五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

9月9日(木)晴れ

2010-09-15 20:36:13 | Weblog
 8時半起床。例によってイギリストーストとしょうが紅茶の朝食。食べ終えて、何だか急に満足感を覚える。相当にこの組み合わせの朝食を食べてきたが、何かこう、定量を食べたという気になった。なぜそう思うようになったのかはわからないのだが。

 大学に出る。窓を開け、テーブルの上を片づける。ほどなくして調査実習の学生が集まってくる。今日の作業は、テープ起こし(録音機材がICレコーダに変わっても、やっぱりテープ起こしはテープ起こしだ)のための音声ファイルの配分と、ご協力いただいた方々への礼状書きである。

 テープ起こしは、パソコンで音声データを加工できるようになって、以前よりもかなりラクになった。再生用ソフトも、フリーソフトでかなりいいものが出ている。かつてのようにトランスクライバーを用意しなくても、パソコンさえあれば容易に(あくまでも相対的なレベルでだが)テープ起こしができるようになっている。

 続いて礼状書き。こちらは僕のほうで定型化されたあいさつ文の他に、メンバーが手分けして弘前の四季を写した絵葉書にメッセージを書いて送ろうということになった。

 学生たちには、白紙に文案を書いてもらって、僕のほうでチェックする。ちょっと厳しくダメ出しをする。僕がパソコンで書いた、形式的な文面とほとんど変わらない。もっと対象者のことを考えて、心を込めて書くこと、と、ガラにもなくウェットな要求を出す。何度も話し合いを重ねて、書き直された文案にOKを出す。下書きができたところで、絵葉書にペンで書く。一人が3ないし4人分を書くのだが、相当に根気のいる作業だ。実際、時間もかなりかかったようだ。全員分が揃ったのは、14時を過ぎたころだった。

 できあがった絵葉書を手にとって眺める。これならご協力いただいた方々にも、ちゃんと感謝の気持ちが伝わるだろう。

 事務で封筒をもらってきて、宛名を書く。10通の封筒を揃えて、僕のあいさつ文と学生が書いた絵葉書を封入する。早速今日のうちに発送する。明後日には皆さんのお手元に届くだろうか。

 とりあえず調査直後の作業が終わってひと息ついていると、男女共同参画推進室の委員の方から、急ぎの打ち合わせをしたいのですが、という連絡が入る。わざわざ僕の研究室まで足を運んでくださるとのこと。先ほどまで学生たちが礼状書きをしていたテーブルで、緊急に処理しなければならない案件についての相談。1時間ほど打ち合わせをして終わる。

 明日からの帰京の準備をする。資料収集を行うので、事前の情報収集もしておく。図書館や文書館に行ってからでも対応できるが、予め下調べできるものについてはできる限りやっておこう。考えてみると、久しぶりの帰京である(といっても約1ヶ月ぶりだ)。主旨はもちろん研究だけれども、コチコチに凝り固まってしまった首と肩の施術をようやく受けられるのがうれしい。

 東京の予想最高気温をチェックする。こちらはだいぶ秋めいてきたけれども、まだまだ東京は夏のまんまのようだ。それでも帰れるのはやっぱりうれしいのである。

9月8日(水)晴れ(弘前)→晴れ(盛岡)→晴れ(弘前)

2010-09-15 20:01:57 | Weblog
 7時半起床。朝食はイギリストーストとしょうが紅茶。資料やフィールドノートを詰め込んだバックパックを背負い、右手にお菓子の入った袋、左手にビデオカメラと三脚の入ったバッグを持って、弘前バスターミナルに向かう。今日の集合場所は8時55分発の「ヨーデル号」の車内である。ちゃんと4人が乗り込んだ。

 盛岡までは極力眠るように心がけた。日帰りの調査だから、時間の制約も大きい。そうそう簡単に行ける場所でもないので、できるだけ多くの成果を得たいという欲も出る。でも焦りは禁物だ。そんなことを考えながらウトウトする。

 盛岡駅前でレンタカーを借りる。ようやく荷物から解放された。予算が限られているので、5人乗りといえども小さい車を借りる。僕にとっては運転しやすい。

 フィールドに向かう前に「ぴょんぴょん舎」に寄って昼食。まだかろうじて冷麺がおいしい時期だ。いや、冬だって冷麺はおいしいが、やっぱり暑い日に食べるのがいい。しっかり昼食を摂って、意気揚々とフィールドに向かう。カーナビがしっかり案内してくれる。約束の時間より15分ほど早く到着した。まずはいろいろとご手配くださったおじいさんにごあいさつをする。

 今回の聞き取りの会場の集会所には、10人ほど集まっていた。奥の調理場では、奥さんたちがお菓子や枝豆、漬け物、それにお茶を用意してくださっている。心づくしのもてなしに恐縮する。

 僕はビデオカメラの撮影に専念する。聞き取りは学生に任せる。初めから上手くいくことは少ない。まずは経験が大事。ただし事前にどれだけイメージトレーニングできているかどうかは、流れを左右する。その辺はちょっと心配だ。

 順番に自己紹介をしていただく。僕は先行研究の聞き取りの記述を思い出しながら、ああ、この方が、という感慨に浸る。お会いできて本当にうれしい。僕にとっては、聴き入ってしまう話しばかりだ。活字になったものよりもより詳細で、深い話しを聴くことができる。ワクワクしながら耳を傾け、ビデオのフォーカスを調整する。

 ただ、場を取り仕切る学生は大変だったと思う。どうしても用意した質問項目をきっちりと消化しようという気持ちになるし、また長く話す人がいると、別の人が退屈そうな仕種を見せることもある。どこかで介入する必要があるのだが、どこで割り込んでいいのか、そのタイミングの見極めは難しい。僕のほうは、極力口を挟まないように自制した。ただし、どうしても突っ込んで聴いてみたいところだけは、僕も発言した。

 やや流れが悪くなったところで、ライフコース整理表を「投入」する。集まってくださった方全員分を用意できたわけではないが、情報は薄くても、人生年表のインパクトは大きかったようだ。初めから使ってもよかったのかもしれないけれど。この辺のところは僕もよくわかっていないのだ。

 長時間にわたる聞き取りになったので、今回お世話いただいたおじいさんと相談して、締めることにする。今日の聞き取りだけでもとても魅力的な情報をたくさん得ることができた。まだまだ話してあげるよ、と言ってもらえたのがうれしい。雪が降る前に、何度足を運べるか。僕は学生より先走って考えている。

 集会所の前にある、開拓を記念した碑を見る。おじいさんに建立の際のエピソードを教えていただいた。ただの石碑ではない。この地に生きてきた人の思いがたくさん詰まっているものだ。



 近いうちにまた訪れることを約束して、フィールドを後にする。おみやげに新鮮な卵を頂戴した。あたたかい心遣いに感謝する。去り際にも、車が見えなくなるまで手を振ってくれていた。

 盛岡市内に戻る。一日、普段とは違った緊張感のもとで聞き取りに臨んだ学生たちを労ってあげよう。調査をして、すぐに帰るというのも味気ない。せっかく盛岡まで出てきたのだ。

 内丸に車を停める。盛岡は面白いところがたくさんあるが、真っ直ぐ僕の一番好きな場所に来た。



 じゃじゃ麺を食べに「白龍」に行く。狭い店内はずっと席が埋まったままだった。アツアツのじゃじゃ麺を食し、しっかりちーたんも楽しむ。

 食後には「Cafe OOD」でブラウニーを食べる。甘いものを食べたら、学生たちも元気が戻ったようだ。明日には礼状書きをする相談をしている。いいぞいいぞ。

 学生たちを1本早い「ヨーデル号」で弘前に帰し、僕はレンタカーの給油と返却を済ませ、盛岡駅ビル・フェザンをぶらつく。「さわや書店」でコミックの単行本を2冊買う。小説だと酔ってしまうが、マンガなら大丈夫。23時少し前に弘前に戻る。調査の後は心地よい疲れが残る。

9月7日(火)晴れ

2010-09-15 19:13:25 | Weblog
 8時起床。イギリストーストとしょうが紅茶の朝食。今日もネクタイを締めるかどうか少し迷って、なしにする。自転車で大学に出る。

 教育学部棟では、少しずつだが、改修工事が始まろうとしている。工事にともなう不便さは、実際に授業が動き出す10月になって感じるようになるのだろう。

 研究室で直後の会議に必要な書類を揃える。あ、これもあったほうがいいかも、と気がついて、大急ぎで印刷する。大事なことほどぎりぎりになって思い出したりする。

 9時半に「参内」する。いつまで経ってもこの建物の独特な雰囲気は苦手だ。時間ぴったりに行ったつもりだったのだが、すでに他の先生方は揃っていて、頭を下げながら席に着く。直前に研究室で用意した資料が役に立った。1時間ほどで会議は終わる。

 研究室で出張の手続きを取る。これまでは書類を作成して、それに基づいて旅費計算をしてもらっていたのだが、今年度からオンライン申請になった。このシステムが実にややこしい。一応マニュアルがあるのだが、果たしてちゃんと申請できたのかどうか、よくわからないのだ。ウェブ上で何かの申し込みをする際には、必要な項目が漏れていたりすると自動的に不備を指摘してくれたりする。ところがこのシステムだと、遺漏があっても申請を受け付けてくれる。どこかで誰かが間違いを指摘してくれるのかもしれないが、今のところそういったことに直面していない(というより、まだ精算処理された出張がない)から、実に心許ない。事務員さんたちのご苦労を知るという点でいえば、教員に対する「教育的効果」がないわけでもなさそうだが、それにしても煩雑だ。

 スコーラムで早めの昼食。すき焼き丼のランチ。結構なボリュームで、さらに卵が載っている。しっかり食べて満腹になった。大満足だが、これは間食は控える必要がありそうだ。

 13時から「地域コミュニティ調査実習」の打ち合わせ。これまでの調査準備は個人を対象とした聞き取りを想定して進めてきたから、明日の座談会形式の聞き取りに合わせた準備をしなければならない。いささか泥縄式の準備といえなくもないが、4人のメンバーのうち2人は、先週まで教育実習に追われていたのだから仕方がない。

 細かな質問項目をそぎ落として、出席者全員に聞けるような質問を取り出す。同時発話という事態も考えられるから、誰の発言をメモするかといったこともある程度割り振りをしておく必要がある。

 質問を作った側からすれば、それぞれ思い入れのあるものばかりだから、自分が考えたものを削られるのは面白くなかろう。けれどもそこで妥協するわけにもいかないので、僕も仕分け作業に少しばかり口を挟む。

 われわれの調査の前にも、同じ対象者に聞き取りをした記録があるので、それに基づいて、10名程度のライフコース整理表を作成する。元になる情報はそれほど多くはないので、1人分を作るのはさほど時間を要しない。その間に僕は座談会用のメモ用紙のフォーマットをExcelで作成する。実際のメモ書きに使えるかどうか、試作したものをみんなに見てもらって、さらに修正を加える。

 ひととおり会合を終えて、生協におみやげを買いに行く。どうせなら弘前大学にちなんだものがいい、との意見を受けて、アップルケーキを持っていくことにした。一応対象者の人数は聞いているが、当日飛び入りということもありうる。少し多めに用意する。かなりの荷物になった。自分の車で行くようなら、積み込んでしまえば終わりだが、明日は盛岡までは高速バスでの移動だ。これにビデオ機材も加わる。運転しなくて済むのはラクだが、荷物の持ち運びは結構大変だ。

 少し早めに帰宅して、100円ショップで小さな紙袋を買ってくる。おみやげのアップルケーキは、ビニールのパッケージに入って中身がむき出しなので、紙袋に包むことにした。ひとつひとつ詰め込んでいく。これは果たして僕の仕事なのだろうか、という疑問を感じながらの作業になるが、他者への過剰な期待は慎むべきなのであろう。調査の方法については教えてあげることができるが、こういったことはなかなか教えられない。難しい。ゼミを持って4年目になるというのに、何か肝心なことがきちんと伝えられていないような気がしている。

 フィールドを訪れるのは1年ぶりだ。年賀状やお手紙のやり取りはしていたのだけれど、懐かしいご夫妻にお会いできると思うと、楽しみになってきた。加えて新たな出会いもあるだろう。僕一人が調査の前の高揚感を楽しんでいるのかもしれない。教員が教えられないものを、どれだけ自分自身で感じ取ることができるか。調査が徒労に終わるのか、実りあるものになるのか、僕個人ではどうにもならないところに面白さと難しさがあるように思う。

9月6日(月)晴れ

2010-09-15 19:12:45 | Weblog
 9時起床。朝食はイギリストーストとしょうが紅茶。半袖のYシャツを着て出かける。ネクタイが必要になるかもしれないので、バッグに入れておく。

 研究室のパソコンの電源を入れ、メールをチェックすると、「地域生活調査実習」の2年生から、それぞれのアポ取りの結果報告が届く。かなり気を遣ったようだが、きちんとアポを取れたようだ。こちらの希望した日時に都合が合わなくても、柔軟に対応して、しっかり約束を取りつけたとのこと。いいぞ。いつもより丁寧な労いのことばを添えて返信を送る。調査に対する取り組み方という点では、2年生のほうが3年生をリードしている。こう書いて3年生にはいっそう奮起してもらおう。

 スコーラムで早めの昼食。チキンカツトマトソースのランチとコーヒー。束の間の休息を楽しんでから、男女共同参画推進室へ。本日は午後から夕方まで、推進室の仕事に従事するというスケジュール。3つの仕事を順番にこなしていく。全部終わると18時近くになっている。またタカセは研究室にいない、と思われるのだろうか。

 今年は日が長いので、かろうじて夕方のうちに研究室に帰ってこられたというのがささやかな救いか。冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出して飲む。一気に飲み干す。留守電には3件ほど吹き込まれている。とりあえずこちらからコールバックする必要はなさそうだ。

 夏休み中といえど、いろいろと事務的な仕事は推進室の他にも動いているわけで、そんな書類作成に追われる。その合間に聞き取り調査のアポ取りの結果報告が届く。調査実習は授業であり、教育の一環なのだが、それがいくばくかの「解放感」をもたらすもののように思えるのは、それだけ現状が倒錯しているということなのだろう。

 何時までに帰る、という時間を決めて、それまで仕事に従事する。野球もお休みの月曜日の夜は、ラジオを聴くこともなく、静かだ。相部屋を最後に戸締まりをして出ていくのは僕なので、夜はかなり広いスペースを占有(といっても、僕の場所はほんの隅っこだが)している。いろいろな仕切りがあるものの、広い部屋というのはやはりどこか落ち着かないものだ。

 困っているのは、窓を開けていると小さな羽虫がたくさん入ってくるようで、翌朝研究室に出てくると、テーブルの上に死骸が散らばっていることである。白い天板が最期の場としてふさわしいということなのか、いつもテーブルの上に集中している。学生が戻ってくる10月には、虫たちも退散してくれるだろうか。

9月5日(日)晴れ(仙台)→晴れ(弘前)

2010-09-15 19:12:28 | Weblog

 8時ちょっと過ぎに目を覚ます。ほどなくして弟も起きて、2人で大沢親分と張さんのコーナーを見る。当然昨日の涌井投手の炎上劇も「喝!」の対象となった。西岡選手の活躍ぶりに異を唱えた張さんの様子を笑う。

 ホテルのおにぎりを食す。何だか懐かしい味わいだ。チェックアウトを済ませ、車をホテルの駐車場からすぐ近くのコインパーキングへと移動させる。できるだけ日の当たらぬ場所を選んで駐車する。それでも今日も暑くなりそうだ。

 今日の試合は13時開始。まだ時間はある。仙台駅ビルに行き、名産品売り場を回る。「エビアン」という喫茶店に入る。パンケーキとドリンクのセットを注文する。コーヒーは香り高く、パンケーキもやさしい味だ。満足して、球場へと向かう。今日もバスには乗らず、てくてく歩いていく。11時を少し過ぎたところで、まだそれほど歩いている人はいない。

 球場に入る。今日の席は外野のペアシート。外野席だけれども、クッションと背もたれが付いた指定席。ゆったり観戦するには背もたれがあったほうがよい。

 昨日にも増していいお天気である。グラウンドでは選手たちが練習に汗を流している。僕もフェンスに近寄って練習を眺める。一応サイン用のボールも用意したが、負けた試合の翌日というのはなかなかサインはもらえないそうで、確かにどこか張り詰めた雰囲気のもとでの練習だった。それでもコーチに話しかける熱心なファンの人がいて、なかなか気の利いたやりとりをしていた。







 さて、今日のイーグルスの先発は中4日で岩隈投手である。先の登板では今日を見越して早い回でリリーフに後を託していた。ライオンズとしては昨日の試合を落としているだけに、今日はかなりプレッシャーがかかる。ライトスタンドは昨日と同様に盛り上がっている。


 岩隈投手をつかまえるとしたら、立ち上がりを措いて他になし、と思っていたら、片岡選手がヒットで出てすかさず盗塁、栗山選手がきっちり送り、中島選手こそ凡退するも、今日4番に入った大島選手がレフトにうまく弾き返して先制。これは幸先いい。だが結局は1点止まり。もうちょっと畳みかけておけばなあ、という思いが残る。

 ライオンズの先発は帆足投手。1、2回とヒットを打たれるも、何とかしのぐ。だが3回裏に追いつかれた。ますますイヤな流れになってきた。


 と思った矢先、2死からの4連打であっという間に3点を追加した。やはり岩隈投手には中4日とこの暑さが本調子を発揮させるに至らなかったか。これで今日は安心して観戦できるかな、と思う。いやいや、昨日のことがある。最後まで気を抜けない。

 悪い予感は当たるもので、5回裏には、併殺コースの三塁ゴロを捕球した原選手の送球を片岡選手がエラーして、そこから2失点。うーん、このプレーはいけない。これで1点差。弟も僕もおかんむりだ。


 気の抜けない展開が続いていく。それでも球場全体はのんびりしている。やっぱりこの球場はいいなあ。本拠地西武ドームとは違ったよさがある。



 6回の表には、昨日から大活躍の山選手が今日もホームランを放つ。再び2点差。守備につく山選手に大きな拍手を送る。


 今日は弟ともども、いろいろと験担ぎをしている。昨日は7回の表にジェット風船を飛ばし損ねた(あっという間に6回裏の攻撃が終わってしまい、準備が間に合わなかったのだ)とか、短パンで観戦したからだとか、そういったことを敗戦のせいにして、真逆で行くことにした。僕は意味もなくヒゲを剃らずに出てきた。

 ところが6回の裏には帆足投手がランナーを溜めて降板。代わった岡本篤投手が草野選手に3塁打を浴びて同点に追いつかれる。何とか3塁ランナーをホームに還さず、同点止まりでしのいだのが救い。だがだんだんと昨日の悪夢が蘇ってくる。

 昨日はのんびり構えていたが、今日はフラッグとメガホンを手にして、大声で応援歌を歌う。周りはイーグルスファンばかりなのだが、気にせず懸命に応援する。

 7回・8回はお互いに走者を出しながら、決め手に欠け、同点のまま試合は進む。ライオンズもイーグルスも勝ちパターンの継投だ。

 そして9回の表。4番の大島選手が内野ゴロに倒れた後、中村選手が打席に入る。相手は抑えの小山投手。フルカウントからの打球一閃、弾丸ライナーがセンターバックスクリーン横に飛び込んだ。立ち上がって狂喜乱舞する。ついこの間まで不調に喘いでいた中村選手が完全復調した。声も嗄れよとばかりに「地平を駈ける獅子を見た」を歌う。

 とはいっても、リードは1点。まだまだ最後までわからない。昨日に続いてシコースキー投手が登板する。



 今日は3人で完璧に抑えてくれた。よくぞ接戦をモノにしてくれた。昨日の悔しさも今日の勝利で晴れる。



 中村選手のヒーローインタビューを見上げる。Kスタにできた、この大きなスクリーンは素晴らしい。何より見やすいし、投手や打者のデータが表示されるのもいい。






 すっかりいい気分で球場を後にする。そういえばまだちゃんとお昼ご飯を食べていなかった。手に汗握る展開に、食べるのも忘れていた。今日もライオンズ選手の乗るバスを歓声でもって見送る。


 仙台駅へと歩く。昨日と同じ道でも、勝利の後は心も弾む。腕を見ると、相当に日焼けしている。試合中は夢中になっていて気づかなかったが、これは後からヒリヒリきそうだ。だが勝利の後ならそれも気にならない。

 駅ビルの地下で、昼食のような夕食のようなラーメンを食べて、弟と別れる。彼は南へ、僕は北へと戻っていく。もうちょっと仙台を歩きたかった気もするが、バスの時間は迫っている。




 弘前に戻る「キャッスル号」の最終便はほぼ満席だ。ようやく試合の興奮も落ち着いて、車内ではずっと眠っていた。弘前到着はやはりほぼ定刻通り。仙台と比べるとずっとひんやりとしている。年に一度のKスタ遠征は、ぜひとも来年も実現したいところである。

9月4日(土)晴れ(弘前)→晴れ(仙台)

2010-09-15 00:33:43 | Weblog
 5時半起床。こんな時間に起きたのはいつ以来だろう。さすがに眠い。持っていく荷物は昨夜のうちに整えておいた。少々心残りなのは、研究室に飾っておいたライオンズ応援グッズが、ことごとく倉庫行きの荷物のなかに納められて、半年間の眠りに就いてしまったことだ。

 近所のコンビニでパンとお茶を買い、6:40弘前バスターミナル発の「キャッスル号」に乗り込む。始発便は空いていて、隣の席は空いている。まずは眠る。いったん起きて、パンを食べ、その後は紫波サービスエリアに着くまで眠っていた。サービスエリアで熱いコーヒーを飲む。今日も暑くなりそうだ。仙台宮城インターの手前まで、再び眠る。

 例によってインターから市街地に抜けるトンネルのところで渋滞して、仙台駅前に到着したのはほぼ定刻どおりの11時。パルコの前まで歩いていく。弟とはこの辺で落ち合うことになっている。メールが来て、見上げるとペデストリアンデッキの上から手を振っている。無事に合流する。

 仙台駅の自由通路を抜け、押さえておいてくれたホテルに荷物を預ける。応援グッズは弟のものを借りることにした。いよいよKスタに向かって出発だ。観戦予定は今日の1戦のみ。だが歩いているうちに、せっかくだから明日も観ようぜ、となる。すぐさまセブンイレブンで明日の試合のチケットも買う。

 スタジアムに向かう途中で、「おんのじ」というつけ麺のお店に入る。弟のおすすめの店だそうだ。節つけ麺という、最もスタンダードなメニューを注文する。文字どおり鰹節の利いたスープにかなりの量の麺が付いてきた。一見すると濃厚そうだが、食べてみるとそれほどしつこくはない。いやこれはうまい。寝不足でいささかだるーいところ、すっかり元気が出た。勇躍スタジアムへ。


 若干雲が多いけれど、いいお天気だ。暑さは覚悟の上。主催者側としても、これくらいの時期なら涼しくなって、デーゲームでも十分と思っていたのだろうが、今年の夏の暑さは9月の試合も灼熱の太陽のもとで行われるものにしてしまった。

 今日の席は「グループシート5」という、5人用の席だ。これを2人で占拠する。広々としていて気持ちがいい。西武ドームの「ダグアウトテラス」に席の感じは似ている。

 陽射しは強いが、ちょうど照明灯の陰に入ったりして、思ったほどではない。それと時折涼しい風が吹き抜ける。それに何より青空の下での野球観戦は気持ちがいい。

 まだ試合開始までにはいくらか時間があって、選手たちの練習風景をのんびり眺める。弟はスタンドのところに駆けていって、首尾よくボールにサインをもらってきた。子どもたちがフェンスに貼り付いて、色紙だのボールだのを差し出している。こういった眺めもいいもんだ。





 暑くはない、と思っていたけれど、やはり暑い。試合開始までにお茶を2杯飲み干してしまった。今日はとことん水分補給をしないと、熱中症にやられてしまいそうだ。試合開始前に、今日のスポンサーである明星食品から記念品の贈呈式が行われた。ライオンズからは坂田選手が受け取りに出た。なかなかいい人選である。ペヤングだったらもっとよかったのだろうけれども。


 先発はイーグルスが川井投手、ライオンズが涌井投手。組み合わせからいけば、絶対に取っておきたい試合ではある。


 期待通り、2回表にライオンズが先制。涌井投手はその裏に2本のヒットで失点したものの、その後は安定した投球だ。ここのところ勝てていないけれど、今日は安心して見ていられそう。

 中盤からは中村選手のホームランを皮切りに、小刻みに加点していく。一気に畳みかけるという風ではないが、徐々に、じわじわっとリードを拡げていく。だが、何となく緊張感は解けない。これが思い入れを持って観る試合なんだなあ。秋田で観た試合は、勝敗にまったく興味がなかったから、このドキドキ感がなかった。やっぱり野球観戦にはこれがなくっちゃいけない。


 そういえば、これだけいいお天気なら、デジタルズームを使って写真を撮ってもいけるかもしれない。ドーム球場は昼間でも照明が暗いので、僕なんかが撮るとどうしてもブレてしまう。これだけ明るければ、速いシャッタースピードで行けるだろう。試しに藪投手を写してみる。お、大丈夫だ。藪投手はこんなにお尻が大きかったっけ?やっぱりメジャーに行くとどの選手もかなり体型が変わってくる。


 6回には山選手のホームランも飛び出して、スタンドは盛り上がる。ラッキーセブンの攻撃の前には、長駆やってきたレオも出てきて、さらに歓声が挙がる。今日の試合に関していえば、外野の応援席はイーグルスファンよりもライオンズファンのほうが多いような気がする。



 その攻撃では、大島選手のホームランが飛び出す。力強い当たりがライトスタンドに飛び込んだ。山選手と大島選手という、同期コンビの活躍はうれしい限りだ。


 ここKスタでは、ライトスタンドにもイーグルスファンがたくさんいて、紅白の風船が舞い上がる。これはこれで美しい眺め。



 さすがに5点差をつければ、今日の涌井投手の出来から見て、セーフティーリードである。弟はレモンサワーが回ったのか、ベンチに横になっている。8回も3者凡退。このまま完投で行けそうだ。


 ところが、である。この回先頭の鉄平選手にライト前にヒットを打たれると、ここまで完璧に抑えてきたルイーズ選手に2塁打。さっきまでの余裕が一気に吹き飛ぶ。すっかり目が覚めてしまった弟と手に汗握りながら見守る。草野選手まで5連打を浴びる。後になってみれば、中村選手にセンター前に打たれて3点差になった時点が代え時だったように思う。でもそれは結果論だ。草野選手に打たれたところでシコースキー投手にようやくスイッチ。得点差は2点。しかし2塁と3塁に走者がいる。

 渡辺選手こそ内野ゴロに打ち取ったものの、嶋選手・聖澤選手と連打。同点。ここまで来たら、もう流れは止められないだろう、と覚悟した。内村選手を打ち取って、2死。鉄平選手を歩かせて、最後はルイーズ選手にサヨナラヒットを浴びて、まさかまさかの大逆転負け。僕がこれまで観てきたなかでも、こんな試合は記憶にない。まあ、これも野球だ。今日のところは、最後まで諦めなかったイーグルスの執念に拍手するのみ。これまた結果論だが、ビハインドでも勝ちパターンの継投で来ていたからなあ。


 球場の出口のところで、ライオンズの選手の乗ったバスを見送る。明日こそ勝って欲しい。だがイーグルスの予告先発は岩隈投手だ。正直、しんどい戦いになりそうだ。

 夕日に向かって仙台駅方向に歩く。イーグルスファンとライオンズファンとが入り交じる。この球場からの広々とした帰り道が好きだ。勝っても負けても、その試合の記憶を反芻しながら歩けるのはいい。


 たっぷり汗をかいた服を着替え、夕食を食べに行く。仙台に来たからにはやっぱり牛タンだろう、と「太助」という店に行く。お店の前には列ができていた。10分ほど待ってお店に入る。ここの牛タンは他のお店よりも野趣あふれるといった感じ。このお店のある界隈の雰囲気も何だかいい。



 街に来ても、お酒という楽しみができないものだから、映画館へと足が向く。15分ほど歩いて、「フォーラム仙台」へ。ちょうどいい時間の作品はないかと見てみたら、30分後に「キャタピラー」の上映がある。なかなか青森では観られそうにないから、今夜はこれにしよう。

 受賞もして、話題の作品だからだろうか、レイトショーでもお客さんの入りは結構ある。

 1人の出征兵士(大西信満)が2人の軍人に送られて帰郷する。四肢に加え、聴覚も言語も失い、顔の半分は焼けただれている。迎えた妻(寺島しのぶ)はその姿に恐怖するが、村の人々は彼を軍神として崇める。その英雄譚を報じた新聞と、勲章が軍神の軍神たる証となっている。彼が最も人間らしさを見せるのは、食欲と性欲を露わにするときである。妻はそれを受け容れていこうとする。周囲の人々は、彼女にも軍神の妻という役割期待を込めたまなざしを注ぐ。

 だが、2人にはそれぞれ背負った過去がある。彼には、戦地で犯した殺人の記憶がフラッシュバックし、彼女には、夫から受けた暴力の記憶が奥底にある。家父長制的な関係性は、家庭内では逆転して、彼女が彼の生殺与奪を握っている。軍神とその妻という役割が、重しとなって、夫婦の関係性を侵食していく。彼はもがく。芋虫のように。そして、もがく彼を彼女は嗤う。

 やがて迎える終戦の日。彼女は玉音放送を聞いていない。戦争の終わりを知らせるのは、村のなかでどこか超然と過ごしている男(篠原勝之)だ。2人は万歳を叫ぶ。その傍らで、夫は自らの命を絶つ。

 何だかギスギスした映画だ。悪い意味ではない。いい意味で。映像はちっとも美しくないし、どこかぎこちない。ところどころに挿入される田園風景すら、グロテスクに見える。作り手は、ありとあらゆる表現をもって、戦争のグロテスクさを描きたかったのだろう。一見するとわかりにくいようで、実はとてもストレートな映画だ。

 寺島しのぶの演技がクローズアップされるけれども、夫役の大西信満も、これぞ迫真という演技を見せる。どこまでも「生」としてあること、それが生々しく伝わってくる。戦争を主題にした映画、反戦映画というくくりよりは、やはり「生命」というものについて突き詰めて考えさせられる作品のように思った。

 映画館を出て、仙台駅の東口のホテルまで歩く。しばらく暗い道をトボトボと歩きながら、映画が伝えるものを考える。やがてアーケード街に出て、人通りの多さにほっとする。そういえば、ここ仙台も空襲で市街地の大半を焼失した都市だったことを思い出した。

9月3日(金)晴れ

2010-09-15 00:03:52 | Weblog
 8時半起床。朝食はイギリストーストとしょうが紅茶。洗濯を済ませてから出かける。予定していたよりも出るのが遅くなってしまった。大急ぎで自転車をこぐ。

 10時少し前に研究室に到着。窓を開けて空気を入れ換える。朝から暑い。ほどなくして「地域生活調査実習」の3人の学生が集まってくる。本当は先月21日の調査から日を置かずにすぐに次の調査の準備に取りかかりたいところだったのだが、僕が集中講義で留守にしていたために結構な時間が経ってしまった。

 まずは前回の聞き取り調査の反省点を話し合う。このときは僕がリードする形で聞き取りをしたのだが、難しいところとか、改善点などをきちんと押さえられていて感心した。実際に聞き取りをしてみて、いろいろと触発されたところもあったようだ。次回からは僕は一歩引いて調査に関わることになる。このメンバーなら何とかうまくやれるのではないかという期待がある。

 続いてアポ取りの割り振りをする。これまでの2年生の調査実習に関しては、それぞれのインタビューのアポイントは間に入ってくださる自治体の職員の方がほとんどをやってくださっていて、細かな調整は僕のほうで行う、という形を取ってきた。だが今回からはアポ取りの電話を学生にかけてもらうことにした。

 携帯電話がこれだけ普及したとはいえ、コミュニケーションの形態は圧倒的にメールが多くなっているご時世である。見知らぬ相手に電話をして、調査の依頼をし、さらに日時の約束まで取りつけるというのは、かなりプレッシャーのかかる作業である。それを承知でやってもらう。個々のアポ取りは3年生になってから、と考えていたのだけれど、わざわざ待つ必要もない。もしこじれたときには僕のほうで対処するから、と、あんまり頼りにならない後押しをして、今日の打ち合わせはお開きとなった。

 学生を帰した後で、今日のうちに書いてもらう書類があったことを思い出す。慌ててメールで呼び戻すと、すぐに戻ってきてくれた。お昼ご飯を食べに出かけようとしたところで引き返してくれたそうな。お詫びにスコーラムでランチをご馳走する。ついでにより細かい打ち合わせも済ませておく。

 学生たちのスケジュールと付き合わせると、「地域生活調査実習」の現地調査は今月中旬から下旬になりそうだ。となると今度は「地域コミュニティ調査実習」の現地調査に頭を切り換える。こちらは個別の聞き取り調査の前に座談会形式でお話しを伺うことになっている。

 昨年、座談会形式の聞き取りを別のフィールドで行って、テープを回したのだが、聞き分けられると思っていた発言が、誰の発言か特定できないケースが生じて困ったことがあった。そこで今回はビデオカメラを回すことにした。ビデオカメラがあることで、発言に影響が出ることは否めない。そのこともあって、これまではビデオを使わない形で調査をしてきた。それでも誰の語りかを特定するために、あえてビデオカメラを使ってみよう。しばらく研究室の棚の奥で眠っていたカメラを充電して、動作を確認してみる。ちゃんと動くようだ。調査当日にバタつかないように、今から準備をしておこう。

 弟から明日の指示が届く。今シーズン最初で最後のKスタ遠征である。楽しみだ。だが、今日の今日になるまで、明日観戦する試合がデーゲームであることを知らなかった。大慌てで乗るバスの便を変更する。ちゃんと早起きできるか。イーグルスとの戦いは朝から始まる。今日の大勝の勢いで、あと2つ、続けていただきたいところだ。