ケイシロウとトークアバウト

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仏の光より鐘の光

2024-10-07 23:32:00 | 日記




修行僧にして破戒僧の御珍(ごちん)が、
得度(とくど。本僧になる為の手続き)の為に、
とある寺を訪問した。
この寺の坊主たちは快く御珍(ごちん)を迎え入れた。

夕飯時、
御珍(ごちん)は寺の坊主たちに、
「立派な鐘がありながらなぜ鳴らさないのでしょうか?」と尋ねた。
坊主たちの1人が、
「あれは、鐘つくり職人の梶本殿が作られた鐘で、見えない鐘の境界を突かなければ音が出ません(2021年2月10日記事『職人列伝~梶本』参照)」と悲しく語った。
別の坊主も、
「私たちは誰ひとりあの鐘を鳴らせないのです。於道(おどう)様が梶本殿に意図的にあの鐘を作らせたのです」と語った。
御珍(ごちん)は於道(おどう)という名を聞き、
ご飯が喉に引っ掛かってしまった。
先の坊主が、
「於道(おどう)様は私たちに仏の光より鐘の光だと言って私たちの頭を錫杖で叩かれます。けど、あの鐘を鳴らすことは不可能です」と重ねて語った。
御珍(ごちん)は坊主たちに、
「もし私があの鐘を鳴らすことができたら、今度の托鉢でいただいたものを私に渡すのですよ⁉️」と言って来たので、
坊主たちはニヤリ😁と、
「よろしゅうござんす。その代わり、あの鐘を鳴らすことができない時は、毎日托鉢に行かれていただいたものを私たちに渡すのですよ」と返答したので、
御珍(ごちん)と坊主たちの契約が成立した。
この出来事は、
『托鉢合意』という名目でこの寺の汚点として名を残すことになる。

翌朝。

数人の見張り役の坊主を置いて、
多くの坊主たちが托鉢に向かった。
御珍(ごちん)は鐘撞き台で鐘を突きまくったが、
わずかな音しか出せなかった。
御珍(ごちん)は躍起になり、
何度も鐘を突いたが徒労に終わった。
やがて昼となり夕となった。

托鉢から帰った坊主たちは御珍(ごちん)に、
「諦めて食事をなさいませ。今夜のおかずは大根飯ともずくの酢の物にてございます」と言ったが、
御珍(ごちん)は、
「そんな粗食よりもドライカレーと卵スープがほしゅうございます」と言って、
鐘を突くことを諦めなかった。

夕闇迫る頃、
御珍(ごちん)の手は腫れ上がり、
肩が痛み出した😖
それでも我慢して御珍(ごちん)が必死に鐘を突こうとした時に足元がよろけた。
そのため御珍(ごちん)は頭から鐘に突っ込んでしまった。
そのとき、
鐘の音色が美しく響き渡った。

部屋に集まっていた坊主たちはこの鐘の音色に心を奪われるほど感動した🥹
そこに、
額に血を滲ませた御珍(ごちん)が入ってきて、
「境界を極めたり❗️」と叫んで気絶した。

鐘が鳴ったとの知らせは本寺にまで届き、
指導僧の於道(おどう)が寺にやって来た。
於道(おどう)は額に絆創膏を貼った御珍(ごちん)と他の坊主たちを鐘突き台に集めた。
於道(おどう)は一同に、
「み仏に、血と痛みと命を捧げよ」と言い、
目を閉じて拝み出したので、
全員於道(おどう)に倣った。

そして於道(おどう)が鐘の前に立ち手を合わせていると、
本尼(ホンニ)が来て、
「この鐘が鳴ったとのことを聞き本尼(ホンニ)はほんに、うれしゅうございました」と言った。
於道(おどう)は振り返ることなく、
「本尼(ホンニ)よ。そなたの声を聞くだけで読経に励んでいることがわかる。いつのまにかそなたも尼僧の見本となり申した」
とほめると、
本尼(ホンニ)は顔を赤らめて、
「嫌ですわ!本尼(ホンニ)はほんに恥ずかしゅうございます!」と言って於道(おどう)を強く押したので、
於道(おどう)はその勢いで頭から鐘に突っ込んでしまった!
すると、
再び素晴らしい鐘の音色が寺に響き渡った。
於道(おどう)は額に血を滲ませ半分白眼になりながらも寺の坊主たちに、
「仏の光より鐘の光」と言って、
読経し始めた。
一同も於道(おどう)に倣い読経した。



果てしなき夜泣き

2024-10-07 01:33:00 | 日記




結構前の出来事。

あるマンションに丸顔の体のデブい短足中年男性が入居した。
その日の夜から、
赤ん坊の凄まじい夜泣きがマンション住民を不眠症にする。
うるさくて眠れないと言いたいところを、
相手は赤ん坊やからみんな我慢していた。
下手に文句つければ、
逆訴訟もあり得るからや。
けど、
普通の赤ん坊よりも夜泣きがやかましい。

赤ん坊の夜泣きは翌年も翌年も続くので、
マンション住民は怪訝🤔そうに呟き合うんやった。
「いくら赤ちゃんの夜泣きとは言っても、4年経ってもあんな風に泣くの?」とヒソヒソ話す中で、
ある主婦が、
「うちの息子があの夜泣きに耐えながら高校受験に成功したわ」と言うと、
話しは息子さんの高校受験のお祝いを述べる方向へと移行した。

そして3年後。

未だに凄まじい赤ん坊の夜泣きに、
マンション住民は困惑していた。
高校受験に成功した息子を持つ主婦は、
今度は大学受験に向かう息子を思いながら、
「フツー、7年も経って、あんな夜泣きするかしら?それにあのお部屋の子供なんか一度も見たことはないわ😠」とキレた!
他の住民たちも「絶対おかしい」と囁きあっていたところを、
大学受験を控えた息子のイサオがガチギレして、
「勉強できねーんだよ❗️あの短足デブのところに行って説明してもらうぜ!」と声を荒げた。

その夜。
マンション住民たちは、
凄まじい赤ん坊の夜泣きがする、
丸顔の体のデブい短足中年男性の部屋前へと出向いた。
住民男性のひとりがインターホンを押そうとしたら、
イサオが助走をつけて、
部屋のドアにドロップキックをカマしたので、
ドアはいびつに横に開いた。

イサオは更にドアを蹴りあげて広げてそのまま土足で中に上がった。
そして絶叫した!
アンと、
丸顔の体のデブい短足中年男性が全身ベビー服姿でおしゃぶり咥えて、
ガラガラを鳴らしていたからやった。
そばには10歳のヨウイチがいた。
そして、
8つのスピーカーから大きな赤ん坊の夜泣き音が響き渡っていた。
イサオは、
「エエ歳して赤ちゃんの格好しやがって!」と怒鳴ると、
ヨウイチが、
「赤ちゃんじゃねー!アオちゃんだよ!」と言い返した。
丸顔の体のデブい短足中年男性のアオちゃんも、
口からおしゃぶりを取って、
「ナンだ⁉️キミは❗️勝手に上がり込んで!失敬じゃないか❗️」と怒鳴った!
イサオは、
「そんな格好でエラそうなことを言うな!」と言い返した。

そこにマンション住民の人たちも上がってきたので、
ヨウイチは哺乳瓶🍼にミルクを入れて住民たちをもてなした。
アオちゃんは無関心におしゃぶり咥えてガラガラを鳴らした。
ヨウイチの説明によると、
アオちゃんは自分の叔父さんであること。
大きな会社の常務の役職にあってストレスが多く、
ストレス発散の為に、
全身ベビー服姿になること。
赤ん坊の夜泣き音が無いと安眠できないこと。
などを説明した。
住民のひとりが、
「いくら安眠できないからと言って大音量で赤ん坊の夜泣き音を流していたら私たちが安眠できません!しかもこの7年間、小さな子供がいるように思わせてましたからね」と言うと、
アオちゃんはおしゃぶりを取って、
「それはキミたちが勝手に思ったことじゃないか⁉️ワシの知ったことじゃないわ❗️」と怒鳴り、
「ウババババ」と言っておしゃぶり咥えてガラガラを鳴らした。
イサオが、
「やかましくて勉強できない!受験に落ちる!」と騒ぐと、
アオちゃんはおしゃぶりを取って、
「もともとキミは頭は良くないんじゃないのかね?勉強ができるできないを音で決めつけること自体ナンセンスじゃないか⁉️」と、
不愉快そうに語り、
「ウババババ」と言っておしゃぶりを咥えてガラガラを鳴らした。
イサオはキレて😠
「アンだと⁉️許さねーぞ❗️」と凄んだ!
ヨウイチがイサオに、
「ガキだねお前」と冷ややかに言ったので、
イサオはガチギレして、
「お前の方がガキじゃねーか❗️」と怒鳴った!

するとアオちゃんがおしゃぶりを取って、
「こうしようじゃないか。大学受験まで静かにしてやるが、もしキミが合格すればいつまでも静かにした上にキミに1千万円差し上げよう。しかし不合格なら合格するまでワシのおむつを替えてもらうよ」と言い、
「ウババババ」と言っておしゃぶりを咥えてガラガラを鳴らした。
イサオとマンション住民たちはこの話しに合意した。

イサオの大学受験前から、
アオちゃんは気を使ってくれたのか、
マンションからいなくなった。
イサオの受験が終わり、
結果は合格となった。
しかしアオちゃんが帰ってくることはなかったから、
1千万円は仕方なくとも、
二度と赤ん坊の夜泣きに苦しめられることはなかったという。

この出来事をヨウイチは述懐する、
「イサオさんの受験日前にアオちゃんは結果でコトが決まるから、旅行に行ってました。アオちゃんの会社の従業員がイサオさんの合格を知らせたので、アオちゃんは別の場所で生活することにしました。そうすることでイサオさんへの約束の1千万円を踏み倒すことも出来たんです。計画的だったんですよ。最初っから。新しい場所で叔父さんはすぐに結婚することになりました。その2年後の出来事を凶公がブログで書いたのが『さよなら子守唄😢』だったんですよ」

(ブログ記事『さよなら子守唄😢』は2021年7月9日書き込み記事です)