TIFFでの『忠烈図』(1975)、キン・フー監督は『大酔侠』しか観てませんでしたので、
これは2本目。
明の時代、沿岸部を荒らしまわる倭寇を討伐せよ!との命を受けた将軍の喬宏が、
腕利きの部下たちとともに、事にあたる…というお話。
…なんとなく、もっと、おっとりとした運びの映画かとイメージしていたのですが、
テンポは良いし、殺陣のスピード感と迫力(大きなスクリーンで観ているから余計に!)も
スゴいし、グングン引き込まれました。
…しかし、ここで出てくる悪役は倭寇=日本人なんですよね…フクザツな心境。
そのお頭がサモ・ハン扮する博多津なんですけど、なぜか顔が白塗り!
今回のティーチ・インは、宇田川幸洋さんがみえていまして、「京劇のメイクのように、
悪役のコードとしての白塗りなのでは?」とおっしゃっていましたが…
喬宏率いる一団は、呼吸ぴったりのチームワークで戦闘フォーメーションもすばらしく、
メンバーの中には剣客の白鷹さんがいて、もう、バリバリに強くて、カッコイイ!
その白鷹さんと互角に渡り合える腕前で、カッコイイはずのサモ・ハンなのに…白塗り。
…普通の顔でもよかったじゃないの!?
宇田川さんいわく、「博多出身だろうから、博多人形みたいなのでは?」とのこと(笑)
とにかく登場しただけで、笑ってしまうサモ・ハン…だって、白塗りで紋付袴だから、
太った子どもの七五三みたいなんだもの…!
でも、その前に火星くん(やっぱり倭寇のお頭の一人)や、ヘンテコ倭寇たちが、
相当にヘンテコぶりを発揮しているので、そんなには吹き出さなかったですが!
それから、途中、「これって、白鷹さん主役だったっけ?」というくらい大活躍!の
白鷹さん…カッコイイのでOK! 奥さんでやっぱりスゴ腕の徐楓さんもステキでした。
倭寇のメンバーには、元彪(白鷹さんにコテンパンにやられて、ションボリしちゃうのが
すごく可愛い)や元華がいて、成龍も出ているらしいのですが、わかりませんでした…
…宇田川さんにもわからないものが、私にわかるわけもなく。
実は成龍はギャラ稼ぎの為、顔を出さないでいろんな役のスタントをやっていたそうです。
巨匠といわれる監督の作品ですから、こう、なんというか、感動的に終わるものと
勝手に思っていましたが…ゼンゼン違って、ビックリ!でした。
ビュンビュン飛ぶサモ・ハン…(すごすぎる軽功!)
あっ!手裏剣がっ!!ええ~?!
石?!
…ええ~?!うそー!マジですか?
というようなかんじです…もう、唖然。(…気になる人は、是非観て下さい!)
宇田川さんと司会の方も「唐突ですよねー」とおっしゃってましたけど、唐突すぎる!
皆、死んでしまったのに、場内大爆笑!
変わって、お墓のシーンなのに、大爆笑!(いいんですか?!)
すごい、すごいよ、キン・フー監督!
…というわけで、次は『迎春閣之風波』とか観てみたいです。
でも、これも、また観たい!
付記
・すごい勢いで走っていく徐楓さん、キックキックキック…!の韓英傑もツボだった。
・喬宏のヒゲ剃りシーンに、ちょっと萌えました。
・立ち回りのシーンで、京劇の鳴り物が効果音に使われているのが、面白い。
…でも、日本人だからって、博多津登場のシーンで雅楽を流すのはやめて欲しかった!
ぷぁー…って…笑っちゃうから!
・観ていてたびたび「これ、ロケ地どこよ?」と思ったのですが、宇田川さんのお話では
韓国ロケも行われているとか!あの廟のシーンとかかな?