
ひょうたん坂と呼ばれる、
名の通り、
ひょうたんに似た坂がある。
そこに夜な夜な、
ケイザブロウが、
ひょうたん坂の遠方を見つめ、
ため息吐いて😮💨
家に帰る。
このひょうたん坂を、
毎夜毎夜、
ケイシロウが、
「兄貴、来たぜ」と元気に、
チャリ乗って、
やって来たものやった。
が、
とある猛暑日に、
呼び出されたケイシロウが、
疲れて食欲が無いので、
コンビニの冷そうめんが食いたいとお願いしたのに、
ケイザブロウはスルーして、
ところてんを与えたんやった。
ケイシロウは心底、
兄を軽蔑した。
「俺は冷そうめん食いたかったのに、ところてん食わせやがって、このタコが😡」というひと言を残し、
ケイシロウは来なくなった。
ケイザブロウはそれでも、
今にケイシロウが来ると信じて、
夜毎、
ひょうたん坂に来てケイシロウを待つのである。
ケイシロウはケイザブロウの家には行かない。
やって、
俺の家に毎夜来てるから。
けど、
俺は不思議やった。
どうして、
ここまで性格の不釣り合いな兄弟が、
毎夜毎夜、
長年にも渡って、
仲良く励まし合うことが出来たのか🤔
俺はこの疑問を、
自称名探偵こと道頓堀川痴歩に相談した。
道頓堀川痴歩は、
しばらく考え込んだ後、
俺にこう言った。
「ケイザブロウって兄貴なんだろうけど、心が子供なんだろう。それに比べて、ケイシロウは心が大人だった。だから、ケイシロウが兄になってケイザブロウが弟になったんじゃないか?面倒見のいいケイシロウ。甘えまくるケイザブロウ。そんな逆転兄弟も、ケイザブロウの度を超えたわがままが裂いたんじゃないのかな」
道頓堀川痴歩の言うことは理に叶っている。
兄が弟になり、弟が兄になるこのミョーな兄弟関係は幕を閉じた。
冷そうめんを願った者にところてんを与えた代償を、
ケイザブロウは受けているだけのことや。
なのに、
ケイザブロウは理解せず、
その夜も、
ひょうたん坂に行き、
ケイシロウを待ち続けた。
覆水盆に返らず、
七転びくまモンの出っ腹もとに戻らずとはいうものの、
道頓堀川痴歩、
相変わらず、
コトの流れを見つめる視点は鋭い!