声が上がった。
初日の出の瞬間を見たのはこれが始めての経験である。「ご先祖さんのおかげだ」と言って私はかじかむ手に息を吹きかけた。