イ・ジョンジェめあて(!)で『黒水仙』(2001、ペ・チャンホ監督)を観たら、これがけっこう
面白かったのです。そうしたら、これはある映画のリメイクで、しかもその監督はイ・ドゥヨン!
…というわけで、観てみたのが『最後の証人』(1980)。
一人の刑事がある殺人事件を捜査するうちに、20年前の内戦による悲劇が明らかに
なっていく、推理ドラマです。
傑作!名作!って言われている作品なのですが…正直なところ…どうなのかなあ(爆)?
ただ、主人公の刑事役であるハ・ミョンジュンのやさぐれた男っぷりが、大変に私の好みに
あった(笑)のと、この刑事が事件の捜査のために彷徨うロードムービーっぽいところは
とても気に入りました。
くたびれたツイードコート姿のハ・ミョンジュンに萌え!
当時の韓国の様々な景色が眺められるのも興味深く、雪景色の農村や寂れた酒場、
都会の喫茶店…等々、どれも味があって良いかんじ。私は貧乏臭いのが好きなので、
主人公の侘しい部屋とか物悲しい宿なども、けっこういいなあなんて思ったりして(苦笑)
私の好きなイ・テグン兄貴が出演しているのを知らなかったので、嬉しい驚きだったし
ヒロイン役の美しいチョン・ユニさんを知ることができたのは大きな収穫でした。
ハ・ミョンジュンの煙草を吸う仕草に萌え!
もともとは2時間半ほどの作品が、検閲によるカットで公開時には100分になっていたそうで、
イ・ドゥヨン監督は相当にショックだったらしいです(涙)
今回観たソフト(※注1)は154分に復元されたものなのですが、監督には申し訳ないです
けれども、これは少々長過ぎるように感じました(汗)…カットしてあって丁度良いかも(小声)
…で、いろいろ感じつつの154分…ついに訪れる衝撃のラストシーン!
本当にビックリしました。イ・ドゥヨン監督、何考えてるんだと思いました…(爆)
たぶん、しばらくはこれ以上にビックリするラストシーンを観ることはナイでしょう(大袈裟か)
そこで、この作品の原作本(※注2)を読んでみましたところ、ラストシーンは原作に忠実な
ものでした。そして原作では、意外に衝撃的ではなくて、主人公の心の動きからすれば
納得のいく結末だと思いました。
『最後の証人』が傑作!と言われるのに対して、『黒水仙』は評価がイマイチらしいです。
なぜ??刑事役のイ・ジョンジェのアクションはカッコイイし(無駄な入浴シーンもあり!)
ヒロインのキャラクターを現代的なものに変えるなど、単なるリメイクにはしない意欲が
感じられるし、ストーリーの展開も良いテンポで、娯楽作品としては充分な出来かと。
ただし後半、なぜか宮崎に舞台を移すと、途端に火サスか土ワイのような雰囲気になって
しまうのが残念なところ(爆)…でも最後は名優アン・ソンギが、きっちり締めてくれます(笑)
(おかげでジョンジェの影が若干薄くなってしまうのですが…!)
衝撃のラストが気になる方は『最後の証人』を、アクションとサスペンスを楽しみたい方は
『黒水仙』を、ご覧下さいませ(^-^)
なんだかんだ言って、こうしてブログで記事にしていたら、不思議とまた観たくなってきた
『最後の証人』…そんなふうに感じるのは、名作と言われるだけに底力のある作品だから
なのでしょうか?(って、えらそうにスミマセン…)
それにしても、イ・ドゥヨンのアクション映画がもっと観られるといいのに!とつくづく思います。
(※注1)日本語字幕あり、監督のコメンタリー入り、ブックレット付…豪華!
私はyesasiaで購入しました。
(※注2)『最後の証人』(上・下) 金聖鍾(キム・ソンジョン)著、祖田律男 訳、論創社
韓国日報が実施した懸賞公募に当選し、一年間にわたり連載されたそうです。
ドラマも制作されたとか。
ちなみに、『砂時計』のパク・ソンウォンが出演しているドラマ『黎明の瞳』
(視聴率歴代9位)の原作は、このキム・ソンジョン氏の作品。
ハ・ミョンジュンが演じている刑事のオ・ビョンホが登場する『ある娼婦の死』という
小説もあるそうです。読んでみたい!