今から10年ほど前のこと。
とある地方ローカル線の終着駅に、
「益」という名の軽食屋があったが、
潰れてしまい、
そのままの状態で放置されていた。
ここに、
執着感が強い依存症人間が集まり、
彼らのたまり場になった。
それで、
地元の人から、
終着駅にちなんで、
執着益（しゅうちゃくえき）と呼ばれるようになった。
この日、
この執着益（しゅうちゃくえき）に、
依存仲間の仲良し3人の青年が来た。
ひとりはマサヒロ。
アルコールへの執着が強く、
飲酒以外の喜びを知らなかった。
もうひとりはタダシ。
ゲームへの執着が強く、
課金ガチャのしすぎで、
万年金欠病やった。
そしてもうひとりがヨナ。
イスラエル🇮🇱人なんやけど、
自身が信ずるシャンマイ派（ユダヤ教の一派）の教えへの執着が強く、
職場の人間をゴイ（ユダヤ教以外の異教徒）呼ばわりしたので、
孤立していた。
この三人が、
執着益（しゅうちゃくえき）の古びた椅子に腰掛けて、
いつものようにダベっていた。
そして、
三人は、
近頃起こった出来事について、
強くダベった。
この出来事というのは、
マサルという丸型体型の男と、
マサルの彼女であるヒナタが歩いていたところを、
ショウジマうさぎという名の20代の小人男が、
大型犬セントバーナードの背中に乗って現れた。
そして、
ヒナタの背中に飛び付いて、
ガリガリ君を、
服の下に落とそうとした。
これを制止しようとしたマサルやったけど、
ショウジマうさぎことうさぎちゃんは、
小型金槌🔨で、
マサルの頭を叩いてしまった。
マサルは病院に行き、
うさぎちゃんは警察に連行された。
😬😬😬😬😬
マサヒロはこの出来事は、
捕まったうさぎちゃんが、
警察で語ったことが原因やと主張した。
うさぎちゃんは警察官に言った。
「俺は小人だぜ。イタズラするのが俺の役目なんだ。お前ら小人をナメんなよ！」、と。
マサヒロは、
「小人の習性だな。イタズラすることに執着してるんだよ」と結んだ。
しかしタダシは、
この出来事は、
マサルとヒナタがいつもうさぎちゃんを馬鹿にしてたので、
仕返ししたんだと主張した。
そんな中、
ヨナは、
この出来事が、
ヒナタとうさぎちゃんがお付き合いしようとして、
マサルが邪魔やったことからの三角関係から起こったと主張した。
この事実は、
別件で警察署にいた自称霊媒師のパスコードがまみに、
マサルの生き霊が乗り移り、
発覚したことだとも言った。
マサヒロとタダシとヨナは、
訳がわからなくなった。
ナニが真実なんやろうか🤔------と。
そして、
結局、
自分以外のことは信じられないということから、
他人も、家庭も、社会も、国家も、世界も信じられないという結論となった。
こうして、
時が過ぎて、
三人が帰ろうとした時、
ボロを纏ったひとりのババさんが来て、
「誰か金貸してちょうだい」と弱々しく声をかけまくった。
マサヒロは、
このババさんを見て、
「あのババさんは馬場っていうんだ。けど、昔の年金未払いが祟って、食うか食わずの生活してるんだって」と説明した。
ヨナは鼻で笑い、
「愚かなゴイよ！神の国を信じらん者の末路や」と言った。
マサヒロはヨナに、
「お前はいいよな。真っ先にメシア（救世主）のもとに行けるんだから」と言うと、
ヨナは自慢げに、
「そうさ❗️けど今は腹減ったからめしや丼（現在のやよい軒）に行くぜ」と言った。
そんな時、
タダシが、
馬場さんと呼ばれたババさんの近くに行き、
財布から一万円を出した。
マサヒロが慌てて、
「お前、借金で苦しんでるのに、こんなこと出来るのか⁉️」と叫んだ！
ヨナも慌てて、
「馬場さんに渡すのなら、イスラエルの神殿建築に寄付しろ❗️」と叫んだ！
が、
タダシは言った。
「自分以外、ナニもかも信じられないって言ったろ⁉️お前ら。俺が自分で馬場さんに金をやることすら信じちゃいけねえの？」、
と。
マサヒロとヨナが沈黙してしまったことをよそに、
タダシは一万円を馬場さんに渡して、
「これだけだけど役に立てなよ」と言って、
立ち去った。
馬場さんは泣き出して、
タダシの後ろ姿に、
かすれ声で、
「ありがとう」と言った。
マサヒロはヨナに、
「俺たちは俺たちのやり方があるのさ」と言うと、
ヨナは、
「俺にはモーセと預言者しかないのさ」と答えた。
そこに、
セントバーナードに乗ったうさぎちゃんが、
ガリガリ君を食いながら、
走り抜けていった。
その光景を見つめていたマサヒロはヨナに、
「俺たちも、意地悪に世の中見てたら、うさぎちゃんと一緒だよ。少しは世間様を信じような」と言った。
ヨナも、
「イスラエルの栄光も大切だけど、俺も、うさぎちゃんみたいにはなりたくない。もっとやさしくなりたい」と答え、
二人は、
執着益（しゅうちゃくえき）を後にした。
