枯れいそぐものに 月かく ほそりけり
木下 夕爾 (きのした ゆうじ)
綿虫にあるかもしれぬ心かな
(わたむしに あるかもしれぬ こころかな)
川崎展宏(かわさき てんこう)
11月になり、綿虫(雪虫)の飛び交う季節がきた。
今年は暖かくて雪の便りは遅い。
でも、雪虫が舞うと冬は本当にすぐそこまで来ている。
ふわ・ふわ・ふわ・ふわ・・・ふしぎな雪虫・・・
まんじゅしゃげ ふしぎは くきのみどりかな
はせがわ そうぎょ
先日の山陰山陽の小旅行で、
刈り入れ間近(刈り込まれていたのもいくらかあった)の
田んぼのあぜ道に群生していた彼岸花。
北海道では見られない光景なので
その鮮やかな赤色が印象深かった。
画像はkazuさんからお借りしました。
いつも勝手にゴメンね。
それから、この書は同じ句を私が2年前に書いたもの。
作品展に出品して、結構大きな賞をいただいた。
出品した作品は手元に戻らないので
これは二番目にいいかな?と思って
残してあった。裏打ちもしていないし、
写真が下手なのでよく見えないね・・・
(半紙の大きさです。)
愁いつつ岡にのぼれば花いばら 蕪村
蕪村は画家だけあって、その句は一読しただけで即座に情景が浮かぶ。
私のイメージとして、この句のバラは白い野薔薇だけど、
我が家の庭に初夏の頃にひっそりと咲く
このミニ薔薇の可憐さも十分この句に相応しい
ロマンティックな美しさだと思う。
よるのきりに いろえんぴつを けずるなり
木下夕爾 (きのした ゆうじ)
ちょっと霧がでているな・という程度の
お手軽な、しかも真昼の写真です。季語は秋なんですけど・・・
大好きな木下夕爾(きのした ゆうじ)の俳句2句。
1.うみのおとに ひまわり くろき めをひらく
2.ゆうやけ こし てをふりあうだけの わかれ
どちらの句も平易な言葉を紡いでとても判りやすく、そして美しい。
自分の目指すところはこういう方向にしたいのだけれど・・・
芍薬に逢瀬のごとき夜があり 森 澄雄
(しゃくやくに おうせの ごとき よるがあり)
芍薬っていい匂いがする。
薔薇のように甘すぎず、かと言って清楚な鈴蘭とかの香りとも違う。
白い芍薬はとてもあでやかです。
「逢瀬のごとき夜」に秘密の香りがする・・・
六月の氷菓一盞の別かな 中村草田男
(ろくがつの ひょうか いっさんの わかれかな)
草田男は熟語の使い方がうまい。漢字は象形文字だから、
読む側に見ただけでイメージを持たせる。氷菓、一盞、別れ・・・
長い夏休みを前にして、淡い感情を抑えながら二人は向かい合って
一時の別れを惜しむ・・・・・・
60代で亡くなった母はアイスクリームが好きだった。私は嫌い・・・
亡くなった後、フリージに残ったたくさんのアイス。
母は美しい人だった。結社に属して短歌を詠んでいた。
私は俳句のほうが好き・・・
14年目の夏が又来る。
春になると思い出す句。
自由律俳句というのはヘタウマですね。
誰にでも作れそうだけど、とても難しい。だだのヘタになってしまう。
やっぱり放哉のような人生を選ばなければできないのかも…