何かおいしいものを食べようと思ったとき、最近真っ先に意識が向くのは黒石方面である。とりあえず国道102号線を進むといいような気がしている。
お昼どきを少し過ぎた時間に自宅を出る。黒石の街への入口を過ぎて、東北道のインターを越え、さらに温湯温泉への入口の先を左に曲がる。少し走るとお目当ての「ル・グレ」がある。先日訪れたときはオープンテラスで食事をしたが、さすがに秋口の冷たい風が吹くようになったので、今日は店内の席につく。
お気に入りのパスタとズッキーニのピザを注文する。もうひとつ、パンを注文した。これはちょっと特別なものらしい。
まずはピザが出てくる。生地は薄く、パリパリだ。そのうえにしっかりとした味のチーズと、ジャガイモが載っている。シンプルだが、味は深い。熱いうちに次のピースへと手が伸びる。
パスタは以前も頼んだラグーパスタ。茹で加減が絶妙で、食感がよい。こちらも控えめな味つけながら、たくさん食べたくなる。1人で1皿食べたいくらいだ。
そしてパン。自家製のジャムがたっぷりと塗られている。自然な甘酸っぱさに感動する。これは完全にデザートにカテゴリーすべきものだろう。
今日も丁寧に作られたお料理を堪能した。弘前からちょっと遠いが足を運ぶ価値は十分である。そうしょっちゅう行けるわけではないのだけれど、また来たくなるお店である。
先ほどまでは晴れていた空は曇ってきて、雨もぱらついてきた。黒石市街のほうに向かって引き返す。右に曲がればこみせ通りの「高橋家」でサイフォン式のコーヒーを飲むのがいい。だが今日は左に曲がって県道13号線を進む。大鰐に行く際の近道である。この道はよく整備されていて、気持ちよく走れる。
国道7号線を少し南下して、脇道に逸れる。大鰐線の線路に寄り添うように走って、「シュヴァルツバルト」へ。
店内はそこそこに混んでいた。前に訪れたときとはメニューも少し変わっている。シュバルツバルターキルシュトルテ・ピスタチオのアイスクリーム添えとコーヒーを注文する。こちらのコーヒーのおいしさもまた格別である。
美しく盛りつけられたシュバルツバルターキルシュトルテが出てきた。相変わらず、食べるのがもったいない。上品なお皿をできるだけ美しく保とうと、少々緊張しながら食べる。下で感じる冷たさが心地よい。こちらの冷たいデザートは、寒くなってからでもきっと楽しめることだろう。
至福のひとときを過ごす。おしゃれなヨーロッパ風の建物を出て、2、3分も走れば、昭和のままの鄙びた温泉街だ。このギャップがまたよいのだ。
週末に車を走らせる楽しみを覚えたのはこちらに来てからだが、その先においしいものが待っていると、楽しさは2倍、いや3倍になる。